足場を解体している韮山反射炉 |
清水建設が静岡県伊豆の国市で施工する「韮山反射炉」の保存修理工事(発注・伊豆の国市)が、29日の完成に向け最終段階に入っている。仮設足場の解体が進んでおり、連双式と呼ばれる2基の反射炉が修理後の姿を見せている。韮山反射炉の修理は2015年7月の世界遺産登録後初めて。劣化箇所も含めて必要以上に手を加えず、現状保存に細心の注意を払っている。
工事は20年10月に着手した。主な工事内容はれんがの補修、反射炉本体の補強鉄骨の塗装など。れんが補修では全体で約1万4000枚あるれんがの9%を劣化度合いに応じて新しくしたり、補足れんがを貼り付けたりした。補強鉄骨の塗装は一度すべての塗装を剥離し、鋼材にさびや劣化などがないことを確認。その上で適切な下地処理とフッ素樹脂塗装を実施した。
韮山反射炉は西洋式大型大砲の鋳造工場として1857年11月に竣工し、1864年まで稼働した。鋳鉄の溶解が実際に行われた反射炉として世界で唯一現存する。保存修理工事は1989年の大規模保存修理工事以来32年ぶり。世界遺産登録後は初めてとなる。
エポキシ樹脂での補修箇所もあえて最小限の補修にとどめた (写真は改修前) |
前回の補修工事では長期保存の観点から耐久性の高い補修材などを選定して補修した。今回は「(劣化した部分も含めて)世界遺産としてのありのままの姿を残すようにする」(清水建設の樋口尚志工事主任)ことが求められた。前回の補修時に塗布されたとされるエポキシが表出している部分は、現状をそのままに残す目的であえて手を加えず、消失したれんがを埋める補修にとどめた。
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