2016年10月13日木曜日

【回転窓】電話の口実

「『600万円貸してくれ』って電話が来なかったか?」。とある待合室で隣の人が焦った様子で電話をしていて、つい聞き耳を立ててしまった▼かける相手は一人ではない。「それは俺じゃない。絶対に振り込まないように」。そんな言葉を繰り返していた。家族だけではなく、親せきにまで詐欺の電話が行っているもよう。だとすれば、綿密に準備された犯行なのだろう▼警察庁のまとめによると、15年の「振り込め詐欺」の被害総額は約394億円に上る。自分は大丈夫だと思いがちだが、本当にそうであれば、ここまで被害は広がるまい▼ちなみに先ほどの男性は、電話のたびに「おれ」としか名乗らなかった。皮肉なことだが、詐欺師が狙う相手として正解だったことになる。普段のコミュニケーション不足がこうした犯罪を可能にしていることも事実▼かくいう自分も、よほど用事が無い限りは実家に連絡などしない。だが、80歳近くになった両親は、出掛ける機会が減ったこともあってか、ちょっとした電話でも喜ぶ。振り込め詐欺を防ぐためにも、小まめに会話する。そんな口実も良いかもしれない。

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