2016年12月12日月曜日

【回転窓】工期を150年短縮

1882年の着工から約130年、いまだに建設が続くスペイン・バルセロナの教会「サグラダ・ファミリア」。ガウディが構想した未完の世界遺産も没後100年に当たる2026年に完成するという▼これが現実になれば、かつて300年とされた建設期間を半分に短縮することになる。工事を速めたのは、年間300万人に上る観光客がもたらす入場料収入だけでなく、技術の進展も大きい▼造形や構造の研究分析に1980年代からコンピューターを導入し、ガウディの生前には使われていなかったRCを90年代に採用。21世紀に入ると、3次元CADを用いた設計や3Dプリンターによるシミュレーション検証など最新技術の導入が工事をスピードアップさせた▼17年度から5カ年の国土交通省技術基本計画にはIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などを積極活用して生産性を高める政策が盛り込まれる。既存の枠組みにとらわれず先端技術を果敢に取り込むことになる▼世界で一番人気のある工事現場もあと10年で見納め。天才建築家はものづくりに挑む後進の姿を温かく見守っているに違いない。

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