クロマグロの完全養殖に成功した近畿大学が、民間企業と共同で養殖マグロの皮を使った商品を開発した。ブランド名は英語で魚を意味する「PISCINE(ピサイン)」。財布や名刺入れとして販売されている▼従来は捨てられてきたものを有効利用する取り組み。限りある資源を大切にし、廃棄物を減らすためにも、こうした取り組みは重要だろう▼農水産物に限らず、捨てられてきたものの二次利用は多様な産業分野で行われるようになっている。もちろん建設分野でも、解体コンクリート塊、建設発生木材、建設泥土などの転用・再利用が進む▼再利用を普及させる際に大きな課題となるのがコスト。昨年10月に建設副産物リサイクル広報推進会議が主催した技術発表会で、完全リサイクルコンクリートの研究者が「リサイクル製品はコストがかかる」と語っていた▼廃棄物の利活用は商品化までに多くの工夫が必要で、コストも高くなりがち。ピサインも皮に柔軟性を持たせる「なめし」の工程に一苦労があったそうだ。それでも、ものを無駄なく使った魅力ある商品の登場が、循環型社会を後押しすると信じたい。
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