2021年10月29日金曜日

【本体工事の準備着々】首里城復元、「見せる復興」へ21年度は保管倉庫・加工場を整備

木材倉庫と加工場の整備を控える首里城
(9月25日時点、国営沖縄記念公園事務所提供)

  沖縄を象徴する首里城(那覇市)の正殿などが火災で焼失してから、31日で2年がたつ。この間、内閣府沖縄総合事務局は復元の準備を着々と進めてきた。来年度にスタートする正殿の本体工事に備え、本年度は木材の保管倉庫と加工場を整備する。綿密な市場調査を重ね、沖縄在来樹種を含め使用木材の調達も順調という。安全性に配慮しながら復元工事の様子を一般公開する「見せる復興」にも力を入れる。

 首里城は2019年10月31日未明に発生した火災で正殿、北殿、南殿が焼け落ちた。沖縄総合事務局は「首里城復元に向けた技術検討委員会」を通じ有識者から助言を受けながら、火災の再発防止に向けた防火対策、木材を含めた資材調達の在り方など、復元に向けた課題解決に取り組んできた。

 正殿の工事に備え20年度の基本設計を経て、本年度は実施設計を行っている。基本・実施設計は国建が担当。本体工事の施工者を決める一般競争入札(WTO対象)を来年度に公告し、下半期に着工する見通しだ。26年度の完成を目指す。

 正殿の構造材には国産のヒノキを中心に、一部で沖縄在来種の「チャーギ(イヌマキ)」(長崎県産)と「オキナワウラジロガシ」(沖縄県産)を活用する。沖縄総合事務局は19、20年度に市場調査を実施し、本年度から木材を計画的に調達している。木材需給が切迫する世界的な「ウッドショック」のあおりを受け、国内でも木材流通価格は上昇傾向にあるが、特段の影響は受けていないという。

 正殿の整備に備え、使用木材の保管や加工などを行う施設(S造2階建て延べ2163平方メートル)を建設する。既に入札公告済みで年内に施工者を決める。

 沖縄総合事務局は「見せる復興」として、破損したかわらの撤去や躯体解体などの様子を公開してきた。今後の復元工事も公開する予定だ。

 木材倉庫・加工場の整備に伴い、見学デッキが使えなくなるため、正殿の近くを通る仮設デッキを整備。27日に供用を開始した。デッキには首里城の絵や復元工事の内容を展示している。並行して正殿の完成後の着工を目指す北殿と南殿の復元方針も検討を深める方針だ。

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