日本免震構造協会(和田章会長)は、熊本を中心に続く地震の被災地にある免震建物を調査した結果、すべての建物には被害がなかったことを明らかにした。
25日に東京都内で会見した和田会長は「すべての免震建物が揺れを吸収する効果を発揮し、室内の家具の転倒などもなく、建物の機能は維持されていた。もっと免震建物を増やす方向になればいい」と述べ、免震建物の普及に向けてその効果を協会ホームページや、9月に開く免震フォーラムなどを通じて広く周知する考えを示した。
日本建築学会と共同で行った被災地での建物調査によると、熊本県内にはマンションや市庁舎、病院、ホテル、事務所ビルなど約20棟の免震建物があり、これまで約半数を調べ、そのすべてで破損などの被害はなかったという。残る半分の建物でも被害報告はなく、6月からこれら建物の調査を本格化させる。
現時点で熊本地震による免震建物の効果を調べた結果、積層ゴムなどは揺れのピーク時に16センチから90センチの振幅があったことが明らかになった。調査に当たった高山峯夫福岡大教授は「熊本県内の免震病院で記録された90センチの振幅は、これまでの国内の大規模地震で記録された免震層の動きとしては最大のもので、大きな揺れにも効果を発揮できた」と語った。すべての免震建物が相次ぐ余震でも、建物機能に問題が発生していなかったとしている。
和田会長は来月以降に大分県内の免震建物の被災調査も行うとし、「免震レトロフィットを採用した九州初の免震建物となった大分県庁舎などを調査したい」と述べた。同協会は9月2日、東京・西新宿の工学院大で開く免震フォーラムで調査結果を含む最終報告を公表する。
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