2017年5月16日火曜日

【回転窓】時差ビズに期待する

 よく考えてみれば、いや考えなくても相当に異様な光景といえるだろう。朝の通勤の超満員電車のことである。あの密室空間に、大量の赤の他人が男も女も一緒くたに詰め込まれる▼見知らぬ者同士、家族でも恋人でもない男女がかなりの時間、体を密着させるような場面は、日常生活では満員電車以外にはほぼ考えられない。鉄道各社の輸送力増強の取り組みによって混雑率は低下傾向とはいうものの、数字と「実感」とはまた別だろう▼東京都が先月末、朝の通勤電車の混雑緩和に向け「時差ビズ」と銘打った運動を始めた。企業に時差出勤や職場外で働くテレワークの導入を呼び掛けるという▼環境相時代に夏の軽装運動「クールビズ」を定着させた小池百合子知事の自信がにじむネーミングである。もっとも、昨年の知事選で公約に掲げていた「満員電車ゼロ」から見ると、時差ビスの中身は少し新味とインパクトに欠ける感じが否めない▼蒸し暑さが増すこれからの季節は満員電車の不快感も急上昇しよう。男性サラリーマンの上着とネクタイを剥ぎ取ったクールビズの成功の再来を期待しつつ、知事のお手並み拝見。


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