2016年5月6日金曜日

【回転窓】登山用具と防災対策

世界の屋根といわれるヒマラヤで標高8000メートルを超す高峰は14座。かつて欧州を中心に各国の登山隊が激しい先陣争いを繰り広げる中、日本隊が唯一初登頂の栄誉を手にしたのがマナスル(8156メートル)。1956年5月9日のことである▼敗戦からまだ10年余。初登頂のニュースは国民を勇気付け、登山ブームを巻き起こした。今に続く大衆登山の原点だろう。それからちょうど60年。今年から国民の祝日に「山の日」(8月11日)も加わる。この連休に山へ出掛けた方も多かろう▼登山の大衆化とともに60年で大発展を遂げたのがその用具。優れた登山用具は防災用品としても使い勝手が良い。今回の熊本地震では、登山用具店のモンベル(大阪市)が大量のテントと寝袋を提供し、無料の「テント村」を開放して話題になった▼車中泊でエコノミークラス症候群を発症する人が相次ぐ中、手足を伸ばして寝られ、避難所と違いプライバシーが守れる利点もあって、被災者に好評だったという▼テント以外にも災害時に役立つ登山用具は少なくない。非常時の利用を想定し、いろいろ試してみるのもよいだろう。

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