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東京五輪向け新規恒久施設などの整備状況 |
◇設計・施工者ら損失の発生懸念◇
東京都の小池百合子知事を本部長とする「都政改革本部」の調査チームが、2020年東京五輪の競技施設の建設計画の見直しを都に提言したことを受け、設計・施工を担っている大手のゼネコンやコンサルタントらに影響が及ぶ可能性が強まってきた。都は、五輪後の使用も想定した恒久施設を都有地8カ所に整備する計画。既に工事着手・準備の段階に入った施設もあり、計画が変更や中止となれば、受発注者は損失の発生や作業員らの扱いなどで対応を迫られる恐れがある。
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有明アリーナの完成イメージ |
調査チームは、水泳を行う予定の「アクアティクスセンター」(江東区辰巳)と、バレーボールで使用予定の「有明アリーナ」(同有明)に対し、他の既存施設の改修に切り替える可能性の検討を求めた。改修での対応が不可能な場合は、現計画の施設規模の縮小を提言。恒久施設として新設する可能性は残している。
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海の森水上競技場の完成イメージ |
恒久施設としての新設の必要性が低いとされたのが、ボート・カヌー競技で使用予定の「海の森水上競技場」(同青海)。調査チームは、宮城県登米市の長沼ボート場に会場を移す可能性の検討を求めた。現計画地に建設する場合は「仮設とすべき」とも提言した。
受注者側に落ち度がなく計画変更があった場合、発注者側は何らかの措置を取る必要がある。9月29日に都オリンピック・パラリンピック準備局が公表した3施設の整備状況によると、海の森水上競技場は着工済みで、締め切り堤の工事などに入っている。実施設計・施工者は大成建設・東洋建設・水ing・日立造船JV(基本設計=パシフィックコンサルタンツ)。
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アクアティクスセンターの完成イメージ |
アクアティクスセンターは10月から、有明アリーナは12月から準備工事にそれぞれ入り、年度内に本体工を開始する見通しだった。各施設の実施設計・施工者は、アクアティクスセンターが大林組・東光電気工事・エルゴテック・東洋熱工業JV(同=山下設計)、有明アリーナが竹中工務店・東光電気工事・朝日工業社・高砂熱学工業JV(同=久米設計)。
これら3施設以外で既に着工しているのが「アーチェリー会場」(同夢の島)。恒設の予選会場と仮設の決勝会場で構成する計画で、会場の盛り土などを行う「夢の島公園アーチェリー会場基盤整備工事」を新日本工業が受注している。施設設計には着手していない。
着工がまだでも設計完了までの期間が延びれば、工期は厳しくなる。
東京五輪は20年7月に開幕する予定だが、都は19年度のテストイベントに間に合うよう、8カ所すべての競技施設を建設する計画を示していた。提言に基づく計画変更で施設規模を縮減したはずが、工期縮減の対応などでコストが膨らむ可能性もある。まだ着工していない「カヌー・スラローム会場」(江戸川区臨海町)はパシフィックコンサルタンツ、「大井ホッケー場」(品川区八潮ほか)は梓設計がそれぞれ設計業務に携わっている。
既存施設の改修などで整備する「有明テニスの森」(江東区有明)は、調査チームが計画変更を求める対象から外れている。未着工で、設計は環境デザイン研究所が担当している。
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建設中の武蔵野の森総合スポーツ施設 (写真左奥、右は隣接する味の素スタジアム) |
フェンシングなどの試合が行われる予定の「武蔵野の森総合スポーツ施設」(調布市飛田給)の建設工事は16年度内に完成するため、計画変更は不可能とみられる。建築工事のうち、メインアリーナ棟は竹中工務店・奥村組・株木建設・白石建設・東起業JV、サブアリーナ・プール棟は鹿島・東急建設・TSUCHIYA・京急建設JVが施工。設計は日本設計が担当した。
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