2016年10月31日月曜日

【建設業の心温まる物語】松田大介氏(日本橋梁・大阪府)/蘇った15年前の記憶

 京阪電車の浜大津駅から商店施設アーカスを結ぶ歩道橋が、京阪電車と滋賀県道を跨(また)いで設置されています。これは15年前に大津市より日本橋梁株式会社が受注し、私が現場代理人を務めた歩道橋です。電鉄と県道と交差することで、協議事項も多いうえに、大型商店施設との調整に大変苦心しました。若手職員1名と私だけで、現場管理と客先対応、関係各署との協議に追われた日々でした。

 つい先日その現場を見に行きました。今でも架かるその歩道橋を見ていると当時のことが昨日のことのように記憶が蘇(よみがえ)ってきます。ふと歩道橋の横を見ると、現場事務所として借りていたマンションがありました。その1階には見覚えのある喫茶店があります。そこは、夏の暑い日も、冬の寒い日も毎日のように昼食に通った店です。

 「こんにちは。ご無沙汰しています。以前工事をさせていただいていた松田です。覚えておられますか」と話すと、店主の女性は15年前と変わらぬ元気な声で、「あらおひさしぶり。よく来てくださいましたね」

 短い時間の中でも当時の思い出話に花が咲きました。覚えていてもらえただけでもありがたいのに、「あの歩道橋ができて便利になったのよ」と言ってもらえたその一言で、当時の苦労が実ったという実感が15年を経て改めて心にしみこんできました。建設業に携わる喜びとはこういうことなのだ、と感じました。

 このうれしい偶然と、当時の自身のがんばりに感謝しています。

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