2017年9月25日月曜日

【建設業の心温まる物語】船谷建設・竹内要さん(三重県)

 ◇あんたには現場で助けてもらっていたから◇

 数年前に三重県津市内で、賃貸マンションの建設をしているときのことです。悪天候が続いたことで、長尺シート張りの工事が引き渡しまでに完了できるかどうかギリギリのところまで追い込まれました。もう自分ではどうすることもできないと思い、協力会社に作業員の増員をしてくれるように頼みました。しかし、激しい口論になってしまい、作業員の増員どころか「もう現場から作業員全員を引き上げる」と言われてしまいました。引き渡しまであと2日。目の前が真っ暗になりました。

 工事を完成できなかったらお客様に対して、どのようにして責任をとればいいのかを考えながら現場前の歩道をとぼとぼと歩いていました。すると偶然、口論になった協力会社の方が車で通りすぎたのを見かけたのです。ダメもとで、思い切って携帯電話に連絡をしました。

 「嫌な思いをさせて申し訳ありませんでした。どんなことでも手伝いますから、作業を進めていただけませんでしょうか」と何度も何度もしつこく頼みました。すると「そこまで言うなら、なんとかしてやる」と言ってくれたのです。そして他の現場で作業している職人さんを数人呼んでくれ、なんとか間に合わせてくれました。

 工事終了後、その方に「なぜ最後の最後で助けてくれたのですか」と聞いたところ「あんたには普段から現場で助けてもらっていたから気になっていたんだよ。そうしたら、電話がかかってきて真剣に頼まれたから放っておけなかった」と言われました。その言葉を聞いて、普段の行いが大切なこと、そして工事に携わる方々の優しさに心が温まりました。

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