2017年5月22日月曜日

【回転窓】車内ルールも出張の心得

取材の担当先によっては、毎年決まった時期に遠方への出張が続くことがある。移動時間が長いほど、さまざまな場面に遭遇する機会も増える▼カチッ、パンッ、カチカチッ。先日乗った新幹線の車内。熱心にキーボードをたたく元気な音が響いていた。「もう少し静かにできますか」。隣席の男性の指摘で控えめな音量になったが、しばらくすると指摘した男性から小さくないいびきが聞こえ始めた▼公共交通機関は、互いを尊重し気遣う暗黙のルールの上で、見知らぬ同士が空間と時間を共有する。耳障りなキーボードの打撃音の抑制を求めるのは当然の権利だし、眠りに誘われやすい車内や機内で疲れた体を休めるのも自由だろう▼ただ、物理的に音量を下げられるキーボードの音と違い、本人の知らぬ間に自然に出てしまういびきは難題である。被害者は発生源が目を覚ますのをじっと待つか、トラブルへの発展を覚悟で発生源に直接訴え出るか▼記者にとって、移動時の車内は取材内容の整理や原稿作成を進めたりする貴重な時間と場所である。もちろん休息にも。車内の平和を乱さぬよう自戒しつつきょうも遠方へ。

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