2015年7月2日木曜日

【万が一に備えよ】関東整備局が箱根山の火山活動活発化で広域支援態勢敷く

小田原出張所に配備した関東整備局保有の照明車㊧
神奈川県の箱根山大湧谷周辺の噴火警戒レベルが6月30日に入山規制を行うレベル3に引き上げられたことを受け、関東地方整備局が周辺自治体への情報連絡員(リエゾン)の派遣など広域支援の態勢に入った。万が一の事態の発生に備え、越智繁雄局長など幹部らが多数出席する予定だった1日の栃木県建設業協会との意見交換会も中止し、24時間体制で状況を注視している。噴火警戒レベルの引き上げにより、大湧谷周辺の規制範囲は、噴煙地の半径約300メートル(火口周辺規制)から、半径約1キロ(入山規制)にまで広がった。これを受け、神奈川県箱根町は県道734号と735号の一部区間を通行止めにし、一部地域の観光客などには避難指示を発令した。

 ◇周辺自治体にリエゾン派遣、24時間体制で警戒◇

 関東整備局は噴火による被害発生を想定し、火山災害対策本部を設置。管内全体に警戒態勢を敷いた。さいたま市中央区にある本局の職員の一部は、同日から局内に泊まり込み、自治体からの支援要請などにいつでも対応できる態勢を取っている。
 同30日からは神奈川県と箱根町にリエゾン2人をそれぞれ送り、現地の情報収集などを開始。富士川砂防事務所は、小型の無人航空機を飛ばして大湧谷周辺を上空から調査。横浜国道事務所は、夜間に災害復旧活動を行う場合に備え、照明車1台を小田原出張所に配備した。県庁に派遣したリエゾン2人は同30日中に帰還している。
 1日には栃木県を皮切りに、関東甲信1都8県の各建設業協会との15年度の意見交換会をスタートさせる予定だったが、箱根山への対応で開催の日程は再度の調整が必要になっている。意見交換会は、地域建設業の経営の実態や要望を把握するための重要な取り組みで、ここで出た意見や議論の内容が、受発注者のコミュニケーションのあり方や、入札契約手続きなどの改善に生かされるケースも多い。

 ◇「非常事態が起こるかも知れない」 危機感持ち最前線に◇

 関東整備局は「非常事態が起こるかも知れないということが分かっている中、対応を指揮する局長や部長が本局を離れるわけにはいかない」としている。もともと本局内で行う予定だった意見交換会は予定通り実施する方向という。
 群馬、長野両県では、浅間山(群馬、長野両県)の火山活動に対する警戒も続いている。夏場は台風の襲来が予想される時期でもあり、管内で複合災害が発生する可能性もある。台風に対しては、発生と接近、それに伴う河川の氾濫など経過に応じて各関係機関が取る対応を時系列で明確化した防災行動計画(タイムライン)に基づき、地域の被害軽減に努める。

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