◇緊急育成支援、女性限定コースに6人挑戦◇
建設業振興基金(内田俊一理事長)が厚生労働省から受託した建設労働者緊急育成支援事業で、女性だけを対象にした初の職業訓練が行われている。建設機械運転などの資格が無料で取れる合宿型の訓練に、20代から40代までの6人が参加。互いに連携し、与えられた課題をこなす。「ずっと建設、土木の世界に憧れていた」など、それぞれが夢をかなえるまであと一歩だ。
未就業者への建設関係の職業訓練と就職支援をパッケージで提供する同事業。5年計画の2年目は、全国21カ所(中央拠点1カ所、地方拠点20カ所)で体制を整え、各地域の業界団体などと協力して各種技能の習得や資格取得の講習が行われている。
千葉県柏市にあるキャタピラー教習所東日本教習センターで4週間にわたって行われている「女性限定重機オペレーターコース」(11月21~12月17日)に参加しているのは、以前建設会社に勤務していた頃から重機に興味があったという加古安奈さん(愛知県)、自身の夢をかなえるために資格が必要とする勝部千春さん(東京都)、軽自動車から2トンロングまで乗りこなす高野瀬ますみさん(埼玉県)、保育の勉強をしていたのに土木への興味が捨てきれなかった小山有紀さん(同)、鉄筋工をしていたこともある藤田優子さん(北海道)、農業や里山整備に関心を持つ山本愛緒さん(兵庫県)。
訓練への参加の動機もさまざまな6人が、教習センター近くの同じホテルに寝泊まりしながら、▽建設業経理事務士4級▽小型移動式クレーン運転技能▽玉掛け技能▽車両系建設機械(整地、運搬、積み込み、掘削)▽同(解体)運転技能▽不整地運搬車運転技能▽ローラーの運転業務に関わる特別教育-の7資格の取得に協力して取り組む。
建設系の職業訓練を男性と一緒に行おうとすると、体力面がネックになることがある。振興基金は、そうした課題をクリアしようと今回のコースを企画。「女性限定のコースがあるということで、反対していた家族も認めてくれた」(小山さん)というように、これまで二の足を踏んでいた女性にも門戸を広げる結果となった。
重機運転講習の講師は、キャタピラー教習所で3年前から女性向けの講習を専任で手掛ける吉田温子氏が務める。「初めての人たちなので、分かりやすく丁寧に教えることを心掛けている」という。そうした効果もあって「操作してみると思ったようにいかず苦労したが、いざ建機が動くとわくわくする」(加古さん)など全員が楽しく興味を持って臨んでいる。
訓練後は、それぞれの道を進む6人。勝部さんは「いろいろな免許が取得できるので、積極的に使えるチャンスをつくりたい。今後参加したいと考える女性の皆さんにも『大丈夫だよ』と伝えてあげたい」と話す。重機オペレーターを目指す高野瀬さんは「女性だからこそ気付く面もあるはず。男性たちとも相乗効果が発揮できる仕事に取り組みたい」と意欲的だ。藤田さんも資格取得をばねに「建設の仕事に就きたい」という。
山本さんは、植物の力で大地を支えることに関心がある。訓練の成果も生かし、「コンクリートと昔の土木を融合させるようなことはできないだろうか」と考えているという。
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