2017年4月17日月曜日

【回転窓】小さな希望「みんなの家」

東日本大震災をきっかけに建築家の伊東豊雄氏が提唱し、被災地各所につくられている「みんなの家」。家を失い避難を余儀なくされている人たちに少しでも安らぎを感じてもらえるような空間を提供する被災地支援の建築プロジェクトだ▼1軒目は伊東氏が設計した切り妻屋根の木造平屋約40平方メートルの小さな集会所。同氏がコミッショナーを務める「くまもとアートポリス」の初の県外事業として熊本県の全面支援を受け、2011年10月に仙台市宮城野区の仮設住宅地に完成した▼熊本県は東北支援の経験を生かし、12年7月の九州北部豪雨で被災した阿蘇地方にみんなの家を2軒整備。熊本地震の被災地では、仮設住宅62団地に84軒のみんなの家が完成し、さらに2団地に各1軒の建設が計画されている▼みんなの家プロジェクトをけん引するアートポリスは1988年に始まった同県独自の事業。県民と共に優れた建築物を造りながら都市・建築文化を醸成してきたことが、被災地への早急な支援につながっているのかもしれない▼みんなの家-。この何とも平凡な言葉が、被災者の心を支える小さな希望になっている。

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