2016年12月27日火曜日

【回転窓】「鉄道復権」の陰で

30年以上前の学生時代、国鉄の周遊券を使って北海道を鉄道でよく旅した。大陸を思わせる広大な原野や雪の森を1両や2両のディーゼルカーで行く旅は鉄道マニアでなくても楽しい。鉄道自体が一つの秀逸な観光資源でもあった▼JR北海道が、運行路線のほぼ半分に相当する約1237キロ(10路線13区間)を「単独では維持が困難」と発表したのは11月。うち3区間は廃止が前提、8区間は路線維持費用に沿線自治体の協力を求めるというから、地元の受けた衝撃は想像に難くない▼12月も、高倉健さんの映画ゆかりの留萌線の一部廃止、無人駅10カ所の来春廃止発表と北海道の鉄道をめぐる残念な話題が続いている。頻発する災害の復旧費用も路線存続の逆風になっているようだ▼国鉄時代もローカル線の赤字は問題だったが、民営のJRに国鉄のようなおおらかさを求めるのはどだい無理である。これも時代の変化と甘受せざるを得ないのかもしれない▼言われて久しい「鉄道復権」の時代は、「高速鉄道隆盛」の時代と同義でもあるだろう。その陰で地方のローカル鉄道が次々と消え行く現状は、何ともやり切れない。

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