神戸市兵庫区にありサッカーJリーグ・ヴィッセル神戸やラグビートップリーグ・神戸製鋼コベルコスティーラーズらが本拠地として使用する御崎公園球技場(ノエビアスタジアム神戸)のピッチに、天然芝と人工芝を組み合わせたハイブリッド芝が導入される。
同市は17年度予算に「御崎公園球技場改修費」として9億円15百万円を計上。建設局公園部によると、予算のうち2億20百万円がハイブリッド芝導入のための経費で、芝の育成を助ける地温コントロールシステムとともに、天然芝のピッチに人工芝の割合が5%以下になる割合で繊維を打ち込むタイプのハイブリッド芝を導入する。
工事は12月ころの着工を予定。Jリーグでは12月2日に最終戦のホームゲームが予定されている。工期や芝の育成期間を考慮するとサッカーやラグビーの試合日程と被る可能性がある。市は「(Jリーグの場合)今シーズンの終盤戦、あるいは来シーズンの序盤戦に掛かってしまう可能性があり、(どう対応するか)関係者と協議する」としている。
同球技場はJリーグの試合などで度々使用されているが、開閉式屋根による日照量の不足や風通しの問題で芝の育成が難しい状況にあった。国内では常緑のピッチを確保するため冬場と夏場で芝を張り替える方法が一般的だが、同球技場は過去に、試合中に芝が剥がれてしまう問題が起こっていた。市はラグビーワールドカップ2019大会の試合会場の一つに同球技場が選ばれ大規模な改修が必要なことから、欧州で実績を上げている人工繊維打ち込み式ハイブリッド芝の導入を決めた。
大規模スタジアムのピッチ全面をハイブリッド芝にする例は国内では皆無。一方欧米ではサッカーやラグビー、野球、アメリカンフットボールなどのピッチに数多く導入され、耐久性や稼働率の向上、維持管理作業の軽減などで実績を上げている。ラグビーワールドカップ2019大会に向けては、東京都が所有する東京スタジアム(味の素スタジアム)でも、導入に向けた検討が進む。3月に「東京スタジアムのフィールド芝導入実験業務」をオフィスショウ(東京都渋谷区)に委託。スタジアムに隣接する投てき競技練習場に人工繊維打ち込み式と、人工芝の基材をピッチ地盤に敷設する方式の2種類について、施工や維持管理、気象条件への対応といった技術的課題を洗い出す実証実験に入っている。
Jリーグはハイブリッド芝の導入を17度から解禁。スタジアム検査要項を改定しリーグが認めた仕様(ピッチ全体で天然芝と5%以下の人工芝を組み合わせ)であれば、試合が開催できるようにした。ただ大規模球技場は自治体が所有し、サッカーやラグビーなどの各クラブが使用料を払っ使うケースがほとんど。ピッチの芝をどう維持管理するか、ハイブリッド芝を導入するかなどの最終判断は自治体が行うことになり、予算確保の面などで普及拡大に向けたハードは決して低くないのが現状だ。
0 comments :
コメントを投稿