2016年5月31日火曜日

【収容人数は5万2000人】ASローマ新スタジアム、五輪招致に一役

 ローマ、パリ、ブダペスト、ロサンゼルスの4都市が名乗りを上げている2024年夏季五輪の招致レースに関連し、イタリアプロサッカーリーグ・セリエAの強豪、ASローマが新スタジアム「Stadio della Roma」建設計画の技術資料をイタリアオリンピック委員会(CONI)に提出した。  収容人数5万2000人の新スタジアムは、CONIの五輪招致計画に組み込まれている。今後、サッカー専用スタジアムとトレーニングセンター、商業ゾーン「ローマヴィレッジ」の詳細設計もCONIに提供される。  4都市は2月に五輪招致のビジョンやコンセプトなどを示した第1段階の申請書類を国際オリンピック委員会(IOC)に提出済み。施設の資金計画などを説明する第2段階の書類は10月に締め切られ、大会運営や終了後の施設活用など関する説明書類を17年2月までに提出する。  ASローマの新スタジアム計画を担当するDavid Ginsberg氏は「CONIへの書類提出は(五輪実現への)第一歩だ。われわれは招致への支援を惜しまない。新スタジアムは一大イベントで重要な役割を果たす」とコメントしている。 新スタジアムなどの完成イメージ ⓒ...

【新たな技術がまた一つ】戸田建設、掘削機外径の縮小・復元機能付きTBM開発

◇地山拘束状態解除が容易に◇  戸田建設がトンネル工事で地山の崩壊などにより掘削機が締め付けられて掘進不能となる「地山拘束状態」から脱出することが可能な掘削機「縮径TBM」を開発した。  川崎重工業の技術協力を受け、従来のトンネル掘削機(TBM)に、機械的に外径を縮小・復元できる機能を付加した。従来の地山拘束状態からの解除方法と比較して、拘束解除に必要な期間を最大で約6分の1に短縮できるという。 続きはH...

【技術は日進月歩】ドローン活用の土木現場向け新サービス開始

 パスコと西尾レントオールがドローン(小型無人機)を活用する土木工事現場向けの新サービスを6月に開始する。ドローンによる3次元(3D)計測技術を活用し、調査・計画段階から施工管理、完成検査に至る全工程を対象に、3Dデータの収集、データ加工・処理、活用を支援する。時間の短縮や精度の向上につながり、生産性向上に役立ててもらう。  新サービス「i-Con測量サービス」は、国土交通省が推進する「i-Construction」に対応。パスコは飛行機やヘリコプター、移動体計測車両など各種測量機材の活用ノウハウを生かし、ドローンによる撮影計画の策定とデータ加工・処理技術を提供する。西尾レントオールは、建設会社との豊富な営業ネットワークを強みに、ドローンをレンタルし、運航技術者も派遣する。  サービスでは、工事の事前作業として▽標定点・検証点の合理的な設置と気象や地形を考慮した飛行速度の設定▽目標精度の担保と効率的な飛行を考慮したドローンの飛行コース設定▽人口密集地区でのドローンの飛行申請(...

【回転窓】「東京防災」大ヒット

東京都防災HPより  東京都民でいながら、うかつにもほとんど知らなかった。関心がなかったと言うべきかもしれない。都が発行している防災ブック「東京防災」のことである。熊本地震の後、その売れ行きが急伸。売り切れの書店から都に問い合わせが殺到したと通信社のニュースが先日伝えていた▼都内の各家庭には昨秋、無償で配布されたそうだ。記憶をたどって部屋をあちこち探したら、散らかった本や書類の下敷きになって小さな黄色い箱が見つかった▼開けてみると、文庫本を少し大きくしたような300ページ余の本が出てきた。災害への備えから、いざ災害が起きた時の行動までノウハウや情報が満載だ▼実用的な内容が好評で一般販売(140円)も開始。増刷20万部が売り切れ、電子書店でのダウンロード(無料)が4月中に約21万件というからすごい。手元に置けば確かに役に立ちそうだ▼箱の中には、避難場所などを記した自宅周辺の地図と、「世界一安全・安心な都市を実現していきましょう」と舛添要一知事が笑顔で呼び掛ける写真入りメッセージも...

【あっつい夏を乗り切れ!!】鹿島ら4社、熱中症対策用ベスト開発

 鹿島が建設現場の熱中症対策用品として、送風機(ファン)を装着したベスト「ショルダー型送風機」を開発した。  屋内作業・短時間の屋外作業に従事する作業員や現場の施工管理者向けで、作業着の上から着用する。背面に付けたファンで外気を取り込み、パイプを通じて首元に送ることで、体内に蓄積した熱を効率よく放散し深部体温(体の内部の温度)の上昇を抑制できるという。本年度は同社の協力会社を中心に販売していく。  夏場の建設現場での熱中症を防止する方法として、スポーツドリンクや塩タブレットなどによる水分・塩分補給や送風機、クーラーの導入による作業環境の整備など、さまざまな対策が講じられている。終日の屋外作業向けに近年は、ファン付きの上着の普及が進んでいるが、1着3万円前後とコストがかかる。  同社は、「現場から絶対に熱中症を出さない」(枷場淳安全環境部安全衛生グループ課長)との方針の下、現場の施工管理者やパトロールなどで現場を巡視する人、屋内作業、長時間の炎天下を除く屋外作業に従事する作業員を...

【記者手帖】コミュニケーション力向上へ

 先日、起工式の取材で会った現場所長の話術に魅了された。出会ってすぐに、「何でも答えるよ」と記者にとってはうれしい言葉。質問には大きな声で簡潔に答えてくれた。顔写真の撮影をお願いすると、「いい男に撮れなかったら使っちゃ駄目だよ」と嫌み無く言う。軽妙でウイットに富んだその一言は、場の雰囲気を一気に明るくさせた◆所長が仕事をする上で大切にしているのは「コミュニケーション」と話していた。所長の積極的な物言いと人を楽しませる話術が聞き手を飽きさせない。こういう話し上手な人をコミュニケーション能力が高いというのだろうか◆記者にとってもコミュニケーション能力の高さは必要な要素。ただ、自分では場を盛り上げることができるわけでもなく、その場やその時に応じて気の利いた言葉を言える機転もない◆自分にできることは…と考えると聞き上手になること。聞き手に回ることで、相手を楽しませることはできなくても、好感を持たれればと思う。所長とは違った側面でコミュニケーション能力を向上させたい。 (ま)...

2016年5月30日月曜日

【回転窓】トイレ改善は1丁目1番地

「トイレ問題は改善してきたので、次の課題を議論しましょう」。こう切り出した役所の担当者の発言を聞き、ある女性技術者は耳を疑ったという▼確かに国土交通省は女性活躍モデル工事やトイレの実費精算試行工事、グレードの高い環境改善型トイレの試行、現場仮設トイレの事例集の作成、現場のトイレ改善フォーラムの開催など、建設現場のトイレ改善策を相次ぎ打ち出している▼ただ、第一線で働く女性技術者から見ると「改善が進んだのは大規模な現場など限定的」。いまだに専用トイレがなかったり、仮に専用トイレがあったとしても、男性用トイレの脇にあったりと、改善が進んだとは思えない状況が続く▼現場のトイレの改善は女性が働きやすい職場環境づくりの「1丁目1番地」の施策。これが改善できなければ、仮に女性技術者が入職したとしても離れていくに違いない。業界を挙げて取り組む必要がある▼厚生労働省は企業の女性の採用や登用状況を閲覧できるホームページを立ち上げた。国交省も、女性の働きやすい環境づくりを進める建設会社を公開するぐらい...

【世界最長!!】ゴッタルド・ベース・トンネル、6月1日開通式典

TBM貫通時(10年10月)の様子 ⓒ AlpTransit Gotthard  ◇青函トンネル抜き首位の座に◇  スイス・チューリッヒとイタリア・ミラノを結ぶ新しい高速鉄道の一部として、アルプス山脈直下を貫いた全長57キロの世界最長鉄道トンネルが6月1日開通する。  「ゴッタルド・ベース・トンネル」と名付けられたトンネルは、掘削開始から17年の歳月をかけて完成した。世界最長の鉄道トンネルは青函トンネル(全長53・9キロ)が1988年からその座を守り続けてきた。今回の開通で約30年ぶりに首位を明け渡す。3位は英仏海峡トンネル(同50・5キロ)。 開業に備えた鉄道設備工事(15年1月) ⓒ AlpTransit Gotthard 続きはHPで ...

【凜】JFEエンジニアリング都市環境本部・山本真帆代さん

 ◇部署の「推進剤」にレベルアップ◇  海外向けのごみ焼却プラントの営業を担当している。入社8年目。入社当時は、海外案件を扱うことになるとは思っていなかったが、「プロジェクトをまとめ上げ、部署の『推進剤』の役割を担えるようレベルアップしていきたい」と燃えている。  ターニングポイントになったのは、5年目にマレーシアに出向したこと。それまで国内でやってきた仕事のやり方では通用しないと痛感したという。  「日本では事業提案に必要な書類のフォーマットはほとんど決まっているが、東南アジアでは決まった規格が存在しない」  すべての仕事を自分でゼロから考える必要があり、「難しさは段違い」だった。そもそも、東南アジアではごみ焼却プラント自体がポピュラーではない。そのため、プラントの価値を理解してもらうのにも時間がかかる。顧客の信頼を得るため何度も足を運び、粘り強く交渉することが必要になる。  プラントの計画立案から施工までには長い時間がかかるため、海外では自身で完遂したプロジェクトはま...

【建設業の心温まる物語】横山建設(広島県)・三原啓司さん

 ◇小さな協力が大きな力に◇  熊野町の小学校校舎の耐震補強工事を半年間かけて行いました。  9月から3月にかけての工事であり、学校運営に伴う様々な作業エリアの制約や時間的制約がありました。その長期間工事の中で知り合った元気でやさしい児童たちと、朝夕の挨拶や昼休み中に元気に友達と遊んでいる姿が、工事に従事する中での気晴らしでもありました。  小学校のグラウンド半分が、資材や工事車両の駐車場として貸し出され、沈下や泥土対策等の養生をしましたが、半年間荷重をかけた影響は大きく、広範囲での敷均(しきなら)し補修が必要となりました。ところが、良質の真砂土を注文したつもりが、実際は小さな石片が大量に含まれていました。グラウンド全面に敷均した後に気が付いたため、児童が裸足で走っても問題ないように小石を除去する必要がありました。  関係者で作業の合間に小石拾いを続けましたが、途方もなく時間がかかると私達は意気消沈していました。その姿を見た児童が、なんと先生に「工事の人が大変そうだ」と話して...

【建設業の心温まる物語】井口建設(群馬県)・井口昭宏さん

 ◇女子高生からの手紙◇  あれは夕方担当の現場に戻る時のことでした。女子高校の前を通りかかると人だかりができていました。通りがかった私は、「何かありましたか?」と尋ねると、誰かが私に「女子高生が側溝の中に財布を落としてしまいまして…」と言いました。  グレーチングや側溝蓋(ぶた)を動かすことは私の得意とする仕事です。現場用の車に乗っていた私は工具を取り出して側溝蓋とグレーチングを外し、流れている排水溝の中を見ました。  覗(のぞ)きこんだ水路の中には残念ながら何もありませんでした。水路の水は思いのほか多く、私はずぶ濡れになり安全靴もぐちゃぐちゃになってしまいましたが、財布を見つけることができなかったことに未練を残しながら現場に戻りました。  それから何日かたったある日、会社に学校の先生と名乗る方が訪ねてきて手紙を渡されました。女子高生からのお礼の手紙でした。  「通りがかっただけなのに、ずぶ濡れになりながら、見ず知らずの私のために時間をさき、真剣に財布を探してくれありがと...

サークル/三井住友建設野球部

 ◇若手入部でチーム力アップ、狙うは「上位進出」◇  2003年の旧三井建設と旧住友建設の合併を機に発足した会社公認の部活動。首都圏に勤務する社員を中心に、5月時点で35人が所属している。年齢層は20代から50代までと幅広く、所属部署もさまざま。試合のたびに東北支店から駆け付ける部員もいるなど、熱心な活動を続けている。  「部員の健康増進」を第一に、選手全員が笑顔で楽しく試合に臨むことが活動のモットーという。試合後の祝勝会と反省会では、試合中の好プレー・珍プレーなどの話題で盛り上がり、異部署、異世代間の交流の場として、仕事上のコミュニケーション向上にも一役買っている。  そんな和気あいあいとした雰囲気の中でも試合になれば真剣そのもの。例年、ゼネコン12社のチームが参加する「関東建設業野球大会」と、三井グループの企業30社以上が出場する「オール三井軟式野球大会」に出場。監督を務める桑原敏郎さん(東京建築支店営業第五部部長)は「近年は若い社員の入部にも恵まれ、上位進出を狙えるチー...

【駆け出しのころ】日特建設取締役専務執行役員経営戦略本部長・屋宮康信氏

 ◇無理と辛抱の違いを知る◇  入社試験の面接では、当時の社長から「君は大学時代に何をやっていたのか」と聞かれました。「野球です」とお答えしたら、「一生懸命にやっている何かを持っているかどうかが大事なんだ」といったことを話していただきました。自分の学力や知識に関することを質問されると思っていたので、そのやりとりは鮮明に覚えています。  入社して最初に配属となったのが、ダム関連のグラウト工事でした。四国支店の現場です。作業員も職員も宿舎で共同生活をしていましたので、非常に家族的な雰囲気のある現場でした。  「土木は経験工学であり、経験しないと持っている知識は使えないんだ」。先輩からよく言われたことです。あのころの技術者には、自分たちは現場で経験して覚えてきたという自負が言葉の端々に表れていたように思います。生意気だったかもしれませんが、真面目にやっていればそうした先輩たちのレベルにいつかは追いつけるだろうと考えていました。  若いころの経験で忘れられないことがあります。ある日、...

2016年5月27日金曜日

【若者に夢を】語り継ぐ-土木の心・1 元国土交通省技監・足立敏之氏

 近代日本では、古市公威、廣井勇、青山士、八田與一といった土木技術者による「人類の為、国の為」という献身的な活躍が発展の基盤を作った。社会の価値観が多様化し、若年層の進路選択の幅がかつてないほど広がる中、土木を志す若者へのさまざまなメッセージを「語り継ぐ-土木の心」と題したインタビューシリーズで伝える。土木技術者に求められる哲学や誇りとは―。  --土木の役割についてどう考える。  「道路、河川、港湾などのインフラは文字通り社会の基盤を形作る。国民生活や経済活動に一番近いところで活躍してきたのが土木だ。災害時も自衛隊や警察、消防などの実働部隊と共に土木部隊の力と専門知識が必要になる。復旧、復興の全段階で土木は不可欠で、国、地方自治体の土木部門や建設業の方々の出番となる。土木はわれわれの生活に欠かせない」  「日本のぜい弱な国土を考えると、土木を担う建設産業は自衛隊や警察、消防などの公的分野と同じくらい大切だ。建設分野に携わる人たちはそれを国民に知ってもらう取り組みをすることが大...

【回転窓】日々生まれるエピソード

冒頭から私事で恐縮。建設専門紙に身を置き、それなりの時間を過ごしてきた。これまで業界や関連職種、行政や政治等々それぞれの立場で「建設」に関わる人たちをたくさん取材してきた▼しかし、建設についてどれほどのことを知っているのか。そう問われると正直、「ほんの一握りのことです」と答えるほかない▼日々取材を重ねても、初めて知ることは実に多い。それらを一つ一つ取り上げ、読者の皆さんに迅速かつ的確にお伝えしていくのがわれわれ専門紙記者の仕事だと考えているが、「建設」の全容を知ることなど到底できそうにない▼建設労働者と呼ばれる人だけでも300万人以上が働く業界だ。各人が何を考え、どんな喜怒哀楽の中で毎日を過ごしているのだろうか。全てを知る由もないが、きっと一人一人の中にドラマがある。ほんの些細なことであったとしても▼建設業界で働く「市井の人々」をできるだけ多く取り上げようと、来週から本紙で新たな企画を始めることにした。上司への感謝、感動話、失敗談など。数々のエピソードが日々生まれていることを少し...

【築100年の木造建築】聖心女子大学生会館(東京都渋谷区)の耐震補強が完了

 聖心女子大学(岡崎淑子学長)が東京・広尾のキャンパス内にある築100年近いパレス(学生会館)で実施していた耐震補強工事が完了し、26日に報道関係者に内部が公開された。  設計・施工は清水建設が担当。建物は国の登録有形文化財(建造物)に指定されており、耐震壁の設置や屋根の改修などの工事が細心の注意を払って行われた。 続きはH...

【木のぬくもりをふんだんに】天童木工、三セク観光列車の内装家具製作

越後杉を使用した1号車の内観  新潟県内を走る第三セクターの観光列車「えちごトキめきリゾート 雪月花」に、天童木工が製作した内装家具が採用された。  車両は、国内では例の少ない新規設計による新造車両で、天童木工は新潟県産木材を使った座席やテーブルの製作を担当。1号車には木目が鮮やかな越後スギ、レストラン・カー形式の2号車には強度としなやかさを併せ持つ濃色に染めたブナ材をメーンに使った。 2号車は濃色に染めたブナ材を使用  カフェ・バーのカウンターには端正な木目が美しいサクラ材を使用し、床材に採用された阿賀野産の安田瓦、燕三条で加工された黄金色のカーテンの留め具とともに、乗客の気分を盛り上げている。  えちごトキめきリゾート 雪月花は、土・日曜や祝日を中心に上越妙高駅から糸魚川駅までを結び、国内の列車で最大級のパノラマウインドウからは雄大な妙高山の山並みなどを眺めることができる。地元の旬の食材にこだわった料理も車内で味わえ...

【温故知新】日本橋三越本店(東京都中央区)、重文指定&大規模改装

 20日に文化審議会が国の重要文化財への指定を答申した「三越日本橋本店」(東京都中央区)。  100年を超える歴史を持つ西洋古典様式の重厚な建物は「百貨店建築」の嚆矢(こうし)として、その後に各地で建設された百貨店のモデルとされた。  23日には三越伊勢丹ホールディングス(HD)がこの日本橋本店を30年以上ぶり全面改装すると発表。建築家の隈研吾氏が環境デザインを担当し、重要文化財指定の建物を現代にマッチさせるリモデル(再開発)プロジェクトが動き始める。  三越日本橋本店は、三井財閥の基礎を築いた三井高利が1673(延宝元)年に江戸本町1丁目に創業した呉服店「越後屋」が起源とされる。日露戦争中の1904年には「三越呉服店」として株式会社化するとともに、「デパートメントストア宣言」を表明し、日本初の百貨店として産声を上げた。以来、流行の発信拠点として人々から愛されている。 天女(まごころ)像が来客を迎える中央ホール  重文指定を受ける本館は、鉄骨とれんが造りの5階建ての...

2016年5月26日木曜日

【思い浮かぶのはハイジのベッド】堤防の刈草、差し上げます by 国交省

牧草にシーツをかぶせてベッドにする…。小さい頃に見た「アルプスの少女ハイジ」で印象に残っているのはこのシーン。  すっかり年を取ったので「虫とかいない?ちくちくするでしょ!?」という考えが真っ先に頭を駆けめぐるのですが、もしかしたらハイジベッドが実現できるかもしれない耳より情報を紹介します。  牧草ではありませんが、国土交通省の山形河川国道事務所が生い茂った河川堤防の刈草を無償提供する取り組みを実施します。家畜の飼料や敷わら、堆肥などなど使い道はもらった人次第。俵状に加工した状態で引き渡されるそうです。刈草には芝、イタドリ、ヨシなどが混在。「ゴミが混在しないように注意していますが使用時には十分注意して下さい」とのこと。  寒河江、長井、南陽の各出張所が提供場所で、希望者を募った上で場所を指定します。ご希望の方は提供申込書に必要事項を記入の上、最寄りの出張所に持参して下さい。転売はNG。不法投棄はもってのほか!!  無償提供の詳細や申込用紙はこちらま...

【目標は年間285万人】都立五輪4施設の来場者目標設定

 東京都が2020年東京五輪で使用する競技施設のうち、新規整備を計画中の▽オリンピックアクアティクスセンター▽海の森水上競技場▽有明アリーナ▽カヌー・スラローム会場-の4施設を対象に、五輪後を見据えた施設運営計画の中間まとめを行った。  各施設の年間の来場者数の目標値と、目標達成のための施設運営の方向性などを示している。今後意見公募を行い、16年度末までに計画を決定する。  オリンピックアクアティクスセンターの建設地は江東区辰巳2の2。施設規模はS一部SRC・RC造地下1階地上3階建て延べ4万6600平方メートル。五輪時は競泳や飛び込み、シンクロナイズドスイミングが行われる。  五輪後の年間の来場者数は100万人と想定。目標達成のため、国際・国内競技大会での活用や、子どもから高齢者まで楽しめる水泳場の開放、トレーニング室の一般利用、五輪メモリアルコーナーの設置などに取り組む。  海の森水上競技場は、東京湾の中央防波堤埋め立て地に建設する。延長2000メートルの水上コー...

【BIMの課題と可能性】維持管理への援用-大林組の実践例・上

BIMobileの運用イメージ 大林組がラティス・テクノロジー(本社東京都文京区、鳥谷浩志社長)とのコラボレーションのもとで開発し、運用を開始した建物維持管理ツール「BIMobile」について報告する。 続きはH...

【あっちでもこっちでも】イオンモール、東と西でプロジェクト着々

 イオンモールが東京と神戸で計画している大規模プロジェクトが動き出した。東京都武蔵村山、立川両市にまたがる「イオンモールむさし村山」は店舗規模を拡張するプロジェクトの環境影響評価に着手。神戸市兵庫区で計画している「イオンモール神戸南」は17年6月の開業を目指し、大林組の設計・施工で工事が始動する。  ◇むさし村山店、施設規模を大幅拡大◇  イオンモールは、営業中のイオンモールむさし村山(東京都武蔵村山市、立川市)の施設規模を延べ床面積で10万7500平方メートル拡大する。  現施設(延べ16万8000平方メートル)に隣接する形で延べ1万8500平方メートルの増築棟を建設。さらに現在地東側に隣接する別の敷地に延べ8万9000平方メートルの別棟・立体駐車場を設ける。工期は18年から19年までの約20カ月を見込んでいる。25日に環境影響評価の進め方で都民の意見を求める手続きに着手した。  イオンモールむさし村山の所在地は武蔵村山市榎1、立川市上砂町6(敷地面積13万4000平方メー...

【つくって、かえて、まもる】東建がポスター作成、「&TOKYO」とコラボ

 東京建設業協会(東建、飯塚恒生会長)は、「東京」と建設業のブランドイメージの向上を目的とした新しいポスターを作成した。  東京都が2020年東京五輪のブランドロゴにしている「& TOKYO」に、「東京を施工(つく)る」「東京を更新(かえ)る」「東京を維持(まも)る」の三つのフレーズをそれぞれ組み合わせた3種類を用意した。  「東京のブランド化を進めている都に呼応し、建設業のイメージ戦略として作成することにした。漢字の読み方を変えたことで印象に残ってくれると思う」と松村博東建専務理事。ポスターは、24日に東京都港区内で開いた総会でお披露目し、飯塚会長は「しっかりアピールしたい」と意気込みを語った。  ポスターはイベントや出展ブースなどに掲示する。大学や高校への配布物にシールとして貼ることも予定してい...

【普及促進に期待】熊本地震、免震建物に被害なし

日本免震構造協会(和田章会長)は、熊本を中心に続く地震の被災地にある免震建物を調査した結果、すべての建物には被害がなかったことを明らかにした。  25日に東京都内で会見した和田会長は「すべての免震建物が揺れを吸収する効果を発揮し、室内の家具の転倒などもなく、建物の機能は維持されていた。もっと免震建物を増やす方向になればいい」と述べ、免震建物の普及に向けてその効果を協会ホームページや、9月に開く免震フォーラムなどを通じて広く周知する考えを示した。  日本建築学会と共同で行った被災地での建物調査によると、熊本県内にはマンションや市庁舎、病院、ホテル、事務所ビルなど約20棟の免震建物があり、これまで約半数を調べ、そのすべてで破損などの被害はなかったという。残る半分の建物でも被害報告はなく、6月からこれら建物の調査を本格化させる。  現時点で熊本地震による免震建物の効果を調べた結果、積層ゴムなどは揺れのピーク時に16センチから90センチの振幅があったことが明らかになった。調査に当た...

【回転窓】問われるインフラの質

熊本地震による建築物被害の原因を分析するため、国土交通省などがきょう、有識者委員会を立ち上げる。熊本地震では、観測史上初めて最大震度7の地震が同じ場所で2度も発生。求められる対応は当然変わってくる▼国交省は、委員会の分析を踏まえ、建築物の耐震性の確保・向上策を精査していくという。建築基準のあり方にも影響が及ぶのだろう。土木インフラも含めて対応は急務だ▼ただ、難しいのは、甚大な被害が局地的に起きているということ。同じ地域でも影響度合いには大きな差がある。すべてが壊滅的な状況に陥っているわけではない中で、震度7が何度も襲うような状況を前提に対策を講じることは、現実的には難しい▼どのような強靱(きょうじん)化が望ましいのか、その時代ごとに考えるほかない。多くの地域にとって災害は脅威であり、避けて通ることのできない課題であることは間違いない▼きょう開幕するG7伊勢志摩サミットでも、「質の高いインフラの整備」が重要課題の一つとなっている。目指すべき「質」とは何かを含め、防災先進国として発信...

2016年5月25日水曜日

【焼酎ファンに朗報!!】「くろきり」「あかきり」でお馴染み、霧島酒造が工場増設

焼酎をこよなく愛するみなさんに朗報をお届けします。「黒霧島」などでお馴染みの霧島酒造(宮崎県都城市)が24日、既存工場の隣接地に新工場を建設すると発表しました。生産能力は1日当たり400石(25度換算、1石=一升瓶約100本分)。17年2月着工し、18年8月の操業開始を目指すそうです。  同社は工場新設以外に焼酎粕リサイクルプラント、貯蔵タンクなども整備します。総工費は157億円を予定。工場増設によって焼酎の貯蔵で余裕のある熟成期間が確保できるほか、原料甘藷(かんしょ)が不作になった場合の対応力も向上するそうです。  リサイクルプラントや貯蔵タンクの着工は7月。同社は「生産能力の向上や環境配慮の強化を進め地域、全国のみなさんにアイされる焼酎づくりに努めます」としています。 この記事を書くために調べたら、いも焼酎だけで「黒霧島」や「赤霧島」など7種類もあるんですね。むぎやそばを原料にした焼酎の他、黒霧島と冬虫夏草がコラボした「金霧島」も!!新工場の稼働は約2年先。...

【回転窓】安全は目の健康から

 〈目は口ほどにものを言う〉のことわざに習うまでもなく、目は健康のバロメーターともいわれる。加齢に伴う〈老眼〉とは違い、〈夕方老眼〉〈週末老眼〉と呼ばれる症状をご存じだろうか。これらは年齢を問わずに出るというからやっかいである▼パソコンやスマートフォンなどで長時間にわたり目を酷使すると、夕方や週末に目のピントを合わせる力が低下し、老眼と同じ症状が出ることもあるという。同じ人でも朝と夕方ではピントの調節力年齢が10歳近く低下した事例も報告されている▼デスクワークと作業内容は違うものの、建設現場でもそうした目の疲労が思わぬ事故を招きかねない。近年は熱中症対策の重要性が広く理解されるようになったとは言え、現場で働く人たちの目のケアにももっと注意を払ってはどうだろうか▼目がかすむなどピント調節力の低下を感じたら、蒸しタオルで目を温めるのが有効だとか。どこの現場でもとはいかないまでも、事務所に電子レンジが一台あれば、さほど時間をかけずに用意できる▼目が健康でなくては安全を守れない。それくら...

【しばしお休み】現代美術館、大規模改修開始で全面休館

 東京都が大規模改修を計画している「東京都現代美術館」(江東区三好4の1の1)が着工準備に向け、30日から全面休館に入る。  12月議会の付議案件として今後発注する改修工事の実施に当たり、収蔵品の運び出しや事務所の移転作業などを先行して行う。改修設計はジェイアール東日本建築設計事務所が担当している。  95年3月に開館した現代美術館(RC・SRC造地下3階地上3階建て延べ約3・3万平方メートル)では、施設全体の経年劣化が進んだことから、劣化した施設・設備の修繕や更新を全面的に実施する。  全館にLED照明を導入するなど、省エネ対応を強化。展示室内のエレベーターの増設や多目的トイレの拡充など、バリアフリー化も進める。美術図書室のレイアウト変更、キッズスペースの拡充、外部回遊動線の再整備なども行う。  改修工事は建築、電気設備、給水衛生設備、空調設備に分割して一般競争入札で発注される。公告時期は建築が7月中旬、電気と空調の両設備が8月中旬、給水衛生設備が11月中旬を予定。工期...

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/クウェート新都市開発前進

 韓国土地住宅公社(LH、パク・サンウ社長)は9日、ソウル地域本部でクウェート住居福祉庁(政府機関)とクウェート新都市開発事業の具体化のための第2次了解覚書(MOU)を交わした。新都市は総面積が59km2と盆唐新都市(訳注=ソウルの南東に建設されたベッドタウン)の3倍もの規模で、数兆ウォン規模の海外新都市輸出時代を開く第1弾になるものと評価されている。  今回のMOUは、昨年6月にLHとクウェート住居福祉庁が行った新都市開発に関する一般的な協力を盛り込んだMOMに続くもの。これに伴い、クウェートのSouth Saad Al Abdullah新都市を対象に、LHが総合計画の策定と事業性分析を実施することになる。事業性が確認されれば、LH主導の韓国コンソーシアムとクウェート住居福祉庁が共同出資して特殊目的会社(SPV)を設立。こうした仕組みを通じて、新都市の設計・施工・運営など建設全過程に参加する意向がある民間企業と共同推進する。  クウェート政府は、新都市のマスタープラン作成業務を通常の国際競争入札手続きを踏まずにLHに随意契約で委託する予定だ。 (CNEWS 5月10日)...

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/ラックフェン港建設が佳境迎える

 北部ハイフォン市のラックフェン港で、国際コンテナ港と周辺インフラの建設工事が佳境を迎えている。日本政府は、港湾施設やアクセス道路などの建設で総額850億円以上を支援する。開業予定は当初予定から5カ月遅れの2018年5月となる見込みだ。  ベトナム政府と日本の国際協力機構(JICA)は4月に、第3弾となる円借款契約を結んだ。JICAは、国際深水港の建設で大型船の着岸が可能になり、ベトナムの国際競争力が高まるとしている。  1992年に始まった日本のODAの歴史で、交通運輸分野への支援は常に最優先事項に挙げられている。 (セイ・ズン 5月20日)...

【15年度も好調維持】ゼネコン各社、アジア市場で大型受注相次ぐ

 過去最高益を更新するなど16年3月期は好決算が相次いだゼネコン。堅調な国内事業にとどまらず、海外で受注高を伸ばした企業も目立つ。経済成長の著しい東南アジアを中心に、土木は道路や橋梁、港湾などインフラ整備に伴う日本の政府開発援助(ODA)案件を獲得。一方、建築は日系企業に加え、現地企業などからの受注が増えつつある。15年度にゼネコン各社が受注した主なプロジェクトをまとめた。  ◇ベトナムやシンガポールで高速道路・国際空港・病院◇  15年度は前年度に続き、東南アジアでの受注が多かった。各社からの発表ベースで最も多かった国はベトナム(5件)。清水建設は、ベトナム高速道路公社からホーチミン市南部で計画されている全長2764メートルの長大橋建設工事を受注した。現地の建設会社ビナコネックスE&Cとの共同受注。同市とハノイ市を結ぶ南北高速道路の一部で、本邦技術活用条件(STEP)が適用される円借款事業で建設する。JVの受注総額は約207億円。工期は47カ月。 三井住友建設が受注した越・...

2016年5月24日火曜日

【記者手帖】米国で根付く企業精神

 先日、YKKAPの米国現地法人(ジョージア州アトランタ市)を取材する機会に恵まれた。社長や会長への取材に加え、アルミサッシなどを製造する工場も見学して担当者に直接話を聞くこともできた◆会社はいくつかの営業拠点を置いているが、米国全土をカバーすることはできていないという。自宅を拠点にして片道、何十時間も掛けて営業先に向かう従業員もいるという。日本とは桁外れの米国の広さを初めて実感した。こうしたところから働き方や企業文化の違いも生じてくるのだろう◆だが、現地では日本と変わらない文化も育んでいた。それは、他人の利益を図らずして自らの繁栄はないというYKKの企業精神「善の巡環」だ。「Cycle of Goodness」と英訳されており、話を聞くと皆がこの言葉を口にし、生き生きと働いているように見えた◆米国に進出してから25年がたつという。ゆっくりと時間をかけ、現地の人々と共に会社も成長してきたのだろう。地元に根付くには、こつこつと地道に努力を重ねること。それをあらためて教えられた。(...

【男性陣の取り組みが大事】清水建設、「イクボス」育成に力

 清水建設が、子育てや趣味といった部下の私生活全般やキャリア育成に理解のある上司・経営者を指す「イクボス」の育成に力を入れている。  特に残業や休日出勤の多い工事現場でイクボスの育成に取り組むことで、会社全体のワーク・ライフ・バランス(WLB=仕事と家庭の調和)改善を目指す。 続きはH...

【備えあれば憂いなし】全国各地で水防訓練

 ◇関東・東北豪雨受け実践的訓練◇  関東地方整備局や茨城県らによる「第65回利根川水系連合・総合水防演習」が21日、茨城県取手市の取手緑地運動公園で開かれた。  行政機関や地域の水防団、茨城県建設業協会などから756人が参加。洗掘防止対策などの水防工法や、水防支援活動、救出・救護などの訓練を防災行動計画のタイムラインに沿った形で実施した。  地域住民ら観客も多数訪れた。同演習は、1947年のカスリーン台風による水害を教訓に始まり、出水期前に利根川水系の河川で毎年実施されている。  昨年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫し甚大な被害が発生したことも踏まえ、河川巡視から、水防作業、救出・救護などの実践的な訓練を行った。  ◇消防団員が水防工法確認◇  北陸地方整備局、新潟県、糸魚川市などが主催する「姫川・関川総合水防演習」が21日、姫川河川敷(糸魚川市寺島地先の姫川橋上流右岸)で行われた。  姫川・関川での水防演習の実施は06年以来10年ぶり。演習には各地域の消防団員...

【回転窓】時代を切り取る迫力

仕事や旅行で地方に行った時、時間があれば街並みや建築物を見るようにしている。先日行った山形県酒田市では、昭和時代に活躍した写真家・土門拳の記念館を訪ねた▼「リアリズム」を追い求め、激動の昭和を撮り続けた戦後日本を代表する写真家。展示された作品の数々は、時間や空気はもちろん、被写体となった人物の感情まで、そっくり切り取ったような迫力に満ちていた▼完全主義者と言われた土門は、出費や労力をいとわず撮影を重ね、作品を生み出したという。記念館には本人から提供された7万点が収蔵され、保存作業を進めながら順次公開されている▼記念館は市街地から離れた緑豊かな公園の中にあり、コンクリートの建物と「拳湖」と名付けられた池や自然林が調和し、彼方に出羽富士・鳥海山も望める。設計は谷口吉生氏。自然と建物の協調が土門作品の魅力をより引き立たせていた▼新しい技術が次々に開発され、便利になり過ぎた感もある今の時代。生きていたら稀代の写真家は一体どんな瞬間を切り取るだろうか。報道の末席に身を置く一人として、鬼気迫...

2016年5月23日月曜日

【御用とお急ぎでない方はぜひぜひ】オンラインサービスの登録キャンペーン、やってマス

 日刊建設工業新聞社は、インターネットによる記事検索やPDF紙面の閲覧などが行える「オンラインサービス」の会員登録キャンペーンを始めました。  5月23日~6月30日の期間に同サービスの無料コースに登録していただくと、登録完了から1カ月間、有料コースが無料でご利用いただけます。すでに無料コースに登録している会員は、有料コースへの変更で1カ月間、会費が無料になります。  有料コースは1998年5月以降に新聞掲載した記事が検索できるほか、過去1年分のPDF紙面の閲覧、2001年8月以降に掲載した企業や官庁の人事情報の検索といったサービスが利用できます。  会員登録に必要なIDは、弊紙1部購読につき一つ提供しています。キャンペーンの詳細や登録方法は日刊建設工業新聞HPをご覧下さい。  皆さま、よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペ...

【回転窓】竹中工務店400年の夢

 建築の展覧会が絵画や彫刻など他のものと異なるのは、実物が展示できないこと。だから写真や図面、模型、映像を定番アイテムにして趣向が凝らされる。どういった空間が演出されているのか、観覧する前に想像するのは楽しい▼それぞれの建築が創られた時代の気配を感じ、同時に独自の価値観と美意識で刻んだ時が一つの建築文化史を形成していることに気付かされる。そんな展覧会が世田谷美術館(東京・砧公園)で開催中だ▼「竹中工務店400年の夢」展がそれ。独自の文脈で竹中建築の歴史をひもとく試みで、実に見応えがあった。400年という気の遠くなるような長い歴史を四つのアイテムだけでなく、各時代の景色や造形感覚を反映した美術作品などと共に紹介している▼国内で多くの建築展が開かれているが、中には趣旨を読み取るのが難しい展覧会もある。実物が展示されていないからこそ、建築ファンでなくても訪れた人の目が厳しくなるのは仕方なかろう▼竹中展の図録に収録された槇文彦氏の論考「私のみた竹中のDNA」も一読の価値がある。来月19日...

【凜】IHIエネルギープラントセクタープロセスプラント事業部・伊地知沙織さん

  ◇夢はプロジェクトマネジャー◇  液化天然ガス(LNG)の貯蔵設備やボイラーなどプラントの設計・施工に携わっている。他部署では設計と施工で人員を分けるのが通常だが、所属部署では兼任する。入社8年目。これまで設計を中心に仕事をこなしてきたが、最近は進ちょく管理や顧客・他部署との折衝を行う品質管理を一人で任されるまでになった。  「頭で思い描いたものが形になっていくのが面白い」と話す。品質管理という立場では、決断の遅れが作業の遅れに直結することもあるため、常にスピード感を求められる。そうした緊張感も含めて「楽しめている」。  課題は「設備機器そのものの知識を増やす」こと。ボイラーであれば、機器の配置や組み合わせによって燃焼効率が変わることもある。知識を十分に身に付けることで、「顧客に説明する時の説得力が変わってくる」。いずれは、プロジェクト全体を取りまとめるプロジェクトマネジャーの立場になるのが夢だ。  大学では土木を専攻していたため、土木の知識を生かせる仕事を探していた。I...

【中堅世代】それぞれの建設業138

 ◇努力でつかみ取った天職◇  配管工の猪俣貴人さん(仮名)は、小学生のころからサッカーに熱中した。  当時はJリーグの発足前だったが、高校卒業後は現在Jリーグに所属するチームの前身となる実業団チームに入り、セミプロとしてサッカー漬けの毎日を送った。  引退後、大手運送会社やアパレル会社の配送員などの職に就いたが、10年が過ぎたころ、「毎日同じことの繰り返し。努力しても先を見通すことができない」と退社した。  他に何かやりたいことがあったわけではない。次のステップをどうするか悩んでいた時に、配管工事会社を営む地元の同級生にアルバイトを頼まれた。それが配管工としての道を歩み始めたきっかけだ。  休みは平均すると月1回、日常的に地方への出張も多い厳しい労働条件だが、もともとものづくりは好きな方だった。今は「天職だと思う」と充実した日々を過ごしている。  入社から2年。溶接やダクトの採寸、配管と通常だと10年かかってようやく形になる仕事も任されるようになり、一人前の職人に近...