2017年2月22日水曜日

【投資的経費2・9%減】関東甲信1都8県、17年度予算案出そろう

 ◇スポーツ関連施設や防災対策など重点◇

 関東甲信1都8県の17年度当初予算案が20日までに出そろった。一般会計は群馬県を除いて前年度当初予算を下回り、総額は16兆3637億24百万円(前年度比1・6%減)となった。

 投資的経費も1都6県で減少し、総額は2兆1030億61百万円(同2・9%減)にとどまった。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)や2020年東京五輪の開催都県などがスポーツ関連施設の整備を加速させるほか、防災対策や地域・産業の活性化に重点配分する自治体が目立つ。

 投資的経費が増加したのは、大幅減となった前年度からの反動増が要因とみられる茨城県(1458億68百万円、前年度比5・0%増)と、昨年に引き続いての増加となる栃木県(1331億円、同4・7%増)。最も下げ幅の大きかった千葉県(1184億59百万円、同21・0%減)は、3月に知事選を控えているため、最低限の事業だけを盛り込んだ骨格編成とした。

五輪開催に向け大規模改修に入る有明テニスの森
主な事業を見ると、数年に一度開催される大規模なスポーツ大会の開催都県が、競技施設の新設・拡充に力を入れる。2020年東京五輪に向けた取り組みでは、東京都が競技施設のうち▽カヌー・スラローム会場▽大井ホッケー競技場▽有明テニスの森-の3施設の整備に着手する。埼玉県は埼玉スタジアム2002の大規模修繕などに21億84百万円、千葉県は幕張メッセの大規模改修に7億98百万円を計上。神奈川県はセーリング関係施設整備に40百万円を確保した。
埼玉スタジアムの改修には21億円の予算が計上された
栃木県が整備する新スタジアムの完成イメージ
ラグビーW杯に向けては、埼玉県が会場の整備に84億88百万円を充てる。茨城県は19年の国体で使用する県営の体育施設の再編整備に15億78百万円を配分した。このほか栃木県が新スタジアムを建設する総合スポーツゾーン整備事業に142億87百万円を投じる。

 前年度までと同様、防災・減災関連施策を重視する自治体も多い。東京都は木造住宅密集地域の不燃化・耐震化に900億円を計上。都に茨城県と千葉県を加えた海沿いの自治体では、津波や高潮への対策にも注力する。

 近年多発する豪雨被害への対策も強化。東京都は調整池や雨水幹線などの整備に761億円を確保する。治水対策では埼玉県が緊急浸水対策などに96億4百万円を配分。関東・東北豪雨で甚大な被害を受けた茨城県は「総合治水計画」の策定に取り組む。茨城県と神奈川県は緊急輸送道路の整備を加速させる。
圏央道は茨城区間が全線開通する
リニア中央新幹線や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)など交通網の拡充を追い風として、地域振興を目指す取り組みも活発化している。長野県は飯田市に設置されるリニア中央新幹線長野県駅(仮称)の関連道路の充実や、中部横断道路の整備支援などに約100億円を計上。山梨県は「リニア環境未来都市」の実現に向けた施策に30百万円を充て、駅周辺整備に向けた造成計画などに着手する。圏央道の開通を強みとする茨城、千葉、埼玉の3県や群馬県は、企業立地を促進するため工業団地など必要な基盤整備に取り組む。

 このほか建設産業の人材不足の解消に向け、茨城県は雇用型訓練やイメージアップセミナー、山梨県はインターンシップや資格取得のための講習会を開く。

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