2015年7月30日木曜日

【東北の現場から】東北整備局南三陸国道/吉浜釜石道路 大船渡・釜石市境周辺工事

建設中の唐丹第1高架橋。出来高管理にドローンを活用している
◇新鍬台トンネル、16年春に工事ピーク◇

 南三陸国道事務所の本年度の事業費は約354億円と、12年4月の事務所開設以来、最大規模となる。ただ、新規の発注工事は道路改良などが4件程度と少ない。事業費のほとんどは昨年度までに発注した工事を進めるためのもので、一部は用地取得に充てられる。
 同事務所の担当区間では、15年度内に吉浜道路(岩手県大船渡市三陸町越喜来~吉浜、延長3・6キロ)が開通する。同事務所管内で新たな区間が開通するのは昨年3月の高田道路(陸前高田IC~通岡IC)以来となり、地域の期待も高まっている。
 唐丹第2高架橋を約1キロ南下した場所にある唐丹第1高架橋の現場では、大林組が導入した4枚羽の小型無人機(ドローン)が施工中の橋脚の周りを旋回していた。上空から構造物を撮影して工事の様子を詳しく把握し、出来形管理に生かしている。

 ◇専用プラントで生コン供給◇

 航空法の規制を受けるが上空250メートルの高さまでなら飛行でき、あらかじめ登録したルートを自動操縦で飛行・旋回する。地上のモニターで確認しながら構造物を撮影し、コンピューターで複数の写真を組み合わせて3次元の画像を作成する。
 同社が導入したドローンはフル充電の状態で20分程度飛行できる。飛行中に事故が起きないよう、バッテリーの残量が40%を切ると自動的に離陸場所に戻るよう設定してあるという。半年以上前に全社で4機のドローンを導入した。東北では、岩手県山田町や釜石市などの復興まちづくりで土工管理などにも活用している。
 第2高架橋は橋脚の上に屋根を設置し、雨天でも橋上で安全にコンクリート打設などの作業を行えるようにした。天候に左右されず安全かつ速やかに工事を進めるための工夫だ。進ちょくは約40%。17年3月にも上部工が連結する。

新鍬台トンネルの内部。
発破時には安全対策と効率施工を目的にバルーンを配備する
 さらに南下し、大船渡・釜石市境を越えてすぐのところに、三陸道で最も長い新鍬台トンネル(延長3330メートル)の現場がある。専用の生コンプラントを設けたほどの大規模なトンネル工事で、前田建設が施工を担当している。
 15年春に掘削を開始し、起点の大船渡側からこれまでに200メートル、終点の釜石側から40メートルを掘り進めた。進ちょくは約25%。1日当たり120人が作業に従事している。16年春には180人に増員する予定だ。発破は1日4回行うが、そのたびに作業員が坑外に避難しなくても済むよう、坑内にバルーン状の大きな幕を張って掘削を進めている。
 被災地で復興工事が活発化している影響で、生コンクリートの調達は場所によって今も滞ることがある。同現場では釜石市内に設けた専用プラントから生コンの供給を受けながら、1日6・8メートルずつ掘削を進めている。
 延長が3キロ超の長いトンネルのため発生するズリの量も多い。発生土は釜石市のかさ上げ工事に使う盛り土などに転用している。新鍬台トンネルの現場から吉浜湾口方面へ2キロほど南に下ると、新白木沢橋の施工が進められていた。吉浜IC付近に建設する橋梁で、これまでに橋台が完成、現在は前田建設が大船渡側から順番に三つの橋脚を施工している。


 工事は7日時点で30%程度まで進んだ。来年10月には上部工担当の宮地エンジニアリングが橋桁を架け終える予定だ。

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