2017年9月6日水曜日

【技能教育レポート】富士教育訓練センター、実務施工体験研修開く


 ◇工業高校教員が建設の仕事学ぶ◇

 富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で8月24~26日の3日間、工業高校の教員らを対象に「実務施工体験研修」が行われた。

 09年度に導入された教員免許更新制に対応した今回の研修は、建設業振興基金とセンターを運営する全国建設産業教育訓練協会が共催。千葉、大分、京都、愛知、静岡から参加した6人の教員が、建設現場の工程を学び、鉄筋や型枠など実際に行われる作業を体験した。

 約7000ある「選択領域」と呼ぶ免許状更新講習で、建設業の施工実務を体験できる研修は全国初の試み。選択領域に必要とされる18時間以上の受講を満たす2泊3日のプログラムで構築された。

 専門教育に携わる工業高校の教員と建設産業界が連携することは、将来の担い手である若者を確保する上で不可欠だ。そうした観点から、振興基金が事務局の建設産業担い手確保・育成コンソーシアム事業の一環として、今回の研修を企画した。5月に文部科学大臣の認定も取得した。

 座学中心の研修初日には、今回の指導教諭でもある東洋大の浦江真人教授が建設業界の担い手確保、人材育成をテーマに講義。ゼネコン、専門工事業、ハウスメーカーを代表した実務者の現状講話も行われた。その後のグループディスカッションでは、参加した教員がそれぞれ教育現場でどのような課題を抱えているかなどの意見を出し合い、相互理解を深めた。

 2、3日目はセンターの実務担当講師の指導で墨出し、鉄筋組立、型枠建て込み、型枠解体という躯体工事の一連の流れを体験。鉄筋組立では、片手にハッカー、もう一方に結束線を持ち、くるくるっと結束線を巻いて鉄筋同士を定着させることに最初は戸惑いながらも、次第に慣れた手つきで作業を進めていた。

 浦江教授は、「工業高校を卒業した若者が建設業界にたくさん入ってきてもらうようにするためにも、どういう仕事なのか、そしてどんなやりがいがあるのかを教員の皆さんに知ってもらうことが必要だ」と強調。実務施工体験を受けたことが「今後の進路指導にも役立つだろう」と話す。

 振興基金では、同センターを活用して今後も同様の研修を継続させながら、そのコンテンツを全国に提供したい考え。各地で研修が展開されれば、地域の建設業界と教育界の信頼関係が一段と高まるきっかけになると期待する。

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