2015年10月1日木曜日

【回転窓】道路公団民営化10年


 旧道路4公団が民営化されて、きょうで10年となる。「無駄な投資が多過ぎる」。当時、政府の道路関係四公団民営化推進委員会では、こうした厳しい声が相次いだ。改革を叫ぶ小泉政権を支持する世論も相まって、コスト縮減こそが正義というような流れが噴出した時期だった▼民営化以降、有利子負債は減り、整備費の削減やサービスエリアの充実など効果が表れている。東日本大震災で減少した観光客の呼び込みを後押しするために、東日本高速道路会社が今週末に10周年記念イベントを予定するなど地域に根差した取り組みも進む▼「道路はたくさんの人の絆を運ぶ懸け橋」。東北で整備が進む復興道路の取材で、被災地の高校生がそう話していた▼地震に限らず、災害時には、人も物資も道路なしには被災地に到達できない。だから余計にありがたさが身に染みるのだろう。民営化議論が沸騰していたころとは、道路へのまなざしは変わったと感じる▼だが、ちょっとしたきっかけで批判は再燃する。国民が疑念を持つことがないよう、襟を正しつつ必要な道路の整備と維持管理をしっかりと進めてほしい。

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