2017年9月1日金曜日

【回転窓】廃線提案の固辞は妥当

先月、米投資ファンドのサーベラス・グループが西武ホールディングスの全株式を売却したと報じられた。一時期、経営方針を巡っての対立が浮き彫りとなった緊張関係に終止符が打たれた▼4年前、西武鉄道の多摩川線、山口線、国分寺線、多摩湖線、西武秩父線などの廃止を求めたサーベラスの提案は物議を醸した。廃線には至らなかったが、現実のものとなっていたらと思うと、沿線住民や利用者に与えた影響は計り知れない▼先進・資本主義国の道路・鉄道など交通インフラ整備と経済成長の相関関係を藤井聡京大教授らのグループが分析した。それによると、整備水準が高い国の方が経済成長率も高い。他国と比べ整備水準が低い日本は、低成長にとどまっているという▼藤井氏は人口分布にかかわらず整備が行われてきた他国に対し、日本は人口の多い東京を中心に行われてきたと指摘する。交通インフラは全国津々浦々にネットワーク化されてこそ、効果を発揮する▼これからも経済成長や国力の向上へインフラの質と量の拡大が求められる。西武HD側が廃線提案を当時固辞したことは、今でも妥当だったといえよう。

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