ベトナムの都市部で初となるシールド工事がいよいよ始動する。
交通量が多く歴史的建造物が立ち並ぶホーチミン市中心部で、バーソン駅とオペラハウス駅を結ぶ781メートルのシールドトンネル2本を掘削する難工事。施工を担当する清水建設・前田建設JVは、経験がない現地企業への技術移転も進めながら、月進250メートルを目標に工事を進め、来年5月の掘削完了を目指す。
同JVが施工するホーチミン市都市鉄道1号線CP1B工区(ホーチミン市人民委員会都市鉄道管理機構発注)では、西側からオペラハウス駅舎、シールドトンネル、バーソン駅舎、開削トンネルを構築する区間で、受注時の請負金額は約246億円。19年2月の完了を目指し、14年8月に着工。両地下駅舎や開削トンネルの施工を進めてきた。
先行するオペラハウス駅舎の施工では、駅舎に隣接するオペラハウスやREX HOTELなどの歴史的建造物群が軟弱地盤の上に直接基礎で立っているため、建造物の挙動解析と計測管理を綿密に行いながら、地下4層、深さ27メートルの駅舎構築を推進。バーソン駅舎予定地はサイゴン川に面するため、一部を二重のシートパイルで締め切って河川水の流入を断った後、地中連続壁を構築して掘削・躯体工事を進めている。
今回着手したシールド工事は、上下線2本のトンネルをバーソン駅側から掘進する。当初は左右に並行するトンネルは、200メートルほど掘進した後に、車線が減少する地上道路の幅員に合わせて上下に並び、オペラハウス駅に到達する。2本とも外径約7メートルのシールド機1台で施工し、オペラハウス駅に向かって左側から出発。下側に到達する1本目は9月に掘削を完了。右側から上に抜ける2本目は12月に掘削を開始し、18年5月の完了を予定している。
ホーチミン市都市鉄道1号線は、日本が円借款で事業化を支援。本邦技術活用条件(STEP)の適用案件で、日本企業の優れた建設技術や車両、鉄道システムなどが取り入れられている。
シールド機での掘削は、29日に本格的にスタートする。清水建設の河合信之ホーチミン地下鉄建設所長は「シールド工法は日本では定着しているが、ベトナムでは初めて。安全、品質第一で確実な工法を採用し、急ぐことなく、緩めることなく、着実に進める姿勢を見せることで、現地の技術者にもしっかりと技術が伝わると信じている」と話し、同国初となる地下鉄シールド工事の施工に意欲を見せる。
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