国立西洋美術館本館(東京都台東区)を含む近代建築の巨匠ル・コルビュジエが設計を手掛けた国内外の17施設が、7月にも世界文化遺産に登録される見通しとなった。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会の諮問機関ICOMOS(イコモス、国際記念物遺跡会議)は17日、17施設について、世界遺産一覧表への記載が適当と勧告。7月10~20日に開かれる世界遺産委員会での決議を経て、正式決定となる。
対象の17施設は、▽日本(1施設)▽フランス(10施設)▽ドイツ(1施設)▽スイス(2施設)▽ベルギー(1施設)▽アルゼンチン(同)▽インド(同)-の7カ国が「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」と題して共同推薦していた。
コルビュジエ建築の世界遺産登録に向けた取り組みは07年にスタートし、過去に2度審議されたがいずれも登録には至らなかったため、今回は対象施設を見直し、「近代建築運動への貢献」に特化した構成とした。
国立西洋美術館本館(1959年3月竣工)は、東アジアで唯一のコルビュジエ建築で、アジア諸地域の建築文化に与えた影響が大きいとされる。設計補助・監理はコルビュジエの下で学んだ前川國男、坂倉準三、吉阪隆正、当時の文部省管理局教育施設部工営課が担当。施工は清水建設が手掛けた。国の重要文化財に指定されている。
勧告を受け、服部征夫台東区長は「世界遺産登録に向けて大きく前進するものであり、大変うれしく思っている。登録が実現すれば、東京で初めての世界文化遺産となり、国際文化観光都市である本区の魅力をより一層強く、世界に発信できると確信している」とコメントした。
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