2017年5月30日火曜日

【収容3・5万人規模、全席個席化・屋根拡張も】川崎市、等々力2期整備の基本方針(案)策定

メインスタンドを改修した現在の等々力陸上競技場
(提供:川崎市)
川崎市の福田紀彦市長は29日の定例会見で、サイドスタンドとバックスタンドを対象にした「等々力陸上競技場第2期整備事業」の基本方針(案)を策定したと発表した。既存施設を生かした増改築を実施し、Jリーグや国際的な陸上競技大会が開催できる収容可能人数3万5000人規模で、日本陸上競技連盟第1種公認のスタジアムにグレードアップする。選手と観客の距離が近く臨場感あふれる観戦環境を実現すると同時に、全席を屋根が覆い背もたれも付いた快適な観客席にする。サッカーや陸上競技以外にも、日常的に利用できる多目的な機能を備えた複合施設への転換を目指す。

 市は6月12日~7月11日に基本方針(案)に対する市民からの意見募集(パブリックコメント)を実施した上で、8月に基本方針を正式決定する。18年3月中に同事業の整備計画を策定する予定だ。

 第2期整備事業は試合や大会を開催しながら実施し、施設閉鎖期間を可能な限り短縮する。Jリーグ開催への影響を最小限にするため工事は分割施工する。市は検討段階で①現状維持②増改築③全面改築-するという3案で整備手法や性能、コスト、多機能化・民間活力導入などを検証。学識者や利用団体からの助言・提言も受けながら比較検討し、最も評価が高かった増改築案の採用を決めた。
サイド・バックスタンドの増改築イメージ
増改築イメージは、両側のサイドスタンドとバックスタンドを対象に、現在の観客席をはさむ形で1階と3階に観客席を新設する。サイド・バックスタンドの収容可能人数は現在の合計1万4000人から1万1000人増え、2万5000人規模となる。高さ30mの屋根を設け、1階部分を含め全席がカバーできる構造にする。増改築案を採用することでスタジアム全体で3万5000人の収容が可能になり、観客席全体を屋根でカバーできる。観客席の個席化と45cm以上の幅があり背もたれも付いた仕様もクリア可能という。

 1階観客席の傾斜角を変更して見やすさが増す。既存1・2階席後方のコンコースが広がり、スムーズな動線確保も見込める。ユニバーサルデザインの導入、ICT(情報通信技術)や映像機能の充実など施設としての機能・魅力向上も図れる。全体工期は約25~27カ月、概算イニシャルコストは約90億~100億円を見込む。

 15年3月に共用開始した現在の等々力陸上競技場は施設面積4万3957㎡(メインスタンド2万1853㎡)、収容人数2万7495人(Jリーグ公式届け出は2万6827人)。メインスタンドは約79億円を投資して前傾型スタンドの新設や座席の増設、屋根架設、LED照明導入、車椅子席や多機能トイレの整備などを実施した。メインスタンドの収容可能人数は改修前が3531人、改修後が7495人。

 市は近く開始するパブリックコメントの結果も踏まえ、整備手法や事業費、工事期間、周辺への影響、資産マネジメントなどを勘案した整備計画を17年度内に策定する。 

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