女子テニスの世界ランク4位まで上り詰めた伊達公子さんが引退した。1996年にいったんコートを離れたが、2008年に37歳で現役復帰。けがを抱えながら9年半にわたって世界最高峰の舞台で輝きを放ち、2度目の引退を決断した▼「得意だから」との理由で、主導権を握りやすいサーブよりレシーブを好んだ。上がり際のボールをたたく「ライジングショット」が代名詞。テンポを変えてボールを打ち返す特技は、観客だけでなく相手選手も魅了。まねをしたテニス愛好家も少なくない▼最初に世界ランク上位に躍り出たのは90年代初頭。日本人がテニスでも世界を相手にできることを実証し、メディアやファンとプロスポーツ選手の向き合い方にも新風を吹き込んだ▼ゴシップ記事を書いたメディアには「取材は受けません」と言明。日本での熱戦中、ボールをネットに引っ掛けた際に客席から漏れた「あぁ~」のしぼみ声に、「ため息ばっかり」と叫び返し、落胆より鼓舞を求めた▼世界のトップ選手の試合を間近に観戦できる東京五輪まで3年弱。迎える側として観戦する目と姿勢をさまざまな競技で鍛えたい。
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