2015年7月10日金曜日

【現場探訪】45号気仙沼第2号トンネル工事(宮城県気仙沼市)/施工は佐藤工業

地域のため、復興のために工事は急ピッチで進む
 東日本大震災の復興道路整備の一環として、宮城県の気仙沼市大峠山~唐桑町境で進む「国道45号気仙沼第2号トンネル工事」(国土交通省東北地方整備局発注)。延長1167メートルのトンネル工事は佐藤工業が施工を担当。国内で4番目というトンネル幅(19・6メートル)を効率良く掘削するため、国内最大級のドリルジャンボを投入している。寒冷地での施工を円滑化する工夫や安全面のさまざまな対策も取り入れ、急ピッチで工事が進んでいる。
 国道45号気仙沼第2号トンネルは、震災からの早期復興に向けたリーディングプロジェクトに位置付けられた三陸沿岸道路の気仙沼唐桑工区(11キロ)のトンネル区間。14年3月18日に着工し、16年3月30日の完成を目指している。
 延長1167メートルは、幅14・1メートルの標準断面区間(969・3メートル)と幅19・6メートルの拡幅部区間(197・7メートル)に分かれており、6月18日現在、唐桑町側の拡幅部区間を先進導坑で170メートルまで掘り進め、87メートルまで拡幅が完了した。

トンネル幅は標準断面で14・1m、拡幅部で19・6m。
国内でも屈指のトンネル幅を誇る
 先進導坑を掘り進める際、トンネル坑口部にクラックが発生していたため、補助工法の一種である「長尺鋼管フォアパイリング工法(AGF工法)」を採用して強度を持たせた。大断面の掘削のために投入した国内最大級のドリルジャンボは、発破やアンカー打設のために岩盤に穴を開ける油圧ドリフターの重量が220キロと削岩能力が高く、作業の効率化に大きく役立っている。
 寒冷地ならではの工夫も取り入れた。冬季には最低気温が氷点下7度まで下がるため、生コンプラントには北海道仕様の防温パネルを使用。冬場はセメントの練り混ぜに温水を使用することで生コンの温度を一定にし、吹き付け作業に支障が出ないようにしている。
 安全面の対策として、作業員と重機の動線を完全に切り離すことで、重機との接触による事故を未然に防止。現場の出入り口ではダンプトラックの一時停止の徹底とクラクションを慣らすことを習慣化させている。
 現場で作業を指揮する葛城敏英所長は「周辺では数多くの工事が進行している。『トンネルの佐藤』として、周囲の模範にならなければならない」と話す。掘削作業では硬く大きな岩が頻繁に出てくるが、国道が現場に近接し、火薬を使った破砕が難しいことから、その都度、油圧削岩機で亀裂を入れ、油圧ブレーカーで破砕する作業を行っている。

「『トンネルの佐藤』として周囲の模範にならなければ」と葛城所長
 トンネルが開通すれば地域住民の生活道路としてだけでなく、物流や観光の面でも果たす役割は大きい。葛城所長は「工事は慎重かつ急ぎつつ、無事故・無災害で完工させたい」と気を引き締めている。

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