2017年5月29日月曜日

【回転窓】今年のプリツカー建築賞

今月20日に東京都港区の迎賓館赤坂離宮で、建築界のノーベル賞とも呼ばれる「プリツカー建築賞」の授賞式が行われた。日本での開催は1989年の奈良市の東大寺以来28年ぶり2回目▼今年の受賞者はスペインのRCRアーキテクツを率いるラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3氏。故郷のカタルーニャ地方に拠点を置き、スペイン国内を中心に公共建築や住宅などを設計している▼それぞれの地域の歴史や気候、文化などを深く考察し、リサイクルされた鉄やプラスチックなどの現代的な素材を創造的かつ幅広く利用。建築と敷地の関係、素材の選択を考え、幾何学を駆使して自然環境を生かした建築にまとめ上げている▼グローバル化がこのまま加速し続けると、地域性や地域独自の芸術、風習を失ってしまうのではないか。3氏の手掛ける建築は普遍性と地域性を両立させる可能性を示しており、そこが高く評価された▼地域との結び付きを建築デザインを通して考える時期が来ている。今回の選考は20世紀末的な「スターアーキテクト」の時代の終わりを示唆しているのかもしれない。

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