列島が秋の空気に包まれて各地の紅葉が進んできた。群馬、新潟両県境にある谷川岳は、登山者が一段と多くなる時期を迎えた▼全方位に視野が開け、山頂まで続く尾根が見渡せるようになる標高1665メートルの「天狗(てんぐ)の留まり場」。鎖につかまる岩場もすいすい登ってきた身軽な小学生に「元気ね、気を付けて」と高齢の夫婦が声を掛けていた▼ロープウエーが1319メートルの天神平まで上げてくれて、最高1977メートルの双耳峰を往復すると5時間ほどの行程。密を避けるアウトドアが人気の中で初級者向けと紹介する雑誌があったり、SNS(インターネット交流サイト)で4歳の登頂が話題になったりしたこともあり、天候に恵まれた日は多くの人が行き交う▼谷川岳は登頂ルートの一つが日本三大急登という険しい山。事故はほぼ下山時に起きている。「『易しい=安全な道』ではありません」。登山指導センターが警鐘を鳴らしている▼天狗の留まり場から何組かのグループが引き返した。経験や体力から「ここをゴールに決めて登った」そう。楽しい思い出は無事に下山できてこそ。賢明な判断を支持したい。
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