2021年10月1日金曜日

【3Dライダーで距離や位置など検知】大林組、クレーン自律運転システム開発

制御室で複数現場のクレーンを監視・制御する(大林組提供)

  大林組がクレーンの自律運転システムを開発した。運搬したい目的地点の位置情報を指定するだけで人工知能(AI)が最適な運搬ルートを自動生成し稼働する。つり荷に障害物が接近した場合、減速・停止しルートを再作成するなど高い安全機能を備える。さまざまなクレーンに適用でき遠隔操作も可能。人力作業や高所作業が不要になる。

 対象物までの距離だけでなく位置や形状も正確に検知できる3D-LiDAR(ライダー)と呼ぶセンサー技術を活用する。3Dライダーは車の自動運転にも使われる先端のセンサー技術。センサーで取得した点群データとAIの物体検知技術を組み合わせ、つり荷の形状や周辺の作業員、障害物を把握。運搬ルートとつり荷の形状に応じた全領域を自動設定し最適な速度でクレーンを動かす。

 つり荷の揺れを検出するとクレーンが自動抑制し揺れを抑える。荷下ろし時はジャイロ効果を活用したつり荷の方向制御装置を活用。カメラ映像からのAI認識技術やGNSS(全地球測位衛星システム)による方位計測、BIM/CIMデータを基に、つり荷の向きを自動制御する。荷下ろし後はシステムが自動玉掛け装置に指示し、玉掛けワイヤを自動で外すこともできる。

 操作画面は1画面に集約。オペレーターはパソコンやタブレットで作業指示が行える。クレーンの稼働状況を共有、確認できる環境さえ提供すれば場所を問わず制御室や在宅で操作できる。開発した自律運転システムは、三重県伊賀市で施工中の川上ダム本体建設工事(発注・水資源機構)に導入。CIMデータと連携させた「任意点間の連続自律運転」を実証した。

0 コメント :

コメントを投稿