2021年10月5日火曜日

【回転窓】退廃的な都市と空飛ぶクルマ

  1982年に公開されたSF映画「ブレードランナー」は21世紀初頭のロサンゼルスを舞台に、反乱を起こしたレプリカントと呼ばれる人造人間を追う専任捜査官の姿を描いた▼物語の舞台は2019年。高層ビルが林立し、無国籍で混沌(こんとん)した街には酸性雨が降り、空中に車が行き交う。退廃的な大都市の姿はそれまでのSF映画と一線を画していた▼学生時代に見た映画の時代設定とほぼ同じ時期にさしかかっている現在。欧米などで盛んに研究されている「空飛ぶクルマ」などの話題をメディアで頻繁に目にするようになった。ホンダは先週、垂直離着陸機の開発を始めたと発表。八つのプロペラで浮かび上がり、地上約2000メートルを移動する構想という。30年以降の実用化を目指すそうだ▼テクノロジーの進歩はすさまじく映画の世界が次々に実現しているように感じる。それがいいのか、悪いのかは別として…▼ブレードランナーは物語の最終盤で敵対していた反逆レプリカントが捜査官の命を救う。想像もできない近未来の世界。人工知能(AI)が支配している、という事態がどうか起こっていないように。

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