2016年5月31日火曜日

【収容人数は5万2000人】ASローマ新スタジアム、五輪招致に一役


 ローマ、パリ、ブダペスト、ロサンゼルスの4都市が名乗りを上げている2024年夏季五輪の招致レースに関連し、イタリアプロサッカーリーグ・セリエAの強豪、ASローマが新スタジアム「Stadio della Roma」建設計画の技術資料をイタリアオリンピック委員会(CONI)に提出した。

 収容人数5万2000人の新スタジアムは、CONIの五輪招致計画に組み込まれている。今後、サッカー専用スタジアムとトレーニングセンター、商業ゾーン「ローマヴィレッジ」の詳細設計もCONIに提供される。

 4都市は2月に五輪招致のビジョンやコンセプトなどを示した第1段階の申請書類を国際オリンピック委員会(IOC)に提出済み。施設の資金計画などを説明する第2段階の書類は10月に締め切られ、大会運営や終了後の施設活用など関する説明書類を17年2月までに提出する。

 ASローマの新スタジアム計画を担当するDavid Ginsberg氏は「CONIへの書類提出は(五輪実現への)第一歩だ。われわれは招致への支援を惜しまない。新スタジアムは一大イベントで重要な役割を果たす」とコメントしている。
新スタジアムなどの完成イメージ
ⓒ AS Roma
Stadio della Romaのコンセプト設計はオーストラリアの設計事務所・Woods Bagotが担当。英国のARUP と米国のスポーツ専門設計事務所MEIS Architects が設計・コンサルを担っている。

【新たな技術がまた一つ】戸田建設、掘削機外径の縮小・復元機能付きTBM開発

◇地山拘束状態解除が容易に◇

 戸田建設がトンネル工事で地山の崩壊などにより掘削機が締め付けられて掘進不能となる「地山拘束状態」から脱出することが可能な掘削機「縮径TBM」を開発した。

 川崎重工業の技術協力を受け、従来のトンネル掘削機(TBM)に、機械的に外径を縮小・復元できる機能を付加した。従来の地山拘束状態からの解除方法と比較して、拘束解除に必要な期間を最大で約6分の1に短縮できるという。

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【技術は日進月歩】ドローン活用の土木現場向け新サービス開始

 パスコと西尾レントオールがドローン(小型無人機)を活用する土木工事現場向けの新サービスを6月に開始する。ドローンによる3次元(3D)計測技術を活用し、調査・計画段階から施工管理、完成検査に至る全工程を対象に、3Dデータの収集、データ加工・処理、活用を支援する。時間の短縮や精度の向上につながり、生産性向上に役立ててもらう。

 新サービス「i-Con測量サービス」は、国土交通省が推進する「i-Construction」に対応。パスコは飛行機やヘリコプター、移動体計測車両など各種測量機材の活用ノウハウを生かし、ドローンによる撮影計画の策定とデータ加工・処理技術を提供する。西尾レントオールは、建設会社との豊富な営業ネットワークを強みに、ドローンをレンタルし、運航技術者も派遣する。

 サービスでは、工事の事前作業として▽標定点・検証点の合理的な設置と気象や地形を考慮した飛行速度の設定▽目標精度の担保と効率的な飛行を考慮したドローンの飛行コース設定▽人口密集地区でのドローンの飛行申請(安全面を考慮した計画立案)、現地作業として▽標定点・検証点の設置と観測▽安全面を考慮したドローンによる空中撮影、後続作業として▽撮影写真と対空標識の測量成果から高精度な3Dデータの生成-をそれぞれ行う。

 3Dデータの活用方法としては、準備工での起工測量(現況測量)の実施を想定。工事進ちょくの管理、完成検査の出来形計測の実施、出来形帳票、完成図書、電子成果品の作成にも使える。

 両社は、サービスを展開し得られたデータの蓄積・管理方法を確立し、i-Constructionの実現に向けたトータルサービスを提供すると同時に、維持管理分野にも貢献できるサービスに拡大していく方針だ。

【回転窓】「東京防災」大ヒット

東京都防災HPより
 東京都民でいながら、うかつにもほとんど知らなかった。関心がなかったと言うべきかもしれない。都が発行している防災ブック「東京防災」のことである。熊本地震の後、その売れ行きが急伸。売り切れの書店から都に問い合わせが殺到したと通信社のニュースが先日伝えていた▼都内の各家庭には昨秋、無償で配布されたそうだ。記憶をたどって部屋をあちこち探したら、散らかった本や書類の下敷きになって小さな黄色い箱が見つかった▼開けてみると、文庫本を少し大きくしたような300ページ余の本が出てきた。災害への備えから、いざ災害が起きた時の行動までノウハウや情報が満載だ▼実用的な内容が好評で一般販売(140円)も開始。増刷20万部が売り切れ、電子書店でのダウンロード(無料)が4月中に約21万件というからすごい。手元に置けば確かに役に立ちそうだ▼箱の中には、避難場所などを記した自宅周辺の地図と、「世界一安全・安心な都市を実現していきましょう」と舛添要一知事が笑顔で呼び掛ける写真入りメッセージも。連日話題の舛添さんだが、これは舛添都政の大ヒットかも。

【あっつい夏を乗り切れ!!】鹿島ら4社、熱中症対策用ベスト開発

 鹿島が建設現場の熱中症対策用品として、送風機(ファン)を装着したベスト「ショルダー型送風機」を開発した。

 屋内作業・短時間の屋外作業に従事する作業員や現場の施工管理者向けで、作業着の上から着用する。背面に付けたファンで外気を取り込み、パイプを通じて首元に送ることで、体内に蓄積した熱を効率よく放散し深部体温(体の内部の温度)の上昇を抑制できるという。本年度は同社の協力会社を中心に販売していく。

 夏場の建設現場での熱中症を防止する方法として、スポーツドリンクや塩タブレットなどによる水分・塩分補給や送風機、クーラーの導入による作業環境の整備など、さまざまな対策が講じられている。終日の屋外作業向けに近年は、ファン付きの上着の普及が進んでいるが、1着3万円前後とコストがかかる。

 同社は、「現場から絶対に熱中症を出さない」(枷場淳安全環境部安全衛生グループ課長)との方針の下、現場の施工管理者やパトロールなどで現場を巡視する人、屋内作業、長時間の炎天下を除く屋外作業に従事する作業員をターゲットに、安価で手軽に着用できる製品の開発を進めてきた。

 新製品は「スズフィール」と命名。安全用品製造・販売のプロップ(東京都新宿区、市村良子社長)とユニホーム製作・販売の安研(東京都千代田区、虫明清一社長)、グループ会社の大興物産(東京都港区、守屋繁充社長)と共同開発した。

 装着するファンは、4本のバッテリーで7時間の連続使用が可能。両方の脇下に保冷剤を入れるポケットを備え、送風と合わせて温度上昇の抑制効果を高める。保冷剤を除いた重量は750グラム。ベストにメッシュ素材を採用し、通気性を確保。ファンやバッテリーをユニット化したことでベストからの着脱を容易にし、洗濯も可能にした。高所作業で着用するフルハーネス型安全帯を付けた状態でも使える。

 機能性の検証で、サウナとほぼ同じ状態でヘルメットを着用して運動した後の頭部の深部体温を計測した結果、運動後に深部体温を低下させる効果があったという。本年度は「LiVECOOL」の名称で大興物産が販売する。価格は1着1万2900円。注文販売方式で既に2700着を受注している。購入者にモニタリング調査を実施。その成果を踏まえ、17年度以降に改良を加え、建設業界内外問わず幅広く展開していく。

【記者手帖】コミュニケーション力向上へ

 先日、起工式の取材で会った現場所長の話術に魅了された。出会ってすぐに、「何でも答えるよ」と記者にとってはうれしい言葉。質問には大きな声で簡潔に答えてくれた。顔写真の撮影をお願いすると、「いい男に撮れなかったら使っちゃ駄目だよ」と嫌み無く言う。軽妙でウイットに富んだその一言は、場の雰囲気を一気に明るくさせた◆所長が仕事をする上で大切にしているのは「コミュニケーション」と話していた。所長の積極的な物言いと人を楽しませる話術が聞き手を飽きさせない。こういう話し上手な人をコミュニケーション能力が高いというのだろうか◆記者にとってもコミュニケーション能力の高さは必要な要素。ただ、自分では場を盛り上げることができるわけでもなく、その場やその時に応じて気の利いた言葉を言える機転もない◆自分にできることは…と考えると聞き上手になること。聞き手に回ることで、相手を楽しませることはできなくても、好感を持たれればと思う。所長とは違った側面でコミュニケーション能力を向上させたい。 (ま)

2016年5月30日月曜日

【回転窓】トイレ改善は1丁目1番地

「トイレ問題は改善してきたので、次の課題を議論しましょう」。こう切り出した役所の担当者の発言を聞き、ある女性技術者は耳を疑ったという▼確かに国土交通省は女性活躍モデル工事やトイレの実費精算試行工事、グレードの高い環境改善型トイレの試行、現場仮設トイレの事例集の作成、現場のトイレ改善フォーラムの開催など、建設現場のトイレ改善策を相次ぎ打ち出している▼ただ、第一線で働く女性技術者から見ると「改善が進んだのは大規模な現場など限定的」。いまだに専用トイレがなかったり、仮に専用トイレがあったとしても、男性用トイレの脇にあったりと、改善が進んだとは思えない状況が続く▼現場のトイレの改善は女性が働きやすい職場環境づくりの「1丁目1番地」の施策。これが改善できなければ、仮に女性技術者が入職したとしても離れていくに違いない。業界を挙げて取り組む必要がある▼厚生労働省は企業の女性の採用や登用状況を閲覧できるホームページを立ち上げた。国交省も、女性の働きやすい環境づくりを進める建設会社を公開するぐらいしてもよいかもしれない。

【世界最長!!】ゴッタルド・ベース・トンネル、6月1日開通式典

TBM貫通時(10年10月)の様子
ⓒ AlpTransit Gotthard
 ◇青函トンネル抜き首位の座に◇

 スイス・チューリッヒとイタリア・ミラノを結ぶ新しい高速鉄道の一部として、アルプス山脈直下を貫いた全長57キロの世界最長鉄道トンネルが6月1日開通する。
 「ゴッタルド・ベース・トンネル」と名付けられたトンネルは、掘削開始から17年の歳月をかけて完成した。世界最長の鉄道トンネルは青函トンネル(全長53・9キロ)が1988年からその座を守り続けてきた。今回の開通で約30年ぶりに首位を明け渡す。3位は英仏海峡トンネル(同50・5キロ)。
開業に備えた鉄道設備工事(15年1月)
ⓒ AlpTransit Gotthard
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【凜】JFEエンジニアリング都市環境本部・山本真帆代さん


 ◇部署の「推進剤」にレベルアップ◇

 海外向けのごみ焼却プラントの営業を担当している。入社8年目。入社当時は、海外案件を扱うことになるとは思っていなかったが、「プロジェクトをまとめ上げ、部署の『推進剤』の役割を担えるようレベルアップしていきたい」と燃えている。

 ターニングポイントになったのは、5年目にマレーシアに出向したこと。それまで国内でやってきた仕事のやり方では通用しないと痛感したという。

 「日本では事業提案に必要な書類のフォーマットはほとんど決まっているが、東南アジアでは決まった規格が存在しない」

 すべての仕事を自分でゼロから考える必要があり、「難しさは段違い」だった。そもそも、東南アジアではごみ焼却プラント自体がポピュラーではない。そのため、プラントの価値を理解してもらうのにも時間がかかる。顧客の信頼を得るため何度も足を運び、粘り強く交渉することが必要になる。

 プラントの計画立案から施工までには長い時間がかかるため、海外では自身で完遂したプロジェクトはまだない。それでも「現地の衛生が改善し、喜んでもらえること」を目指し、プラントに関する技術・知識に加え、海外の法知識の習得にも余念がない。

 結婚3年目を迎える。仕事で月に1~2度は海外に足を運ぶことになるが、「仕事へのモチベーションの維持につながっている」。理解ある夫の声援を背に、きょうも海外でのプロジェクト実現に向けて海を渡る。

 (海外事業部営業部、やまもと・まほよ)

【建設業の心温まる物語】横山建設(広島県)・三原啓司さん

 ◇小さな協力が大きな力に◇

 熊野町の小学校校舎の耐震補強工事を半年間かけて行いました。

 9月から3月にかけての工事であり、学校運営に伴う様々な作業エリアの制約や時間的制約がありました。その長期間工事の中で知り合った元気でやさしい児童たちと、朝夕の挨拶や昼休み中に元気に友達と遊んでいる姿が、工事に従事する中での気晴らしでもありました。

 小学校のグラウンド半分が、資材や工事車両の駐車場として貸し出され、沈下や泥土対策等の養生をしましたが、半年間荷重をかけた影響は大きく、広範囲での敷均(しきなら)し補修が必要となりました。ところが、良質の真砂土を注文したつもりが、実際は小さな石片が大量に含まれていました。グラウンド全面に敷均した後に気が付いたため、児童が裸足で走っても問題ないように小石を除去する必要がありました。

 関係者で作業の合間に小石拾いを続けましたが、途方もなく時間がかかると私達は意気消沈していました。その姿を見た児童が、なんと先生に「工事の人が大変そうだ」と話してくれたのです。そして教頭先生から「明日の全校朝礼の後に一斉清掃しましょう」と提案がありました。

 翌日全校朝礼のあと、先生の「さぁみんなで石拾い競争をしましょう!!」の声でスタート。たったの15分で2トンダンプ1台分の小石が集まりました。その時の感謝は今でも忘れることができません。

【建設業の心温まる物語】井口建設(群馬県)・井口昭宏さん

 ◇女子高生からの手紙◇

 あれは夕方担当の現場に戻る時のことでした。女子高校の前を通りかかると人だかりができていました。通りがかった私は、「何かありましたか?」と尋ねると、誰かが私に「女子高生が側溝の中に財布を落としてしまいまして…」と言いました。

 グレーチングや側溝蓋(ぶた)を動かすことは私の得意とする仕事です。現場用の車に乗っていた私は工具を取り出して側溝蓋とグレーチングを外し、流れている排水溝の中を見ました。

 覗(のぞ)きこんだ水路の中には残念ながら何もありませんでした。水路の水は思いのほか多く、私はずぶ濡れになり安全靴もぐちゃぐちゃになってしまいましたが、財布を見つけることができなかったことに未練を残しながら現場に戻りました。

 それから何日かたったある日、会社に学校の先生と名乗る方が訪ねてきて手紙を渡されました。女子高生からのお礼の手紙でした。

 「通りがかっただけなのに、ずぶ濡れになりながら、見ず知らずの私のために時間をさき、真剣に財布を探してくれありがとうございました」と書いてありました。私はその手紙を読んで、「普段使っている道具でこれだけ感謝されるとは」と、とても嬉(うれ)しく思いました。財布を見つけることができなかったことは残念に思いますが、これからも人のために役立つ建設業者でありたいと思った出来事でした。

サークル/三井住友建設野球部


 ◇若手入部でチーム力アップ、狙うは「上位進出」◇

 2003年の旧三井建設と旧住友建設の合併を機に発足した会社公認の部活動。首都圏に勤務する社員を中心に、5月時点で35人が所属している。年齢層は20代から50代までと幅広く、所属部署もさまざま。試合のたびに東北支店から駆け付ける部員もいるなど、熱心な活動を続けている。

 「部員の健康増進」を第一に、選手全員が笑顔で楽しく試合に臨むことが活動のモットーという。試合後の祝勝会と反省会では、試合中の好プレー・珍プレーなどの話題で盛り上がり、異部署、異世代間の交流の場として、仕事上のコミュニケーション向上にも一役買っている。

 そんな和気あいあいとした雰囲気の中でも試合になれば真剣そのもの。例年、ゼネコン12社のチームが参加する「関東建設業野球大会」と、三井グループの企業30社以上が出場する「オール三井軟式野球大会」に出場。監督を務める桑原敏郎さん(東京建築支店営業第五部部長)は「近年は若い社員の入部にも恵まれ、上位進出を狙えるチームに成長している」とチーム作りへの手応えを感じている。

 本年度は、創部以来13年間着用したユニフォームを一新。100回以上の開催で過去1度しか優勝経験のないオール三井軟式野球大会での優勝を目指し、これまで以上に積極的に練習試合を行う方針だ。

【駆け出しのころ】日特建設取締役専務執行役員経営戦略本部長・屋宮康信氏

 ◇無理と辛抱の違いを知る◇

 入社試験の面接では、当時の社長から「君は大学時代に何をやっていたのか」と聞かれました。「野球です」とお答えしたら、「一生懸命にやっている何かを持っているかどうかが大事なんだ」といったことを話していただきました。自分の学力や知識に関することを質問されると思っていたので、そのやりとりは鮮明に覚えています。

 入社して最初に配属となったのが、ダム関連のグラウト工事でした。四国支店の現場です。作業員も職員も宿舎で共同生活をしていましたので、非常に家族的な雰囲気のある現場でした。

 「土木は経験工学であり、経験しないと持っている知識は使えないんだ」。先輩からよく言われたことです。あのころの技術者には、自分たちは現場で経験して覚えてきたという自負が言葉の端々に表れていたように思います。生意気だったかもしれませんが、真面目にやっていればそうした先輩たちのレベルにいつかは追いつけるだろうと考えていました。

 若いころの経験で忘れられないことがあります。ある日、宿舎で食事をしていると、父親と同じぐらいの年の作業員の方が話し掛けてきました。奄美大島出身の私はその時、東北から働きに来られていたその方の言葉がほとんど分かりませんでした。相づちばかり打っているうちに、相手が怒りだしてしまったんです。ところが、なぜ怒っているのかも分からない。

 後で周りの方に教えてもらったのですが、現場で危ない場所があると言っているのに、「お前は真面目に聞かないのか」と怒っていたのだと分かりました。現場で働いている方の話はよく聞かなくてはいけないと痛感する出来事でした。

 この経験は海外事業を担当している今にも生かされています。海外では言葉の壁を感じることもありますが、相手が特に何かを訴え掛けるように話す時は、いつもより真剣に聞くようにしています。若かった時に作業員が怒ってくれなかったら、こうした考えでいたかは分かりません。本当によく怒ってくれたと思っています。

 新入社員には入社時の役員訓示で「無理はしなくていいが、辛抱はしてほしい」と必ず言っています。会社に入って3年目くらいまでは勉強期間です。先輩に怒られたり、作業員さんから苦情を言われたりするのは自分にまだスキルがないからで、これは辛抱しなくてはいけません。でも、休まずに働くなどの無理は駄目です。これが無理と辛抱の違いです。辛抱する期間が過ぎたら、やりたいことや仕事でのやりがいが見えてくるはずです。若い人たちには機会があるたびにそう伝えるようにしています。

 (おくみや・やすのぶ)1981年愛媛大卒、日特建設入社。名古屋支店工事部長、大阪支店工事部長、執行役員事業本部副本部長、取締役常務執行役員経営企画室担当、取締役専務執行役員事業本部長などを経て、14年4月現職。鹿児島県出身、57歳。
現場に向かう山中で残雪を見つけ、みんなで記念撮影した時の一枚(30代のころ)


2016年5月27日金曜日

【若者に夢を】語り継ぐ-土木の心・1 元国土交通省技監・足立敏之氏

 近代日本では、古市公威、廣井勇、青山士、八田與一といった土木技術者による「人類の為、国の為」という献身的な活躍が発展の基盤を作った。社会の価値観が多様化し、若年層の進路選択の幅がかつてないほど広がる中、土木を志す若者へのさまざまなメッセージを「語り継ぐ-土木の心」と題したインタビューシリーズで伝える。土木技術者に求められる哲学や誇りとは―。

 --土木の役割についてどう考える。

 「道路、河川、港湾などのインフラは文字通り社会の基盤を形作る。国民生活や経済活動に一番近いところで活躍してきたのが土木だ。災害時も自衛隊や警察、消防などの実働部隊と共に土木部隊の力と専門知識が必要になる。復旧、復興の全段階で土木は不可欠で、国、地方自治体の土木部門や建設業の方々の出番となる。土木はわれわれの生活に欠かせない」

 「日本のぜい弱な国土を考えると、土木を担う建設産業は自衛隊や警察、消防などの公的分野と同じくらい大切だ。建設分野に携わる人たちはそれを国民に知ってもらう取り組みをすることが大切だ。公共事業批判などで萎縮している面もあるが、本来の大切な役割に国民が目を向けてくれるよう自分たちの役割を胸を張って主張すべきだ。きちんと訴えれば理解してもらえるはずだ。いつまでも『無名碑』だけを美学と捉えるのではなく、世間に知ってもらうことが大切だ」

 --地域の建設産業が疲弊している。

 「災害時に緊急対応に当たる地元建設業者がいない『災害対応空白地域』の発生が心配だ。そうさせない施策を国が打つ必要がある。自衛隊や消防は緊急時のために平素からトレーニングを業務の一環として行っているが、建設業は日ごろの工事を通じて災害対応のトレーニングを無償で行っている珍しい存在だ。こうした建設業の心意気に応えることが肝要だ」

 --土木の原点は。

 「初代土木学会長の古市公威が『(土木技術者は)いろいろな分野のリーダーを束ねるトップを目指しなさい』といった意味の言葉を遺している。リーダーの中のリーダー。それが土木技術者の原点だと思う。土木工事は現場に従事する大勢の人々の努力が結集され、その集大成として完成する。荒川放水路完成時の青山士の言葉『この工事の完成にあたり 多大なる犠牲と労役とを払いたる 我らの仲間を記憶せんが為に』の精神を忘れてはならない」

 --これから土木を志す若者にメッセージを。

 「こういう仕事をしてみたいというイメージを持つべきだ。そのためにキャリアを積み、資格を取り、夢の実現に向かってほしい。神戸市長を務めた原口仲次郎に『人生すべからく夢なくしてかないません』という言葉がある。60年前に本四架橋の必要性を訴えた際、市議会議員に『白昼夢を見ているのか』と批判されたのにそう反論した。土木技術者はこうあってほしい。吉田松陰は『夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に成功なし。故に夢なき者に成功なし』と言っている。社会全体で若者の夢をつくる環境づくりが必要だ」

 「日本はこれまで世界でも一流のインフラを整備し、経済発展の基盤にした。それが今は残念ながら二流三流の水準だ。インフラが二流なのに経済が一流ということはあり得ない。そんな状態ではインフラ輸出なども不可能だろう。日本を一流の国にするという夢があってもいい」。

 (あだち・としゆき)

【回転窓】日々生まれるエピソード

冒頭から私事で恐縮。建設専門紙に身を置き、それなりの時間を過ごしてきた。これまで業界や関連職種、行政や政治等々それぞれの立場で「建設」に関わる人たちをたくさん取材してきた▼しかし、建設についてどれほどのことを知っているのか。そう問われると正直、「ほんの一握りのことです」と答えるほかない▼日々取材を重ねても、初めて知ることは実に多い。それらを一つ一つ取り上げ、読者の皆さんに迅速かつ的確にお伝えしていくのがわれわれ専門紙記者の仕事だと考えているが、「建設」の全容を知ることなど到底できそうにない▼建設労働者と呼ばれる人だけでも300万人以上が働く業界だ。各人が何を考え、どんな喜怒哀楽の中で毎日を過ごしているのだろうか。全てを知る由もないが、きっと一人一人の中にドラマがある。ほんの些細なことであったとしても▼建設業界で働く「市井の人々」をできるだけ多く取り上げようと、来週から本紙で新たな企画を始めることにした。上司への感謝、感動話、失敗談など。数々のエピソードが日々生まれていることを少しでもお伝えしていきたい。

【築100年の木造建築】聖心女子大学生会館(東京都渋谷区)の耐震補強が完了

 聖心女子大学(岡崎淑子学長)が東京・広尾のキャンパス内にある築100年近いパレス(学生会館)で実施していた耐震補強工事が完了し、26日に報道関係者に内部が公開された。

 設計・施工は清水建設が担当。建物は国の登録有形文化財(建造物)に指定されており、耐震壁の設置や屋根の改修などの工事が細心の注意を払って行われた。

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【木のぬくもりをふんだんに】天童木工、三セク観光列車の内装家具製作

越後杉を使用した1号車の内観
 新潟県内を走る第三セクターの観光列車「えちごトキめきリゾート 雪月花」に、天童木工が製作した内装家具が採用された。

 車両は、国内では例の少ない新規設計による新造車両で、天童木工は新潟県産木材を使った座席やテーブルの製作を担当。1号車には木目が鮮やかな越後スギ、レストラン・カー形式の2号車には強度としなやかさを併せ持つ濃色に染めたブナ材をメーンに使った。

2号車は濃色に染めたブナ材を使用
 カフェ・バーのカウンターには端正な木目が美しいサクラ材を使用し、床材に採用された阿賀野産の安田瓦、燕三条で加工された黄金色のカーテンの留め具とともに、乗客の気分を盛り上げている。

 えちごトキめきリゾート 雪月花は、土・日曜や祝日を中心に上越妙高駅から糸魚川駅までを結び、国内の列車で最大級のパノラマウインドウからは雄大な妙高山の山並みなどを眺めることができる。地元の旬の食材にこだわった料理も車内で味わえる。

【温故知新】日本橋三越本店(東京都中央区)、重文指定&大規模改装

 20日に文化審議会が国の重要文化財への指定を答申した「三越日本橋本店」(東京都中央区)。

 100年を超える歴史を持つ西洋古典様式の重厚な建物は「百貨店建築」の嚆矢(こうし)として、その後に各地で建設された百貨店のモデルとされた。

 23日には三越伊勢丹ホールディングス(HD)がこの日本橋本店を30年以上ぶり全面改装すると発表。建築家の隈研吾氏が環境デザインを担当し、重要文化財指定の建物を現代にマッチさせるリモデル(再開発)プロジェクトが動き始める。

 三越日本橋本店は、三井財閥の基礎を築いた三井高利が1673(延宝元)年に江戸本町1丁目に創業した呉服店「越後屋」が起源とされる。日露戦争中の1904年には「三越呉服店」として株式会社化するとともに、「デパートメントストア宣言」を表明し、日本初の百貨店として産声を上げた。以来、流行の発信拠点として人々から愛されている。

天女(まごころ)像が来客を迎える中央ホール
 重文指定を受ける本館は、鉄骨とれんが造りの5階建ての建物として1914年に竣工したが、関東大震災で被災し、焼け残った躯体の鉄骨や床スラブを生かしながら修築され、1927年にSRC造7階建ての建物として生まれ変わった。その後、幾度も増改築が繰り返され、設計は新築時から一貫して横河工務所(現横河建築設計事務所)が担当してきた。

 文化審は、三越日本橋本店について「さまざまな集客のための仕組みを取り入れながら増改築が重ねられており、わが国における百貨店建築の発展を象徴するものとして価値が高い」とコメント。今回指定する建造物の中でも「特筆すべきもの」として最も高く評価している。

 本館の外観は、全体的に西洋古典様式で統一されているものの、アーチを使わない水平や垂直線を強調した構成や、1920~30年代に欧州を中心に流行したアール・デコ風の装飾など新しい様式も取り入れている。

 一方、建物の内部は、5層吹き抜けの「中央ホール」、日本初のファッションショーが開催された「三越劇場」、「お子様洋食」(お子様ランチ)が初めて提供された「特別食堂」などが本館を象徴する施設とされる。

 中央ホール(1935年完成)は、柱や梁(はり)、手すり回りを大理石張りとし、重厚感を演出。大理石の中にはアンモナイトなどの化石も含まれ、学術的にも貴重とされる。ホールには名匠・佐藤玄々氏が手掛けた「天女(まごころ)像」がそびえ立ち、日本橋本店の象徴として来客を迎えている。

 三越劇場(1927年完成)は本館6~7階を貫通する形で配置。壁面と天井を大理石、木彫り、石こう整形やステンドグラスなどで仕上げたほか、グレーを基調にさまざまな文様や幾何学模様で装飾し、厳かで濃密な空間を構成。特別食堂(1935年完成)はフランスの室内装飾家ルネ・プルーによるアール・デコの意匠で飾られ、緑色大理石の丸柱や壁面のグリルなど当時のデザインの潮流を今に残している。

リニューアル完了後の本館1階イメージ
 三越伊勢丹HDは、こうした建物の歴史的価値を取り込みながら、文化に浸って楽しむ「カルチャーリゾート百貨店」という新たな百貨店空間の創出を目指し、本館・新館の大規模改修に乗りだす計画だ。
 「お客さまが過ごす『場』としての売り場の環境が大切」(三越伊勢丹HD担当者)との考えから、改修に向けた環境デザインを隈氏に依頼。人が集まる「樹」と人が流れる「道」の二つをコンセプトに掲げ、交流と遊び心を体現するという。このほか、フロアごとに「白く輝く森」(本館1階)など森をイメージしたデザインテーマを設定する。

 16年度下期に着工し、18年春の開業を目指す。投資額は約120億円。今回の改修箇所以外にも手を入れる考えで、2020年までにリニューアル工事を順次実施していく方針だ。100年以上刻みつづけてきた古き良き歴史と、未来を見据えたリニューアルを掛け合わせて、三越日本橋本店が新たな文化の発信拠点として生まれ変わろうとしている。

 《建物概要》

 所在地=中央区日本橋室町1の4の1
 本館=地下3階地上7階建て
 新館=地下4階地上13階建て
 店舗面積=6万2580m2

2016年5月26日木曜日

【思い浮かぶのはハイジのベッド】堤防の刈草、差し上げます by 国交省

牧草にシーツをかぶせてベッドにする…。小さい頃に見た「アルプスの少女ハイジ」で印象に残っているのはこのシーン。

 すっかり年を取ったので「虫とかいない?ちくちくするでしょ!?」という考えが真っ先に頭を駆けめぐるのですが、もしかしたらハイジベッドが実現できるかもしれない耳より情報を紹介します。

 牧草ではありませんが、国土交通省の山形河川国道事務所が生い茂った河川堤防の刈草を無償提供する取り組みを実施します。家畜の飼料や敷わら、堆肥などなど使い道はもらった人次第。俵状に加工した状態で引き渡されるそうです。刈草には芝、イタドリ、ヨシなどが混在。「ゴミが混在しないように注意していますが使用時には十分注意して下さい」とのこと。

 寒河江、長井、南陽の各出張所が提供場所で、希望者を募った上で場所を指定します。ご希望の方は提供申込書に必要事項を記入の上、最寄りの出張所に持参して下さい。転売はNG。不法投棄はもってのほか!!

 無償提供の詳細や申込用紙はこちらまで。

【目標は年間285万人】都立五輪4施設の来場者目標設定

 東京都が2020年東京五輪で使用する競技施設のうち、新規整備を計画中の▽オリンピックアクアティクスセンター▽海の森水上競技場▽有明アリーナ▽カヌー・スラローム会場-の4施設を対象に、五輪後を見据えた施設運営計画の中間まとめを行った。

 各施設の年間の来場者数の目標値と、目標達成のための施設運営の方向性などを示している。今後意見公募を行い、16年度末までに計画を決定する。

 オリンピックアクアティクスセンターの建設地は江東区辰巳2の2。施設規模はS一部SRC・RC造地下1階地上3階建て延べ4万6600平方メートル。五輪時は競泳や飛び込み、シンクロナイズドスイミングが行われる。

 五輪後の年間の来場者数は100万人と想定。目標達成のため、国際・国内競技大会での活用や、子どもから高齢者まで楽しめる水泳場の開放、トレーニング室の一般利用、五輪メモリアルコーナーの設置などに取り組む。

 海の森水上競技場は、東京湾の中央防波堤埋め立て地に建設する。延長2000メートルの水上コース(計8レーン)や、2000席の観客席を持つグランドスタンド棟(2階建て延べ5613平方メートル)などを整備する。

 五輪時はカヌー(スプリント)とボートの競技が開かれる。年間の来場者数の見込みは35万人。

 国際・国内大会で活用するほか、国内選手の育成・強化の拠点、青少年を対象にしたスポーツ教育の場などにも利用する。

有明アリーナの建設地は江東区有明1。規模はRC一部SRC・S造5階建て延べ4万5600平方メートル。

 メーンアリーナとサブアリーナで構成し、五輪ではバレーボール(インドア)が行われる。年間の来場者数の目標は140万人。メーンアリーナについては国内外のアーティストのコンサート会場としての利用も図る。

 カヌー・スラローム会場の建設地は江戸川区臨海町6。延長300メートルのスラロームコースや同200メートルのウオームアップコースなどで構成し、五輪ではカヌー(スラローム)が行われる。年間の来場者数は10万人と想定。競技大会に加え、ラフティングなどの水上レクレーションや水難救助訓練などでも利用する。

 4施設については周辺の街づくりとの連携や、各施設にアクセスする交通手段の強化などにも取り組む。都は、同じく五輪のために新設する大井ホッケー競技場(品川区八潮4ほか)と、アーチェリーの競技会場となる夢の島公園(江東区夢の島2)を対象にした施設運営計画の検討も進めている。

【BIMの課題と可能性】維持管理への援用-大林組の実践例・上

BIMobileの運用イメージ
大林組がラティス・テクノロジー(本社東京都文京区、鳥谷浩志社長)とのコラボレーションのもとで開発し、運用を開始した建物維持管理ツール「BIMobile」について報告する。

続きはHP

【あっちでもこっちでも】イオンモール、東と西でプロジェクト着々

 イオンモールが東京と神戸で計画している大規模プロジェクトが動き出した。東京都武蔵村山、立川両市にまたがる「イオンモールむさし村山」は店舗規模を拡張するプロジェクトの環境影響評価に着手。神戸市兵庫区で計画している「イオンモール神戸南」は17年6月の開業を目指し、大林組の設計・施工で工事が始動する。

 ◇むさし村山店、施設規模を大幅拡大◇

 イオンモールは、営業中のイオンモールむさし村山(東京都武蔵村山市、立川市)の施設規模を延べ床面積で10万7500平方メートル拡大する。

 現施設(延べ16万8000平方メートル)に隣接する形で延べ1万8500平方メートルの増築棟を建設。さらに現在地東側に隣接する別の敷地に延べ8万9000平方メートルの別棟・立体駐車場を設ける。工期は18年から19年までの約20カ月を見込んでいる。25日に環境影響評価の進め方で都民の意見を求める手続きに着手した。

 イオンモールむさし村山の所在地は武蔵村山市榎1、立川市上砂町6(敷地面積13万4000平方メートル)。収益拡大に加え、地域の一層の活性化や雇用機会の創出、生活の利便性向上を図るため、現施設を拡張することにした。

 計画名称は「イオンモールむさし村山計画」。現施設の敷地内に建設する増築棟はS造4階建て延べ1万8500平方メートルの規模を想定。平面駐車場として利用されているスペースを転用する。1階に店舗と駐車場、2~3階に店舗、屋上に300台を収容可能な駐車場をそれぞれ設置する。

 隣接する別の土地(武蔵村山市榎1、敷地面積5万7000平方メートル)にはS造4階建ての別棟とS造7階建ての立体駐車場(収容台数1600台)を整備する。両施設を合わせた規模は延べ8万9000平方メートル。別棟の1~2階と3階の一部には店舗、3階の残りと屋上には駐車場(同700台)をそれぞれ配置する。同じ敷地内には平面駐車場(同600台)も別途設ける計画で、収容台数は計2900台となる。

 同社は「イオンモールむさし村山計画」の事業着手に先立ち、建設する施設の概要や今後の環境影響評価の進め方などを示す環境影響評価調査計画書を都に提出した。縦覧期間は6月3日まで。調査計画書に対する意見の提出は同13日まで都環境局で受け付ける。

 ◇神戸南店、施工は大林組◇

 神戸市兵庫区の中央卸売市場本場西側跡地に計画している「イオンモール神戸南」は、24日に施設計画が明らかになった。

 建設資材の高騰などで着工が遅れていたが、17年6月の開業を目指し、今後工事が本格化する。設計・施工は大林組が担当している。

 兵庫運河に隣接する立地を生かし、兵庫区南部のにぎわいと活性化につなげようと、市が12年4月に同跡地の活用事業者を募集。同年7月にイオンモールに決定した。

 当初は15年9月の開業を目指したが、2度にわたり延期し、施設規模も4階から3階建てにするなど見直した。

 計画によると、敷地は3万7385平方メートル。店舗棟(3階建て延べ約6万0700平方メートル)と駐車場棟(5階建て延べ約2万0300平方メートル)を建設する。店舗棟の屋上を含めて約1300台分の駐車スペースを確保する。

 地域住民の交流の場として活用できるホール(約300平方メートル)や災害時に一時避難できる機能も備える。運河沿いにプロムナードを配置し、オープンカフェや観光案内所、観光バス駐車場も設ける。

【つくって、かえて、まもる】東建がポスター作成、「&TOKYO」とコラボ

 東京建設業協会(東建、飯塚恒生会長)は、「東京」と建設業のブランドイメージの向上を目的とした新しいポスターを作成した。

 東京都が2020年東京五輪のブランドロゴにしている「& TOKYO」に、「東京を施工(つく)る」「東京を更新(かえ)る」「東京を維持(まも)る」の三つのフレーズをそれぞれ組み合わせた3種類を用意した。

 「東京のブランド化を進めている都に呼応し、建設業のイメージ戦略として作成することにした。漢字の読み方を変えたことで印象に残ってくれると思う」と松村博東建専務理事。ポスターは、24日に東京都港区内で開いた総会でお披露目し、飯塚会長は「しっかりアピールしたい」と意気込みを語った。

 ポスターはイベントや出展ブースなどに掲示する。大学や高校への配布物にシールとして貼ることも予定している。

【普及促進に期待】熊本地震、免震建物に被害なし

日本免震構造協会(和田章会長)は、熊本を中心に続く地震の被災地にある免震建物を調査した結果、すべての建物には被害がなかったことを明らかにした。

 25日に東京都内で会見した和田会長は「すべての免震建物が揺れを吸収する効果を発揮し、室内の家具の転倒などもなく、建物の機能は維持されていた。もっと免震建物を増やす方向になればいい」と述べ、免震建物の普及に向けてその効果を協会ホームページや、9月に開く免震フォーラムなどを通じて広く周知する考えを示した。

 日本建築学会と共同で行った被災地での建物調査によると、熊本県内にはマンションや市庁舎、病院、ホテル、事務所ビルなど約20棟の免震建物があり、これまで約半数を調べ、そのすべてで破損などの被害はなかったという。残る半分の建物でも被害報告はなく、6月からこれら建物の調査を本格化させる。

 現時点で熊本地震による免震建物の効果を調べた結果、積層ゴムなどは揺れのピーク時に16センチから90センチの振幅があったことが明らかになった。調査に当たった高山峯夫福岡大教授は「熊本県内の免震病院で記録された90センチの振幅は、これまでの国内の大規模地震で記録された免震層の動きとしては最大のもので、大きな揺れにも効果を発揮できた」と語った。すべての免震建物が相次ぐ余震でも、建物機能に問題が発生していなかったとしている。

 和田会長は来月以降に大分県内の免震建物の被災調査も行うとし、「免震レトロフィットを採用した九州初の免震建物となった大分県庁舎などを調査したい」と述べた。同協会は9月2日、東京・西新宿の工学院大で開く免震フォーラムで調査結果を含む最終報告を公表する。

【回転窓】問われるインフラの質

熊本地震による建築物被害の原因を分析するため、国土交通省などがきょう、有識者委員会を立ち上げる。熊本地震では、観測史上初めて最大震度7の地震が同じ場所で2度も発生。求められる対応は当然変わってくる▼国交省は、委員会の分析を踏まえ、建築物の耐震性の確保・向上策を精査していくという。建築基準のあり方にも影響が及ぶのだろう。土木インフラも含めて対応は急務だ▼ただ、難しいのは、甚大な被害が局地的に起きているということ。同じ地域でも影響度合いには大きな差がある。すべてが壊滅的な状況に陥っているわけではない中で、震度7が何度も襲うような状況を前提に対策を講じることは、現実的には難しい▼どのような強靱(きょうじん)化が望ましいのか、その時代ごとに考えるほかない。多くの地域にとって災害は脅威であり、避けて通ることのできない課題であることは間違いない▼きょう開幕するG7伊勢志摩サミットでも、「質の高いインフラの整備」が重要課題の一つとなっている。目指すべき「質」とは何かを含め、防災先進国として発信の機会にしてもらいたい。

2016年5月25日水曜日

【焼酎ファンに朗報!!】「くろきり」「あかきり」でお馴染み、霧島酒造が工場増設

焼酎をこよなく愛するみなさんに朗報をお届けします。「黒霧島」などでお馴染みの霧島酒造(宮崎県都城市)が24日、既存工場の隣接地に新工場を建設すると発表しました。生産能力は1日当たり400石(25度換算、1石=一升瓶約100本分)。17年2月着工し、18年8月の操業開始を目指すそうです。

 同社は工場新設以外に焼酎粕リサイクルプラント、貯蔵タンクなども整備します。総工費は157億円を予定。工場増設によって焼酎の貯蔵で余裕のある熟成期間が確保できるほか、原料甘藷(かんしょ)が不作になった場合の対応力も向上するそうです。

 リサイクルプラントや貯蔵タンクの着工は7月。同社は「生産能力の向上や環境配慮の強化を進め地域、全国のみなさんにアイされる焼酎づくりに努めます」としています。

この記事を書くために調べたら、いも焼酎だけで「黒霧島」や「赤霧島」など7種類もあるんですね。むぎやそばを原料にした焼酎の他、黒霧島と冬虫夏草がコラボした「金霧島」も!!新工場の稼働は約2年先。完成までしばしのお待ちを。
新工場の完成イメージ
ちなみに、つらつらと記事を書いたブログ管理人、お酒が一滴も飲めない完全無欠な下戸なので焼酎、飲んだことがありません… ・゚・(●´Д`●)・゚・ごめんよおぉ。

【回転窓】安全は目の健康から

 〈目は口ほどにものを言う〉のことわざに習うまでもなく、目は健康のバロメーターともいわれる。加齢に伴う〈老眼〉とは違い、〈夕方老眼〉〈週末老眼〉と呼ばれる症状をご存じだろうか。これらは年齢を問わずに出るというからやっかいである▼パソコンやスマートフォンなどで長時間にわたり目を酷使すると、夕方や週末に目のピントを合わせる力が低下し、老眼と同じ症状が出ることもあるという。同じ人でも朝と夕方ではピントの調節力年齢が10歳近く低下した事例も報告されている▼デスクワークと作業内容は違うものの、建設現場でもそうした目の疲労が思わぬ事故を招きかねない。近年は熱中症対策の重要性が広く理解されるようになったとは言え、現場で働く人たちの目のケアにももっと注意を払ってはどうだろうか▼目がかすむなどピント調節力の低下を感じたら、蒸しタオルで目を温めるのが有効だとか。どこの現場でもとはいかないまでも、事務所に電子レンジが一台あれば、さほど時間をかけずに用意できる▼目が健康でなくては安全を守れない。それくらいの意識で取り組んでもいい。

【しばしお休み】現代美術館、大規模改修開始で全面休館

 東京都が大規模改修を計画している「東京都現代美術館」(江東区三好4の1の1)が着工準備に向け、30日から全面休館に入る。

 12月議会の付議案件として今後発注する改修工事の実施に当たり、収蔵品の運び出しや事務所の移転作業などを先行して行う。改修設計はジェイアール東日本建築設計事務所が担当している。

 95年3月に開館した現代美術館(RC・SRC造地下3階地上3階建て延べ約3・3万平方メートル)では、施設全体の経年劣化が進んだことから、劣化した施設・設備の修繕や更新を全面的に実施する。

 全館にLED照明を導入するなど、省エネ対応を強化。展示室内のエレベーターの増設や多目的トイレの拡充など、バリアフリー化も進める。美術図書室のレイアウト変更、キッズスペースの拡充、外部回遊動線の再整備なども行う。

 改修工事は建築、電気設備、給水衛生設備、空調設備に分割して一般競争入札で発注される。公告時期は建築が7月中旬、電気と空調の両設備が8月中旬、給水衛生設備が11月中旬を予定。工期はいずれも18年6月まで。18年度中のリニューアルオープンを予定している。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/クウェート新都市開発前進

 韓国土地住宅公社(LH、パク・サンウ社長)は9日、ソウル地域本部でクウェート住居福祉庁(政府機関)とクウェート新都市開発事業の具体化のための第2次了解覚書(MOU)を交わした。新都市は総面積が59km2と盆唐新都市(訳注=ソウルの南東に建設されたベッドタウン)の3倍もの規模で、数兆ウォン規模の海外新都市輸出時代を開く第1弾になるものと評価されている。

 今回のMOUは、昨年6月にLHとクウェート住居福祉庁が行った新都市開発に関する一般的な協力を盛り込んだMOMに続くもの。これに伴い、クウェートのSouth Saad Al Abdullah新都市を対象に、LHが総合計画の策定と事業性分析を実施することになる。事業性が確認されれば、LH主導の韓国コンソーシアムとクウェート住居福祉庁が共同出資して特殊目的会社(SPV)を設立。こうした仕組みを通じて、新都市の設計・施工・運営など建設全過程に参加する意向がある民間企業と共同推進する。

 クウェート政府は、新都市のマスタープラン作成業務を通常の国際競争入札手続きを踏まずにLHに随意契約で委託する予定だ。

CNEWS 5月10日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/ラックフェン港建設が佳境迎える

 北部ハイフォン市のラックフェン港で、国際コンテナ港と周辺インフラの建設工事が佳境を迎えている。日本政府は、港湾施設やアクセス道路などの建設で総額850億円以上を支援する。開業予定は当初予定から5カ月遅れの2018年5月となる見込みだ。

 ベトナム政府と日本の国際協力機構(JICA)は4月に、第3弾となる円借款契約を結んだ。JICAは、国際深水港の建設で大型船の着岸が可能になり、ベトナムの国際競争力が高まるとしている。

 1992年に始まった日本のODAの歴史で、交通運輸分野への支援は常に最優先事項に挙げられている。

セイ・ズン 5月20日)

【15年度も好調維持】ゼネコン各社、アジア市場で大型受注相次ぐ

 過去最高益を更新するなど16年3月期は好決算が相次いだゼネコン。堅調な国内事業にとどまらず、海外で受注高を伸ばした企業も目立つ。経済成長の著しい東南アジアを中心に、土木は道路や橋梁、港湾などインフラ整備に伴う日本の政府開発援助(ODA)案件を獲得。一方、建築は日系企業に加え、現地企業などからの受注が増えつつある。15年度にゼネコン各社が受注した主なプロジェクトをまとめた。

 ◇ベトナムやシンガポールで高速道路・国際空港・病院◇

 15年度は前年度に続き、東南アジアでの受注が多かった。各社からの発表ベースで最も多かった国はベトナム(5件)。清水建設は、ベトナム高速道路公社からホーチミン市南部で計画されている全長2764メートルの長大橋建設工事を受注した。現地の建設会社ビナコネックスE&Cとの共同受注。同市とハノイ市を結ぶ南北高速道路の一部で、本邦技術活用条件(STEP)が適用される円借款事業で建設する。JVの受注総額は約207億円。工期は47カ月。
三井住友建設が受注した越・ホーチミン市郊外に建設する長大橋の完成イメージ
 三井住友建設もベトナム南北高速道路の一部となる総延長約3・2キロの長大橋建設工事を現地の建設会社シエンコ4とのJVで受注した。ホーチミン市とカイメップ・チーバイ港を結ぶ南北高速道路(58キロ)の1工区で、ODAによって建設する。工期は42カ月。JVの受注総額は約201億円。同社は14年7月に隣接工区も受注しており、ODA工事区間11キロのうち2工区合わせて7・9キロを担当している。

 五洋建設は、りんかい日産建設とのJVで、ベトナム政府から「ラックフェン国際港建設プロジェクト(航路浚渫工事)・パッケージ9」を総額約198億円で、東洋建設も「同・パッケージ8」を約151億円で単独受注した。事業はSTEPが適用される円借款で行われる。浚渫土量はパッケージ9が約1575万立方メートル。パッケージ8が約1405万立方メートル。工期はいずれも915日間。同港の整備は日越両国による初のPPPプロジェクトとして進められている。

 国内で冷蔵倉庫の実績が豊富な東亜建設工業は海外でも受注活動のターゲットの一つに据え、ベトナムで冷凍冷蔵倉庫の新築工事を設計・施工一括で受注した。施設は、平屋一部2階建ての倉庫棟と2階建ての事務所棟(いずれも基礎はRC造、上屋はS造)で構成し、総延べ床面積は約8700平方メートル。海外需要開拓支援機構(東京都港区、太田伸之社長)、日本ロジテム、川崎汽船が共同出資する「CLKコールド・ストレージ社」がアジアで物流事業を展開する一環として計画した。完成は16年7月を予定している。
東洋建設JVが手掛けるカンボジア・シアヌークビル港ターミナル整備工事の完成予想パース
 東南アジアではこのほか、東洋建設が前田建設とのJVで、カンボジア唯一のコンテナ船用大水深バースを備える「シアヌークビル港」のターミナル整備工事を受注した。円借款事業で受注総額は約51・3億円(東洋建設分は約35・9億円)。17年7月の完成を目指す。

 急速な経済発展が続くミャンマーでは、交通インフラの整備に続き、病院や学校施設の整備も活発化しつつある。鉄建は、ミャンマーで総合病院の新設工事を受注した。受注金額は4億5800万円。ODAによる無償案件で、本館北棟(RC造2階建て延べ2539平方メートル)などを建設する。16年6月末の完成を目指す。同社が海外で建築工事を手掛けるのは00年以来15年ぶりとなる。

 三井住友建設もミャンマーでヤンゴン工科大学の拡充工事を受注している。受注金額は7億8780万円。ODAによる無償案件で、実験棟(RC造3階建て延べ約1600平方メートル)と研究棟(RC造5階建て延べ約1400平方メートル)を建設する。工期は14カ月。

 同社は、商船三井がフィリピンに新設する商船大学の建設工事も受注した。最大1200人が学ぶアジア・太平洋地域最大級の私立商船大学となる。約13・2ヘクタールの敷地に、校舎や学生寮、疑似訓練船など総延べ約3万平方メートルの施設群を設計・施工で整備する。工期は16年5月~17年10月を予定している。

 大林組、清水建設、JFEエンジニアリング、IHIインフラシステムの4社は、バングラデシュで橋梁の建設工事と改修工事を共同で受注した。ODA案件で、受注金額は約900億円。首都ダッカと第2の都市チッタゴンを結ぶ国道1号線上にある延長約400~1400メートルのPC橋3本を改修し、それぞれ同規模の鋼橋3本を新たに併設する。工期は48カ月。

五洋建設がシンガポールで受注した大型病院の完成イメージ
一昨年、シンガポール進出50周年を迎えた五洋建設。主力の海上土木工事に加え、建築工事の受注にも積極的で、シンガポール保健省が発注した「シンガポール総合病院アウトラム・コミュニティー・ホスピタル新築工事」を受注した。S・RC造地下4階地上19階建て延べ約14万8000平方メートルの規模で、受注金額は約576億円。19年の完成を目指す。同社がシンガポールで大型病院の新築工事を施工するのは5件目で、現地ではほかにRC造地下2階地上10階建て延べ約28万8000平方メートルの「センカン総合病院新築工事」を施工中だ。

 安藤ハザマはラオスに進出して今年で48年。日本の円借款で進められる「ビエンチャン国際空港(PTB)ターミナル拡張事業」の工事を受注した。既存の国際線PTB(延べ1万3000平方メートル)を倍の2万6500平方メートルへと拡張する工事などを施工する。昨年末に現地で起工式が行われた。工期は18年7月までの940日間。工事価格は75億円。

 東急建設は、バングラデシュのダッカ都市交通会社(DMTC)が発注した「ダッカ都市交通整備事業(MRT)6号線1工区ウッタラ車両基地造成工事」を受注した。日本政府の円借款による援助案件で、22ヘクタールの車両基地の地盤改良と土地整備を実施する。工期は25カ月。今年6月に着工し、18年の完成を予定している。請負金額は約80億円。同社がアジア圏で都市鉄道工事を受注したのは、タイ、インドネシアに続き3カ国目となる。

2016年5月24日火曜日

【記者手帖】米国で根付く企業精神

 先日、YKKAPの米国現地法人(ジョージア州アトランタ市)を取材する機会に恵まれた。社長や会長への取材に加え、アルミサッシなどを製造する工場も見学して担当者に直接話を聞くこともできた◆会社はいくつかの営業拠点を置いているが、米国全土をカバーすることはできていないという。自宅を拠点にして片道、何十時間も掛けて営業先に向かう従業員もいるという。日本とは桁外れの米国の広さを初めて実感した。こうしたところから働き方や企業文化の違いも生じてくるのだろう◆だが、現地では日本と変わらない文化も育んでいた。それは、他人の利益を図らずして自らの繁栄はないというYKKの企業精神「善の巡環」だ。「Cycle of Goodness」と英訳されており、話を聞くと皆がこの言葉を口にし、生き生きと働いているように見えた◆米国に進出してから25年がたつという。ゆっくりと時間をかけ、現地の人々と共に会社も成長してきたのだろう。地元に根付くには、こつこつと地道に努力を重ねること。それをあらためて教えられた。(敬)

【男性陣の取り組みが大事】清水建設、「イクボス」育成に力

 清水建設が、子育てや趣味といった部下の私生活全般やキャリア育成に理解のある上司・経営者を指す「イクボス」の育成に力を入れている。

 特に残業や休日出勤の多い工事現場でイクボスの育成に取り組むことで、会社全体のワーク・ライフ・バランス(WLB=仕事と家庭の調和)改善を目指す。

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【備えあれば憂いなし】全国各地で水防訓練


 ◇関東・東北豪雨受け実践的訓練◇

 関東地方整備局や茨城県らによる「第65回利根川水系連合・総合水防演習」が21日、茨城県取手市の取手緑地運動公園で開かれた。

 行政機関や地域の水防団、茨城県建設業協会などから756人が参加。洗掘防止対策などの水防工法や、水防支援活動、救出・救護などの訓練を防災行動計画のタイムラインに沿った形で実施した。

 地域住民ら観客も多数訪れた。同演習は、1947年のカスリーン台風による水害を教訓に始まり、出水期前に利根川水系の河川で毎年実施されている。

 昨年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫し甚大な被害が発生したことも踏まえ、河川巡視から、水防作業、救出・救護などの実践的な訓練を行った。


 ◇消防団員が水防工法確認◇

 北陸地方整備局、新潟県、糸魚川市などが主催する「姫川・関川総合水防演習」が21日、姫川河川敷(糸魚川市寺島地先の姫川橋上流右岸)で行われた。

 姫川・関川での水防演習の実施は06年以来10年ぶり。演習には各地域の消防団員や北陸整備局、県、市の職員、自衛隊員、地元建設業協会の会員など59機関から約1300人が参加。来賓や関係者が見守る中、消防団員は日ごろから練習している各種水防工法を確認した。

 北陸整備局はテックフォース隊員による被災状況調査演習や県、市と連携した避難勧告発令訓練、水没車両撤去訓練などを実践した。

 今年は姫川・関川流域に大きな被害をもたらした95年の「7・11水害」から数えて21年目。水害の記憶を次世代に引き継ぐための地元小学生対象の防災教育、「7・11水害」のパネル展示も行った。


 ◇2000人参加、本番さながらの訓練◇

 四国地方整備局と香川県、丸亀市らは22日、香川県丸亀市垂水町の土器川左岸生物公園前河川敷で「平成28年度土器川総合水防演習」を実施した。

 行政や消防団などの関係機関、地域住民など約2000人が参加し、土器川で洪水が発生したとの想定のもと水防工法や人命救助、避難などの訓練を本番さながらに行い、いざという時に備えた。

 水防演習は、洪水による被害の発生を未然に防止し、被害を最小限に食い止めることを目的に四国整備局などが毎年この時期に4県持ち回りで実施している。

 訓練では、杭ごしらえや土のう作りなどの準備工、越水対策工、孤立者救助訓練、ライフライン復旧訓練、救援物資輸送訓練などが行われ、参加者は真剣な面持ちで作業に取り組んでいた。土石流3Dシアターや地震、降雨などの体験コーナーも設置され、一般見学者らが参加した。

【回転窓】時代を切り取る迫力

仕事や旅行で地方に行った時、時間があれば街並みや建築物を見るようにしている。先日行った山形県酒田市では、昭和時代に活躍した写真家・土門拳の記念館を訪ねた▼「リアリズム」を追い求め、激動の昭和を撮り続けた戦後日本を代表する写真家。展示された作品の数々は、時間や空気はもちろん、被写体となった人物の感情まで、そっくり切り取ったような迫力に満ちていた▼完全主義者と言われた土門は、出費や労力をいとわず撮影を重ね、作品を生み出したという。記念館には本人から提供された7万点が収蔵され、保存作業を進めながら順次公開されている▼記念館は市街地から離れた緑豊かな公園の中にあり、コンクリートの建物と「拳湖」と名付けられた池や自然林が調和し、彼方に出羽富士・鳥海山も望める。設計は谷口吉生氏。自然と建物の協調が土門作品の魅力をより引き立たせていた▼新しい技術が次々に開発され、便利になり過ぎた感もある今の時代。生きていたら稀代の写真家は一体どんな瞬間を切り取るだろうか。報道の末席に身を置く一人として、鬼気迫る仕事を見てみたかった。

2016年5月23日月曜日

【御用とお急ぎでない方はぜひぜひ】オンラインサービスの登録キャンペーン、やってマス

 日刊建設工業新聞社は、インターネットによる記事検索やPDF紙面の閲覧などが行える「オンラインサービス」の会員登録キャンペーンを始めました。

 5月23日~6月30日の期間に同サービスの無料コースに登録していただくと、登録完了から1カ月間、有料コースが無料でご利用いただけます。すでに無料コースに登録している会員は、有料コースへの変更で1カ月間、会費が無料になります。

 有料コースは1998年5月以降に新聞掲載した記事が検索できるほか、過去1年分のPDF紙面の閲覧、2001年8月以降に掲載した企業や官庁の人事情報の検索といったサービスが利用できます。

 会員登録に必要なIDは、弊紙1部購読につき一つ提供しています。キャンペーンの詳細や登録方法は日刊建設工業新聞HPをご覧下さい。

 皆さま、よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

【回転窓】竹中工務店400年の夢

 建築の展覧会が絵画や彫刻など他のものと異なるのは、実物が展示できないこと。だから写真や図面、模型、映像を定番アイテムにして趣向が凝らされる。どういった空間が演出されているのか、観覧する前に想像するのは楽しい▼それぞれの建築が創られた時代の気配を感じ、同時に独自の価値観と美意識で刻んだ時が一つの建築文化史を形成していることに気付かされる。そんな展覧会が世田谷美術館(東京・砧公園)で開催中だ▼「竹中工務店400年の夢」展がそれ。独自の文脈で竹中建築の歴史をひもとく試みで、実に見応えがあった。400年という気の遠くなるような長い歴史を四つのアイテムだけでなく、各時代の景色や造形感覚を反映した美術作品などと共に紹介している▼国内で多くの建築展が開かれているが、中には趣旨を読み取るのが難しい展覧会もある。実物が展示されていないからこそ、建築ファンでなくても訪れた人の目が厳しくなるのは仕方なかろう▼竹中展の図録に収録された槇文彦氏の論考「私のみた竹中のDNA」も一読の価値がある。来月19日まで。もう一度足を運びたい。

【凜】IHIエネルギープラントセクタープロセスプラント事業部・伊地知沙織さん

  ◇夢はプロジェクトマネジャー◇

 液化天然ガス(LNG)の貯蔵設備やボイラーなどプラントの設計・施工に携わっている。他部署では設計と施工で人員を分けるのが通常だが、所属部署では兼任する。入社8年目。これまで設計を中心に仕事をこなしてきたが、最近は進ちょく管理や顧客・他部署との折衝を行う品質管理を一人で任されるまでになった。

 「頭で思い描いたものが形になっていくのが面白い」と話す。品質管理という立場では、決断の遅れが作業の遅れに直結することもあるため、常にスピード感を求められる。そうした緊張感も含めて「楽しめている」。

 課題は「設備機器そのものの知識を増やす」こと。ボイラーであれば、機器の配置や組み合わせによって燃焼効率が変わることもある。知識を十分に身に付けることで、「顧客に説明する時の説得力が変わってくる」。いずれは、プロジェクト全体を取りまとめるプロジェクトマネジャーの立場になるのが夢だ。

 大学では土木を専攻していたため、土木の知識を生かせる仕事を探していた。IHIを選んだのは、国内外問わず活躍のフィールドを広く持っているから。インフラ整備に携わることで「環境や多くの人の暮らしの改善に貢献したい」。

 体を動かすのが好きで、特にテニスは小中高と全国大会に出場したほどの腕前。プロジェクトが始まると、現地に1年近く駐在することもあるが「仕事と趣味を両立しながら、海外でも活躍できる人材になる」と大きな夢を描いている。

 (土木・建築エンジニアリング部、いじち・さおり)

【中堅世代】それぞれの建設業138

 ◇努力でつかみ取った天職◇

 配管工の猪俣貴人さん(仮名)は、小学生のころからサッカーに熱中した。

 当時はJリーグの発足前だったが、高校卒業後は現在Jリーグに所属するチームの前身となる実業団チームに入り、セミプロとしてサッカー漬けの毎日を送った。

 引退後、大手運送会社やアパレル会社の配送員などの職に就いたが、10年が過ぎたころ、「毎日同じことの繰り返し。努力しても先を見通すことができない」と退社した。

 他に何かやりたいことがあったわけではない。次のステップをどうするか悩んでいた時に、配管工事会社を営む地元の同級生にアルバイトを頼まれた。それが配管工としての道を歩み始めたきっかけだ。

 休みは平均すると月1回、日常的に地方への出張も多い厳しい労働条件だが、もともとものづくりは好きな方だった。今は「天職だと思う」と充実した日々を過ごしている。

 入社から2年。溶接やダクトの採寸、配管と通常だと10年かかってようやく形になる仕事も任されるようになり、一人前の職人に近づいている実感がある。もちろん、ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。

 入社当初は、専門用語が飛び交う現場で仕事の段取りすらままならず、右往左往する日々が続いた。それでもサッカーで培った根性とやる気でカバー。分からない用語などがあるとすぐにインターネットで調べ、メモを作ってポケットに忍ばせながら作業に当たる。事務所に戻ってからも毎日深夜まで溶接の練習を続けた。

 「職人の技能・技術には、上には上がある。やればやるだけ上達するし、上達するほど新しい目標も増える」と努力が苦になることはない。だがその一方で、好きな仕事だからこそ見える不安や不満もある。

 社員10人足らずの小さな会社だが、同級生の社長とその弟の専務を除くと、今年40歳になる猪俣さんが最年少。他の職人は50代の熟練工ばかりだ。肉体的にも負担の大きい仕事だけに、皆いつまで続けられるかという不安を常に抱えている。

 若手が入ってこない現状は、会社や業界自体の存続を危うくしかねない。「いくら頑張っても仕事が続けられなくなるのでは」。猪俣さんもそんな不安を抱き始めている。

 実際には若手の入職がないわけではない。だが、入社しては辞めていく10代、20代の若者の姿を2年間で10人以上目にしてきた。若手が入れば、自分が必然的に教育係になる。丁寧に指導するが、優しく接すれば接するほど若者から聞かれるのは不平や不満ばかり。言われた仕事はこなすが、自発的に何かをすることはない。

 努力を続けてきた自負があるだけに、「仕事を楽しく感じるところまで行き着いていないのに、辞めるなんてもったいない」と歯がゆい思いが湧き上がる。

 会社や同僚のベテラン職人にも最近は疑問を感じる。「職人は言葉で人に伝えるのが下手。教えるより、『俺の背中を見て学べ』という人が多い。会社もそうだが、若手が欲しいなら、自分から何かを変える努力をするべきだ」。

 職人として独り立ちし始めた今、やっと見つけた天職を守るために何をするべきか。「若手の育成」という新たな目標が、猪俣さんの中に芽生えている。