2017年4月14日金曜日

【施工は清水建設】浅草寺五重塔改修(東京都台東区)が大詰め


 ◇相輪設置し本体工事ほぼ完了◇

 清水建設が東京・浅草で施工している浅草寺五重塔の改修工事が大詰めを迎えている。昨年5月に着手した工事では、屋根部のチタン瓦へのふき替えや外壁塗装をほぼ完了。13日には、塔頂部に設置する相輪の付け替え工事を終えた。今後は外部足場を順次解体し、5月末には五重塔本体が再び全容を現す。

 現在の五重塔はRC造地下1階地上2階、塔層5層、高さ52・65メートル(軒高32・8メートル)の規模で、同社の施工で1973年に竣工した。築40年以上が経過し、外壁塗装や屋根が劣化していることに加え、東日本大震災で塔頂部にある高さ15メートルの相輪が破損したことなどから改修工事が計画された。

 工事では、相輪を改修するほか、根は2007年、10年にふき替えを完了した宝蔵門、本堂と同様に、アルミ合金瓦1544平方メートルをチタン瓦に更新。外壁塗装5300平方メートルの塗り替えや、前庭の基壇、床石の改修などを行う。

 現場を指揮する同工事現場の河村壽則所長は「これだけの大きさの相輪は珍しく、屋根や外壁も含めて前例のない工事。一つ一つを慎重に計画し、シミュレーションしながら施工してきた」と話す。

 昨年5月からの工事では、同7月までに外周部の足場を組み立て、同月に相輪全体をいったん撤去。その後、4月までに屋根部と外壁部の工事を完了。13日に相輪を設置し、塔本体の工事をほぼ終えた。

 相輪は、鉄骨製の芯柱の外側を、リング状に九つ連なる宝輪、その上に設置する炎をデザインした水煙、竜車と宝珠の二つの玉などの錺(かざり)金物で装飾している。東日本大震災では、宝珠が落下し、芯柱が湾曲するなどの被害が出たため、新規に製作。芯柱の柱脚部に厚みを持たせて補強したほか、上部の錺金物の素材を青銅からアルミに換え、相輪全体の重さを4991キロから4167キロに軽量化することで耐震性を高めた。

 相輪の設置工事は、28分割した錺金物を、塔頂部に大型クレーンで揚重し、芯柱を覆うように積み上げていった。芯柱の下部では、柱の太さが500ミリに対し、錺金物の内径が530ミリと隙間が少なく、塔頂部は地上35メートルと風の影響を受けやすいため、揚重作業は慎重に行われた。

 相輪の設置で塔本体工事はほぼ完了。今後は、5月末までに外部足場を解体し、前庭の改修工事を進めて9月末の竣工を目指す。河村所長は「安全に勝る品質はない。観光客も多い現場。安全第一で工事を進めていく」と気を引き締める。

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