2017年5月31日水曜日

【構想段階からの官民連携確立がカギ】経産省ら、先進スタアリ整備へ資金調達プロセスガイド策定

 経済産業省とスポーツ庁は、多機能・複合型のスタジアム・アリーナ整備を後押しするための「資金調達手法・民間資金活用プロセスガイド」をまとめた。  行政機関に頼ったこれまでの方法から脱却し、より魅力的で高い事業採算を可能にする施設整備の方向性を具体的に示した。プロジェクトの構想段階から建設や運営など多岐にわたる業務・事業を精緻(せいち)に分解・分析して、公共の役割や民間事業の可能性を明確化する必要があると指摘。官民連携プロジェクトとして位置付けを明らかにした上で、民間企業が事業の上流段階から主体的に参画することで、これまでとは一線を画したスタジアム・アリーナが実現できるとしている。  これまでのスポーツ施設は建設、運営ともに行政機関が主導し、プロジェクトに伴うリスクやコストを行政機関が負ってきた。プロセスガイドでは構想段階から官民がパートナーシップを組み、検討を重ねることでスタジアム・アリーナ整備の経済波及効果や収益性、地域への貢献などで官民双方の均衡点(ベストミックス)が...

【個別施設計画の策定後押し】スポーツ庁、自治体向けスポーツ施設ストック適正化指針(案)策定

体育・スポーツ施設をどう管理し使っていくのか、 地方自治体には対応が求められている。 (写真はイメージ、本文とは関係ありません) スポーツ庁は、地方自治体向けに「スポーツ施設のストック適正化ガイドライン(案)」を作成した。体育館や競技場、プールなど行政機関や公立学校が保有するスポーツ施設を地域の財産として有効活用するため、施設管理に不可欠な適正化計画策定の手順、運用方法などを解説している。  計画策定は基本状況の把握、現状分析の1次評価、利用状況や住民ニーズなどの2次評価を経て、個別施設を対象に行動計画を取りまとめる。施設の老朽化や利用頻度、周辺人口の変化などを踏まえ、メンテナンスサイクルの円滑化に向けた環境整備、施設の集約化・複合化などを検討。自治体ごとに保有施設の整備・運用改善につなげる。  ガイドライン(案)は、13年11月に国がまとめた「インフラ長寿命化計画」に基づく、個別施設計画策定のための手引きに位置付けられる。政府が進めるスポーツ施設の集約化・複合化政策にも連...

【回転窓】韓国新大統領の公約

韓国で文在寅新政権が発足して20日余り。新大統領の経済構想は「Jノミクス」と称され、「人間中心の経済、公正で効率的な経済」を目指すものという▼前大統領の不正問題を受けて誕生した新政権だけに、経済構想でも「人間中心」や「公正」のキーワードが目を引く。新大統領は「都市再生ニューディール事業」の推進などに意欲を示しているが、韓国の建設・不動産業界には、今後の政策運営への期待と憂慮が交錯しているようだ▼業界が憂慮する一つの理由は、新政権がインフラ投資に否定的なことだ。大統領任期の5年間にわたり建設産業を困難に陥らせかねない、と本紙と提携している韓国建設経済新聞が5月11日付紙面で報じていた▼そんな中でも、新大統領が地域公約に掲げるプロジェクトには首都圏広域急行列車(GTX)の大幅拡大や西海岸の大規模干拓事業であるセマングム開発事業の加速、金海新空港(釜山市)の建設などがある。国家レベルの大型開発事業に乏しい状況でこうした公約の実現に寄せる韓国建設業界の期待は大きい▼建設投資拡大が景気浮揚...

【コンプリートは難しい?】東北整備局山形河川国道、「最上川カード」を配布

 東北地方整備局山形河川国道事務所は、50年前に山形県南部から新潟県北部にかけて洪水をもたらした羽越水害の記憶をとどめ、地域住民に防災意識を高めてもらうため、山形県内各地で災害記録パネル展を開いており、開催地ごとに記念の「最上川カード」を配布している。  同パネル展は北陸地方整備局羽越河川国道事務所、山形、新潟両県の関係自治体などと共同企画している羽越水害50年記念事業の一環。  今年3月にJR山形駅コンコース(山形市)からスタートし、8月26日に南陽市で開かれる50年記念行事まで、最上川上流域の20市町で巡回中。パネル展では、67年8月の豪雨に始まる洪水被害と復旧の様子をメインに、開催地ごとの災害記録をそれぞれ1週間にわたり紹介している。  最上川カードは来場者に見学記念として全21種類が用意され、毎回異なる図版を1枚ずつ公開。これまでに歌川広重の「出羽 最上川月山遠望」や、天童豊栄床固(洪水復旧工事と魚道整備)、白鷹山レーダー雨量計など9枚が登場している。10枚目は、31日...

【大林組、汎用遠隔操作装置を初導入】熊本城石垣撤去現場に無人化建機採用

高所作業車(写真左側)から重機を遠隔操作し地震で崩れた石垣の石材を撤去 熊本市と大林組は29日、16年4月の熊本地震で被災した熊本城(熊本市中央区)で進めている飯田丸五階櫓石垣復旧事業の工事の状況を報道関係者に公開した。安全面を考慮し、重機を無人で操縦できる汎用遠隔操縦装置「サロゲート」を初めて現場作業に本格的に導入。特殊なアタッチメントを取り付けたバックホウを高所作業車から無線操縦し、一つ一つ丁寧に石材を撤去している。6月半ばをめどに撤去を終える見通しだ。 続きはH...

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/川崎地質の協力で土砂災害セミナー開く

 国立土木工学大学(NUCE)と土木コンサルティング会社のVJECは5月24日、日本の川崎地質の協力を得て土砂災害に関するセミナーを開いた。会場には関係省庁や建設会社の関係者のほか、両国から多数の研究者が詰め掛けた。  ファン・クアン・ミンNUCE副学長は冒頭、「ベトナムは土砂崩れなど自然災害の影響を受けやすい。毎年のように大規模な洪水や地滑りが発生しており、自然環境だけでなく地域生活にも大きな被害を与えている。ベトナムの研究者がセミナーを通して日本の経験から学び、土砂災害に対する理解を深めてほしい」とあいさつした。  グエン・ホアン・ザン教授はセミナーで、両国の技術者ネットワークを拡大し、類似のテーマでワークショップの開催を検討すると話した。 (セイ・ズン、5月29日)...

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/自治体、インフラ予算確保に躍起

大統領公約に全国の均衡発展と地域インフラ事業が大量に盛り込まれていることを契機に、地方自治体が来年度予算(国庫)確保のための「銃声なき戦争」を繰り広げている。  大統領府や国会を相手にした「ソウル・キャンプ」を設けるという構想まで出てきている中で政府当局は難色を示している。  政府や関係機関によると、各自治体が来年度予算案編成に着手した中、本年度に比べて大幅増の国庫確保方策を推進中であることが分かった。  地方財政統合公開システムによれば、本年度の自治体全体予算は前年度比6.9%増の283兆7610億ウォン。うち自治体自ら調達する地方税収入は全体の4分の1程度で、残りはほとんど国庫や地方交付税で構成される。  このため、国庫確保のための自治体間競争と中央政府・国会との「綱引き」が毎年繰り返され、それが今年はとりわけ激しい様相を示している。9年ぶりの政権交代とともに、任期途中の大統領選という特殊な状況で新政府がスタートしたためだ。  自治体はそれぞれ公約事業を前面に出して...

2017年5月30日火曜日

【収容3・5万人規模、全席個席化・屋根拡張も】川崎市、等々力2期整備の基本方針(案)策定

メインスタンドを改修した現在の等々力陸上競技場 (提供:川崎市) 川崎市の福田紀彦市長は29日の定例会見で、サイドスタンドとバックスタンドを対象にした「等々力陸上競技場第2期整備事業」の基本方針(案)を策定したと発表した。既存施設を生かした増改築を実施し、Jリーグや国際的な陸上競技大会が開催できる収容可能人数3万5000人規模で、日本陸上競技連盟第1種公認のスタジアムにグレードアップする。選手と観客の距離が近く臨場感あふれる観戦環境を実現すると同時に、全席を屋根が覆い背もたれも付いた快適な観客席にする。サッカーや陸上競技以外にも、日常的に利用できる多目的な機能を備えた複合施設への転換を目指す。  市は6月12日~7月11日に基本方針(案)に対する市民からの意見募集(パブリックコメント)を実施した上で、8月に基本方針を正式決定する。18年3月中に同事業の整備計画を策定する予定だ。  第2期整備事業は試合や大会を開催しながら実施し、施設閉鎖期間を可能な限り短縮する。Jリーグ開催...

【回転窓】「二つの老い」にも希望

「二つの老い」-。都市の郊外にある住宅団地の現状をそう表現するらしい。言うまでもなく、一つ目の「老い」は建物の老朽化、もう一つの「老い」は住民の高齢化のことである▼住まいのある東京郊外の住宅団地で先日あった管理組合の総会の議案書にもこの文言が書かれてた。本体は丈夫でもエレベーターの無い住棟は一つ目の老いに当たろう。総会の出席者や管理組合の役員を見渡すと、二つ目の老いも覆い隠せない▼「孤独死に備えて住人の緊急連絡先を把握する必要がある」「マイカーを手放す高齢住民が増えて駐車場が余り、管理費収入が減り続けている」「集会所の和室が膝の痛い高齢者に敬遠されて利用が低調」…。会合の話題には何とも気がめいるものも多い▼が、もちろん希望がないわけではない。豊かな緑とゆったりとした敷地に恵まれた郊外の団地は子育て世代にとっては好環境といえる。最近は実際に移り住んでくる若い家族も見掛ける▼多様な世代がコンパクトに暮らす街は、これからの都市の理想形の一つにもなるだろう。高度成長時代が生んだ団地という...

【記者手帖】安全大会の時期に思うこと

テーブルの下に忍ばせたスマートフォンで、ゲームアプリに興じる男性。熱心に操作しており、前方で登壇している人物の話は聞こえない様子◆高校や大学の教室ではない。建設会社の安全大会の最中に実際に目にした光景だ。最後列に設けられることが多い記者席から、参加者の様子がよく見える。毎年取材をしていると、会場に居ながらも大会に「参加」していない人物を見掛けることは珍しくない◆厚生労働省の発表によると、昨年の建設業の労働災害による死亡者は294人と前年より1割減ったが、産業別では最も多い。安全大会の季節になると、改めて災害の多い業界だと気付かされる。「安全大会では自分が遭遇した死亡災害について話す」という支店長を取材した。「事故の様子を生々しく話していると、それまで聞いていなかった参加者がはっとして顔を上げる」という◆発表される労災統計は無味乾燥な数字でも、被災者はすべて生身の人間。その誰もが誰かにとって大切な人だったに違いない。毎年の行事をマンネリ化させない秘けつは、そこに訴え...

【現場で鍛えた技能で勝負】TETSU-1GP、地方予選続々開催

 幕張メッセ(千葉市美浜区)で11月25日に開催される第2回「全国鉄筋技能大会」(TETSU-1 GRANDPRIX)の地方予選が全国で開かれ、各地の代表選手が続々決まっている。 関西地区の代表に決まった谷口さん㊧と村田さん  関西鉄筋工業協同組合(岩田正吾理事長)は27日、大阪府東大阪市の府立東大阪高等職業技術専門校で代表選考会を開いた。関西地区に与えられた二つの枠を懸け、8人が熱戦を繰り広げた結果、1位の谷口圭さん(富田興業)と2位の村田信一さん(田村工業)が代表の座を獲得した。 静岡県予選で1位になった立野さん  静岡県鉄筋業協同組合(池谷侑治理事長)は28日、静岡市清水区の清水テクノカレッジで静岡県予選大会を開催。県内の鉄筋工6人が参加し、1位に立野匡昭さん(長友鉄筋工業)が選ばれ、全国大会への進出を決めた。   全国鉄筋技能大会は、鉄筋工事における責任施工の大前提となる技能向上を目的に15年度から開催。競技課題は鉄筋組立技能検定1級の実技試験課題にはら筋...

【施工は鹿島JVら】栃木県総合スポーツゾーン新スタジアム新築(宇都宮市)が起工

 ◇収容2・5万人、完成は19年9月◇  栃木県が宇都宮市で計画している「総合スポーツゾーン新スタジアム新築工事」の起工式が29日に現地で開かれ、工事が本格的に始まった。2022年の栃木国体や全国障害者スポーツ大会のメイン会場となる施設。工期は19年9月30日まで。20年度の供用開始を予定している。  設計・監理は、久米設計・AIS総合設計・本澤建築設計事務所JVが担当。施工は建築を鹿島・増渕組・渡辺建設・那須土木・磯部建設・浜屋組JV、電気設備をユアテック・三信電工・大進電気工事・テクノ産業・中央電機通信・前田電設JV、給排水衛生設備を日神工業・田中工業・横山工業JV、空調設備を藤井産業・小牧工業・金箱工設JVがそれぞれ手掛ける。 計画地は総合スポーツゾーン内(宇都宮市西川田2)。建物の規模はRC一部S・SRC造4階建て延べ4万2168平方メートル。屋根には鉄骨架構の膜屋根を採用する。第1種公認の陸上競技場で、400メートルトラック9レーンが設けられる。Jリーグの施設...

【完成予定は19年度1Q】味スタ改修(東京都調布市)、18年度着工へ

 東京都は、2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会や20年東京五輪で使用する調布市の「東京スタジアム(味の素スタジアム)」の改修整備計画を明らかにした。  17年度に実施設計、18年度に改修工事の契約手続きをそれぞれ行う。同年度の着工、19年度第1四半期(4~6月)の完工を目指す。「東京スタジアム(味の素スタジアム)改修基本設計」は1億1700万円で日本設計に委託していた。  東京スタジアム(調布市西町)は、S・RC一部SRC造地下1階地上5階建て延べ8万6142平方メートル。現在の観客席数は約5万席。  ラグビーW杯の開幕までに、▽昇降機の増設▽車いす対応トイレの増設▽和式トイレの洋式化▽競技用照明のLED化▽特別観覧席の更新▽既存観客席の一部更新▽受変電設備の一部更新▽フリーWi-Fiの導入▽インゴールの芝拡張、高さ17メートルのゴールポスト設置-などを施工する予定。必要な工事は業種ごとに分割して発注する方向だ。  東京五輪の開催時、東京スタジアムではサッカ...

2017年5月29日月曜日

【五輪関連施設は19年秋完成へ】馬事公苑改修(東京都世田谷区)、インドアアリーナや厩舎など新設

再整備完了後の馬事公苑のイメージ(ⓒ 日本中央競馬会)  2020年の東京五輪・パラリンピックで馬術競技が開かれる馬事公苑(東京都世田谷区)の改修計画が明らかになった。日本中央競馬会(JRA)は五輪開催に合わせて老朽化した施設を更新。国際基準に適合した馬術競技会場にすると同時に、馬事振興の拠点として優れた指導者や技術者の育成、馬との触れ合いなどを可能にする施設にする。  改修計画では敷地内の北エリアに事務所や物販店、飲食店が入るメインオフィス(S造3階建て延べ約6740㎡)や管理センター(S造3階建て延べ約6060㎡)、審判棟(S造2階建て延べ360㎡)、二つの厩舎(RC・S造平屋延べ約1190㎡と同約1670㎡)を整備。S・RC造3階建て延べ約8670㎡のインドアリーナも新設する。南エリアには事務・JRA職員寮(S造3階建て延べ約1560㎡)と厩舎(RC・S造2階建て延べ約1800㎡)を整備する。  馬事公苑(東京都世田谷区上用賀1の1ほか、2の1の1ほか)の敷地面...

【回転窓】今年のプリツカー建築賞

今月20日に東京都港区の迎賓館赤坂離宮で、建築界のノーベル賞とも呼ばれる「プリツカー建築賞」の授賞式が行われた。日本での開催は1989年の奈良市の東大寺以来28年ぶり2回目▼今年の受賞者はスペインのRCRアーキテクツを率いるラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3氏。故郷のカタルーニャ地方に拠点を置き、スペイン国内を中心に公共建築や住宅などを設計している▼それぞれの地域の歴史や気候、文化などを深く考察し、リサイクルされた鉄やプラスチックなどの現代的な素材を創造的かつ幅広く利用。建築と敷地の関係、素材の選択を考え、幾何学を駆使して自然環境を生かした建築にまとめ上げている▼グローバル化がこのまま加速し続けると、地域性や地域独自の芸術、風習を失ってしまうのではないか。3氏の手掛ける建築は普遍性と地域性を両立させる可能性を示しており、そこが高く評価された▼地域との結び付きを建築デザインを通して考える時期が来ている。今回の選考は20世紀末的な「スターアーキテクト」の時...

【オープン予定は来年6月】千里南公園カフェ整備(大阪府吹田市)、オペレーションファクトリーに

 大阪府吹田市は「千里南公園パークカフェ整備事業」の設計・建設・運営などを担う事業者の公募プロポーザルで優先交渉権者を、飲食店プロデュースのオペレーションファクトリー(大阪市西区、笠島明裕社長)に決めた。  同社は食パン専門店とカジュアルイタリアンカフェ(終日営業)などを提案。市は同公園(津雲台1の3)に新たなコミュニティー空間をつくろうとパークカフェの設置を企画した。  パークカフェの事業用地は3000平方メートル弱で建築面積は約100~500平方メートルと設定していた。  同社は食パン専門店などの営業や料理教室など定期的なワークショップの開催なども提案。市では整地工事や上下水道工事を行う。事業者は11月ごろにパークカフェの工事に着工、18年6月ごろのオープンを予定。公園の開設面積は10・5ヘクタールで1963年に開設。阪急電鉄千里線南千里駅から北へ徒歩5分の場所にあ...

【技術移転で現地に貢献】清水建設ら、越ホーチミン地下鉄のシールド工事始動

 ベトナムの都市部で初となるシールド工事がいよいよ始動する。  交通量が多く歴史的建造物が立ち並ぶホーチミン市中心部で、バーソン駅とオペラハウス駅を結ぶ781メートルのシールドトンネル2本を掘削する難工事。施工を担当する清水建設・前田建設JVは、経験がない現地企業への技術移転も進めながら、月進250メートルを目標に工事を進め、来年5月の掘削完了を目指す。  同JVが施工するホーチミン市都市鉄道1号線CP1B工区(ホーチミン市人民委員会都市鉄道管理機構発注)では、西側からオペラハウス駅舎、シールドトンネル、バーソン駅舎、開削トンネルを構築する区間で、受注時の請負金額は約246億円。19年2月の完了を目指し、14年8月に着工。両地下駅舎や開削トンネルの施工を進めてきた。  先行するオペラハウス駅舎の施工では、駅舎に隣接するオペラハウスやREX HOTELなどの歴史的建造物群が軟弱地盤の上に直接基礎で立っているため、建造物の挙動解析と計測管理を綿密に行いながら、地下4層、深さ27メー...

【凜】新日本建工(高松市)・伊澤ももさん

 ◇自分の勘を信じ転身決断◇  国土交通省の非常勤職員からこの春、内装工事を手掛ける高松市の新日本建工へ。関東出身。初の四国行きには、多少の不安もあった。それでも、地方を経験してみたかったという思い、そして持ち前の好奇心から「何か面白いことができそう」という自分の勘を信じて転身を決断した。  入社後、建設業特有の事務処理や経理を学びながら、事業計画の研究に取り組んでいる。  岡村真史社長が、社業の傍ら市内の内装異業種と連携してつくった職人育成塾で代表理事を務めており、その広報や事業計画づくりも手伝っている。担い手確保・育成の施策に取り組む建設産業行政を見続けてきた経験が生かされている。  それでも建設業界には足を踏み入れたばかり。今は業界がどのようなものかをしっかりと学びながら、「自分でしてみたいこと、自分でできることを見つけていきたい」。女性ならではの視点で現場のあり方も考えていきたいという。  次から次へとアイデアを出してくる社長の指示を受け止めながら、同時並行で複...

【建設業の心温まる物語】ヒメノビルド・北山昇平さん(愛知県)

 ◇この仕事を続けていく覚悟ができた日◇  入社して1年目に、マンション新築工事現場に配属になりました。8カ月間の工事でした。施主さまは親の代から続いていたご商売をやめられ、敷地内にマンションを建設するという計画でした。近くにお住まいのため、毎日施主さまと顔を合わせました。そのご様子から、マンションが完成する日を毎日楽しみにしていらっしゃることをひしひしと感じました。  私は入社1年目であったため、上司に指示された目の前の仕事をとにかく一所懸命に行っていました。ほうきで現場を掃いたり、ゴミを拾ったりして行う現場の清掃。夏の暑い中、作業員さんと一緒にバイブレーターを持ちながらのコンクリート打設作業。夜にはドラフターに向かっての施工図作成。朝から夜まで働きどおしで正直なところ体はきつかったですが、それ以上にこれまでの人生の中で、経験したことのないほど充実していました。  建物が完成に近づき足場を解体すると、マンション全体の姿が現れました。自分が関わって作ったと思うと感無量でした...

【建設業の心温まる物語】小島組・田平宏樹さん(愛知県)

 ◇カメルーンでピンチを救ってくれた人◇  待望の第一子が生まれたばかりのときでした。海外出張が決まりました。場所は日本から遠く離れたアフリカのカメルーン。サッカー選手エムボバの出身国ですが、それ以外にカメルーンの知識は全くありませんでした。最初に言葉の問題がありました。他の外国のゼネコンと一緒に工事を進めるため、その国のことばがメイン。当社で外国人のWさんを通訳として雇いました。通訳を介しての交渉は難しく苦労しました。  そんな中、最大の問題が食事でした。外国のゼネコンが用意した料理長の味が、私たちに合いません。そして外国の方のマナーにも悩まされました。食事は食堂で食べるビュッフェスタイルで、人気のあるおかずには早くから人が並びすぐになくなりました。  後ろに3人待っていても気に入ったおかずであれば全て自分の器に入れてしまいます。たまに出るフルーツは我れ先に持ち去り、人気のないおかずばかり残っていました。事態は更に悪化し、食事の開始時間を守らなくなりました。あまりのマナーの悪...

【建設業の心温まる物語】奥村組土木興業・佐々木慶仁さん(大阪府)

 ◇私の人生を変えた大震災と明石海峡大橋◇  小学校6年生の卒業式の日、私はテレビで東日本大震災のニュースを見ました。建物や人を押し流す津波や、燃え上がる火災の映像を見て、とてもショックを受けました。  その時私は、人の命を守る仕事ができる消防士になりたいと思いました。その後、災害が起きた際でも、地図を見ただけで安全な場所と危険な場所が分かるようになりたいと思い、土木を学べる学校への進学を決意しました。  高校で土木を学んでいく中で、まず人を守りたい、未然に人々の安全を守れる仕事がしたいと思うようになりました。「地震で家が倒壊したり、洪水で流されて亡くなる人を限りなくゼロに近づけたい」、そんな思いで土木の学問に取り組みました。  その後、地図に残るような大きな仕事をしたいと思うようになりました。それには、私の家の近くにある明石海峡大橋が大きく影響しました。いつ見てもその偉容は変わることなく、とても大きな存在感があります。  また土木の勉強を積んでからは、この橋を完成...

【サークル】綿半HD 野球倶楽部

 ◇目指すは東京ドームや神宮球場での試合◇  15年に綿半ホールディングス(HD)内の各社間の交流と健康維持のために公認スポーツクラブの公募があり、野球好きの社員が集まって「綿半Holiday9」が結成された。  現在の所属部員は25人。業種や部門が異なるさまざまな社員が参加し、年齢層も新入社員から管理職までと幅広い。甲子園出場経験者から未経験者までいる。  「全員で野球を楽しんで、勝つことをモットーに活動している」と話すのは、代表を務める馬場寿さん(綿半ソリューションズ)。会社からほど近いグラウンドで練習に励むほか、各部員がバッティングセンターに通って技術を磨いている。  練習の成果を発揮するのが試合。年間12~13試合程度をこなす。「他チームと交流を深め、試合する機会をもっと増やしたい」(馬場さん)と意気盛んだ。  今後の目標は、東京ドームや神宮球場で行われるような規模の大きい大会に出場すること。そのためには、定期的に練習できる環境を整える必要があるが、「会社近くのグ...

【駆け出しのころ】ナカノフドー建設執行役員海外事業本部副本部長・外岡三弥氏

 ◇おかげさまの気持ち大切に◇  映画「黒部の太陽」や「海峡」の影響も受け、大型土木工事を手掛けるゼネコンに絞って就職活動をしました。中でも海外プロジェクトへの思いは人一倍ありました。当時は名古屋への五輪招致でソウルに敗れたこともあり、各社の採用は下火で、1年間の就職浪人をしてしまいました。  就職浪人を相手にしてくれる企業はほとんどなく、困っていると、大学の就職部長が「どうしている」と心配して電話をかけてきてくれたので、「こういう状況です」と伝えました。そこで「土木は強くないけれど、海外展開をしている面白い会社がある」と勧められたのが当社でした。  就職部長の大学時代の同期が役員をされていると聞き、尋ねていくと、「よく来たな。座りなよ」と言ってくれました。それまで多くの企業に断られ続けてきたので、この言葉をすごく温かく感じ、拾ってもらったという感謝の気持ちでいっぱいでした。  海外で仕事をしたいという熱意が伝わり、入社1年目の終わりごろ、海外の現場に配属されました。今では考...

2017年5月26日金曜日

【JAXAの不整地走行ロボ活用】竹中工務店ら、盛り土締め固め自動RI試験ロボ開発

竹中工務店は25日、竹中土木、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、盛り土の締め固め試験を自動で行う「自動RI試験ロボット」を開発したと発表した。従来の人力による試験に比べ、所要時間を約15%短縮できるという。今後、竹中土木などが手掛ける道路建設工事への適用を目指す。 続きはH...

【積女ASSALだより】あすなろ建築事務所・今野亜紀さん

 ◇楽しく情報を共有◇  昨年の4月に新卒として入社し、現在は主に建具の積算をしています。  大学では心理学を専攻していたため、入社当時は積算の知識が全くありませんでした。そこで仕事を通して経験を積むだけでなく、積算士試験を受験するという目標を立てました。試験では意匠や構造など幅広い知識を問われるため、初心者の私が積算の考え方を学ぶにはとても効率的な方法でした。講習会にも参加する機会があり、積算の知識だけでなく働き方について先輩方のお話を聞くことができました。  楽しく情報を共有できる機会のため、つながりを広げていけたらと思います。資格取得を通して得た経験は今後の実務にも生かしていきたいです。  (こんの・あき)(次回は大成建設の武内恵美さんを紹介します)...

【回転窓】「訓練~就職」定着を

未就業者に無料で職業訓練と資格取得の機会を提供し、就職支援までをセットで行う厚生労働省の「建設労働者緊急育成支援事業」。建設業振興基金が受託している同事業が3年目に入った▼全国各地の業界団体などと連携し、地域の特性を生かしながら、訓練に参加する人材を集めて事業が展開されている。事業は5年計画。トータルで5000人が訓練を受けることを目標にしている▼参加する人材は年齢も経歴もまちまち。建設業に対する思いも各人各様だが、建設現場で必須の訓練や資格取得を自ら行えば相応の費用がかかるところを無料で参加できる。そこに大きな魅力を感じて参加する人たちが多いようだ▼企業にとっても、建設について何も知らないままより一定の訓練を受けてくる人材は魅力。入職後の教育にかかる時間やコストを抑え、即戦力として働いてもらうことができるからだ▼業界や企業が主導する将来の担い手の確保・育成。これを国が支援する事業も折り返し点に差し掛かっている。終了後も、訓練から就職支援という一連の流れを定着させることができるか...

【若手・中堅社員に出会いの場提供】都中建、7月に初の婚活パーティー開催

東京都中小建設業協会(都中建、山口巖会長)は25日、会員会社(計132社)に勤める独身の男女同士の結婚を後押しする初の「婚活パーティー」を開催すると発表した。若手・中堅社員の職場定着促進策の一環として企画した。7月23日(日曜)の午後2時から東京都新宿区にある「日比谷BARの食卓新宿店」で開催する。  対象は会員会社に勤める20~40代の独身男女各15人。応募は先着順に都中建へのFAX(03・3354・7271)で受け付ける。参加費は男性3000円、女性2000円。会員各社からは協賛金として参加者1人当たり5000円を募る。  都中建によると、現時点で会員会社に勤める20~40代の独身者が何人いるか詳細に把握していないが、各社からは出会いの場を確保してほしいとの要望が多かったという。パーティーでは異性の参加者全員と会話できる時間を確保する。2回目以降の開催は同日の様子や参加者の意見などを踏まえて検討する。  建設業団体が主催する婚活をテーマにしたパーティーやイベントはこれま...

2017年5月25日木曜日

【5年連続増加、初の600万円台に】上場企業の平均年間給与、605・7万円に

 民間信用調査会社の東京商工リサーチがまとめた2016年の「上場企業平均年間給与」調査によると、上場3079社の年間平均給与は605万7000円となり、前年に比べ6万3000円増加した。2011年の調査開始以来、5年連続の増加で初めて600万円台に乗った。 建設業161社の平均年間給与は671万9000円(前年比1・9%増)業種別で見ると金融・保険業(153社)の702万9000円に次いで、10業種の中で2番目に高い水準にある。  建設業の平均年間給与は618万6000円(2011年)→623万1000円(2012年)→624万9000円(2013年)→637万8000円(2014年)→658万8000円(2015年)と推移している。  個別企業の平均年間給与で最も多い金額帯は500万円以上600万円未満の936社(構成比30・4%)。次いで600万円以上700万円未満が755社(24・5%)隣、500万円以上700万円未満が3079社中1691社と半数を超える...

【回転窓】書写山と落書き

兵庫県姫路市の書写山円教寺を訪れた。天台宗三大道場の一つ。岩山の中腹に設けられた舞台造りの摩尼(まに)殿や、国内最大規模の仏堂である食堂(じきどう)などが森の中に連なる。「西の延暦寺」との評も納得がいく見応えだった▼宝物殿に弁慶が学んだという勉強机がある。鬼若と名乗っていた若い頃に同寺で修行に励んだという。だが、寝ている時に顔に落書きをされて激怒。いたずらをした兄弟子と大げんかになり、そのいさかい時に火が講堂などに燃え移ってしまう▼その再建に向け、資金を集めようと太刀を奪い歩く中で牛若丸と出会う。伝説も含まれようが、歴史の一幕を想像しながら見入った。もう一つ興味深かったのが、戦国時代に柱に彫り込まれた落書き。羽柴(豊臣)秀吉に占領された時代のものという▼険しい地形で守りに有利な上、兵士が寝泊まりできる施設も豊富。秀吉は、播磨地方を支配下に収めようと争う中で本陣に選んだ。僧侶は追い出され、多くの仏像や寺宝が略奪されたと伝えられる▼争いの時代に文化より時の権力者の思惑が優先されるのは...

【曲面屋根が美しい…】竹中工務店ら、木造複層格子梁を開発

 竹中工務店と一粒社ヴォーリズ建築事務所は曲面の屋根をつくる木造の複層格子梁を開発し、国内で初めて滋賀県近江八幡市の学校施設に適用した。  木造複層格子梁は主材となる上弦材と下弦材を短辺方向に架け、斜材を上下弦材の間にトラス状に組み込む架構。トラス成を確保することで部材の小断面化と製作工期の短縮を実現した。  斜材は屋根の面内剛性を高めるだけでなく、屋根構造の立体的な力の伝達にも役立っている。  導入したのは学校法人ヴォーリズ学園の「ヴォーリズ記念アリーナ」。ヴォーリズ学園が屋根構造を木造にするよう求めたのを受けて、両社が複層格子梁を開発した。  複層格子梁に使用したのは工場生産の湾曲集成材。複層格子梁にしたことで断面を220ミリ×450ミリにサイズダウンできたという。  最初に下弦材を設置してその上に斜材を置き、さらに上弦材を設ける。材料同士は金物で接合する。伝統木造の技術「貫架構」を組み込むことで屋根架構を一体化。木質系の母屋と組み合わせることで暖かみのあるシンボリック...

【総合運動場整備が始動へ】佐賀県、6月補正予算案に基本設計費計上

総合運動場の完成イメージ 佐賀県は、17年度一般会計6月補正予算案の要求状況をまとめた。要求額は46億92百万円。現計予算額と合わせた予算額は前年同期比2・0%減の4381億94百万円となる。目的別要求額のうち土木費は15億97百万円、部局別要求額のうち県土整備部は15億61百万円となった。  主な要求ではスポーツを楽しむ環境整備事業費として2億67百万円を要求するとともに18年度までの限度額2億82百万円の債務負担行為を設定。予算が可決されれば総合運動場等整備のアリーナや水泳場、陸上競技場などの基本設計などを行う。  施設整備は県総合運動場と県総合体育館(いずれも佐賀市日の出)がある一帯で行う。整備基本計画によると、総合運動場の競技施設周辺の西エリアは屋外競技を中心とした拠点、総合体育館周辺の東エリアは屋内競技を中心とした拠点とし、総合運動場陸上競技場の東側の国道に面した駐車場周辺の中央エリアにアリーナなどを新設する。  新設するアリーナのメインアリーナはバスケットボー...

【ピーク時の2割減に】16年度末の建設業許可業者、46・5万社

国土交通省は24日、2016年度末(17年3月末)時点の建設業許可業者数を発表した。総数は46万5454業者で前年度末に比べて0・5%、2181業者減少した。減少は2年連続で、ピークだった1999年度末(60万0980業者)と比べ22・6%減となった。新たな許可業種区分として16年6月に申請受け付けを始めた「解体工事」は1万3798業者が取得した。  続きはH...

2017年5月24日水曜日

【回転窓】「夢の技術」発信しては

今から3年前、本紙が「50年後に実現させたい夢の技術」をテーマに募った60のアイデアが「建設再興-新時代の技術産業へ」と題した企画特集号に掲載されている(2014年10月15日発行)▼例えば、樹脂ではなく実際の土砂を使ってあらゆる起伏や斜面などを成形するのが「3Dプリンター型建機」。層を重ねて上方に成形するだけでなく、地下を削って下方にも構造物を造ることができ、実現したら画期的な技術になるだろう▼軟らかい状態ではラップのように薄くて簡単に曲げられるが、硬化させると高強度になるのが「自由自在な素材」。空気を透過させ、呼吸するように最適な温度の空気を室内に取り込める▼建設会社や行政機関などで働く人たちから寄せられたアイデアはどれも興味深く、建設技術の未来を予感させてくれるものばかりだった。今読み返しても、近い将来に実現してほしいと期待が膨らむ▼経営環境が厳しい時代を経てきた建設産業は長い間、どこか「夢」を語れないでいたのかもしれない。未来を託す担い手たちを確保・育成していくためにも、...

【施工は竹中工務店JV】三菱地所、6月1日にホークスタウン跡地商業施設(福岡市)着工

三菱地所は、福岡ヤフオクドームに隣接する福岡市中央区地行浜で進めているホークスタウンモール跡地複合再開発計画の大規模商業施設の地鎮祭を6月1日に開く。竹中工務店・錢高組・小林建設・松本組・坂下組JVの施工で着工する。建物規模は2棟総延べ約12万5000平方メートル。設計・監理は三菱地所設計が担当。18年度下期の開業を目指す。  商業施設棟は本体棟がS・RC造4階建て、アネックス棟が同8階建て。同社の旗艦商業施設ブランドである「MARK IS(マークイズ)」を冠し、賃貸面積は約4万8000平方メートル。同社グループで最大級、福岡市の天神地区以西で最大規模の商業施設となる。建設地は中央区地行浜2の2の1。跡地では商業施設棟以外に三菱地所レジデンスによる高層分譲マンション2棟の建設も計画してい...

【体育館など3施設検討】鹿児島県、大規模スポーツ施設整備で6月にも有識者委初会合

鹿児島県は、大規模スポーツ施設のあり方検討に着手する。6月にも有識者らで構成する検討委員会の初会合を開き、総合体育館、ドーム球場、サッカースタジアムの3施設の必要性や実現可能性などを検討する。  このうち総合体育館については三反園訓知事がこれまでも必要性を認識していると発言しており、優先的に検討を進める見込みだ。  県は本年度一般会計当初予算に大規模スポーツ施設のあり方検討事業として319万4000円を新規計上し、現在は有識者らで構成する検討委員会の設置準備を庁内で進めている。初会合は三反園知事が6月上旬ごろに開催したいと表明しているため、これを念頭に日程調整しているもよう。検討内容や検討期間などは初会合で決めるとし、現段階では明らかにしていない。  施設のうち総合体育館は前知事時代にメインアリーナ、サブアリーナ、武道場などで構成する施設の基本構想をまとめたが白紙撤回した経緯があり、優先的に検討する。必要性を議論し、必要性が認められれば機能や立地場所など踏み込んだ検討に入る...

【研究室訪問】東京大学工学部建築学科・伊藤毅研究室

 ◇「領域史」研究を切り開く◇  東京大学工学部建築学科の伊藤毅研究室は、東大初の「都市史」を専門とする研究室だ。  伊藤教授は、時代・地域を問わず幅広いテーマを扱い、世界各地で現地調査を実施。2013年には「都市史学会」を立ち上げ、建築と土木、都市をつなぐインフラに着目した都市史研究を深めている。これまで優秀な研究者を輩出しているほか、「建築史を素養として身に付け、卒業後は建築設計の道に進む学生が多い」(伊藤教授)という。  伊藤教授の研究の出発点は日本の都市史だが、1999年から一年間、コロンビア大学客員研究員として米国で過ごしたことをきっかけに、海外の都市にも目を向け始めた。植民都市として栄えたキューバの首都ハバナや、13、14世紀に成立したフランス南西部の新都市「バスティード」の調査を実施した。  東大の建築と土木の研究者が連携して進める研究プログラムに参加したことを機に、建築と土木と都市をつなぐ「インフラ」に着目。オランダ北部フリースラント州に多数現存するテルプと...

【こちら人事部】五洋建設/「進取の精神の実践」可能なフィールド提供

新入社員研修では現場で行う朝礼の演習も実施している  1896(明治29)年に水野甚次郎が前身となる水野組を広島県呉市で創業。「創造する心に国境はない」との信念の下、国境を越えた海と大地で、さまざまなジャンルの建設工事や開発事業に取り組んできた。「グローバルな臨海部ナンバーワン・コントラクター」を目指す五洋建設は、4年後の2021年に創業125年を迎える。  採用や新入社員研修を担当する大塚健経営管理本部人事部担当部長は、「求める人材は『自ら考え、行動する人』」と強調する。自身で目標を設定し、主体的に業務を遂行できる人材に期待しているという。  若い職員にも責任ある仕事を任せるのが同社の方針。「経営理念の一つに『進取の精神の実践』とある通り、失敗を恐れずチャレンジしてほしい。若手のころから、何事にも果敢に取り組む姿勢は大きな成長を促す」と力を込める。  そうした人材を獲得するため、同社では出身校ごとにリクルーター活動を実施。職場訪問やOB訪問を受け付けている。企業説明会、...

2017年5月23日火曜日

【回転窓】社内運動会、復活の効果は

5月の大型連休が終わってから6月の梅雨入りまでの間は、秋と並んで小中学校の運動会シーズン。読者の中にも、もう終わったあるいはもうすぐという方がおられよう▼わが子の晴れ姿を写真やビデオに収めようと、機材片手に奮闘する人も多いが、最近は家族席の場所取りや撮影スペースの確保をめぐる保護者同士のトラブルも増えていると聞く。家族ごとにテントを張るケースも多いとか。校庭にテントがひしめき合う光景に「まるで野外フェスのよう」との声も▼過熱する場所取り合戦に歯止めを掛けようと、学校側は保護者に注意を呼び掛けたり、抽選を導入したり。子どもそっちのけで保護者と学校、あるいは保護者同士がいざこざを起こすなど論外だが、時代とともに運動会の風景も様変わりしたと感じる▼運動会と言えば、社内行事として運動会を復活させる企業が近年増えているらしい。かつては多くの企業が開いていたが、参加者減少やコスト削減などでしばらく下火だった▼ここへ来ての復活には、親睦を深める、一致団結の機会を設けるなどさまざまな狙いがあるよ...

2017年5月22日月曜日

【業界イメージ刷新の一助に】全建協連、ユニフォームデザイン事業を展開

全国建設業協同組合連合会(全建協連、青柳剛会長)は19日、東京都千代田区の東海大学校友会館で定時総会を開き、17年度の予算・事業計画を決定した。事業計画を踏まえた活動指針として、業界のイメージを刷新するユニフォームデザインプロジェクトを展開していくことを新たに打ち出した。  青柳会長は総会後に記者会見し、プロジェクトの狙いについて、「工事現場を格好良くプロデュースしたい。作業着でも電車に乗れる、街を歩けるようになれば、社員のモチベーションもアップし、リクルートの有効なツールにもなる」と述べ、ファッションから建設業への理解促進につなげていく考えを表明。「10月ぐらいにはユニフォームデザインをお披露目できるようにしたい」と述べた。継続的な事業に育てる意向も示した。  技術者、技能労働者のキャリアパスややりがいにつながる活動も摸索。長野や群馬で具体的な取り組みが始まった施工担当技術者の名前が入った銘板の設置を拡充する活動の支援や情報提供も展開す...