JR東日本は、東京・渋谷のJR渋谷駅で山手線内回りの横移動とホーム拡幅工事を実施し、25日から広くなったホームの供用を開始した。ホームを拡幅するため内回りの線路軌道を埼京線側(東側)に移動させた。線路の切り替え延長約481メートルを3工区に分け、複数の工程を同時に進行。22日深夜に始まり、25日未明には延べ約3300人の社員・作業員が工事に従事した。
2027年度の完成を予定している渋谷駅改良工事の一環。今回の山手線内回り工事は▽線路移動▽工事桁横移動▽ホーム拡幅-を実施した。工事に当たり内回りの池袋~大崎駅間を23、24の両日に運休した。
現場は外回りの山手線と埼京線に挟まれており、営業運転中は資機材の搬出入が難しい。JR東日本建設工事部大規模開発プロジェクトチームの芹澤卓哉課長は「(営業運転の妨げにならない)スペースが確保できる部分は事前に施工した。資機材を夜間に搬出入したり、ホーム下に格納したりするなどし、作業当日は線路の外からの出し入れを最小限に減らすよう計画した」と話す。
線路軌道の切り替え延長は約481メートル。うちホーム部分の約235メートルは、線路を仮に受ける橋桁(工事桁)となっている。事前に施工した約90メートルを除く、約145メートル、17連の工事桁をジャッキで横移動。最大で約4・2メートル動かした。工事桁の横移動に伴い拡幅部分のホームを組み立てた。ホーム幅は最大で約5・1メートル広がった。
ホームの北側(新宿方面、約105メートル)と南側(大崎方面、約141メートル)にある線路は、外回りの山手線と埼京線に近接し重機を置くことができない。このため作業員たちが声を掛け合いながら線路を動かしていった。南側では約64メートルを事前施工しており、残り約77メートルは横移動とともに線路の高さも上げた。最大で約2・0メートル横に動き、約0・2メートル高くなった。
JR東日本の社員、建設会社の社員、協力会社の作業員など延べ約3300人が工事に従事。一度に現場に入る作業員は最大約800人となった。芹澤課長によると、マスクや保護メガネの着用、手洗い・うがいの実施など「新型コロナウイルスの感染対策で当たり前のことを徹底し重ねてきた。万が一、感染者が出ても別の人が対応できるよう準備も進めた」という。
工事は▽北工区=線路横移動、工事桁横移動、ホーム拡幅など▽中央工区=工事桁横移動、ホーム拡幅など▽南工区=線路横移動など-の3工区に分けて実施。施工は北工区を鹿島・清水建設JV、中央工区を大成建設・東急建設JV、南工区を鉄建建設・東急建設・東鉄工業JVが担当した。
渋谷駅改良工事は5段階で実施される計画。これまでに駅の南側にあった埼京線ホームを北側に移設し、山手線とのホーム並列化工事を実施した。今回の山手線内回り工事は3段階目。今後は山手線外回りの線路横移動とホーム拡幅工事、山手線内外回りの線路とホームの高さを上げる工事の2段階を経て、27年度に全ての工事を完了する予定だ。
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