人材確保に向けて賃金体制の見直しなどを実施―。
民間信用調査会社の帝国データバンクは、約2万3000社の民間企業を対象に、人材確保に関する意識調査を行った。調査結果によると、調査に答えた1万0082社の約7割、7281社が「2016年4月以降に新たな人材確保に向け何らかの取り組みを実施した」と回答した。
取り組み内容で最も選択率が高かったのは「賃金体系の見直し」(46・6%)で、2番目に多かった「就業制度の充実」(23・5%)に対して約2倍の割合になった。時短勤務やフレックスタイム制度、有給休暇時間取得など、大企業を中心に各社は働き方改革に向けた取り組みに力を注ぐ。ただ産業界全体で人材不足が深刻化する中、ソフト面の対応だけで人材の確保・定着を図るのは難しく、賃金の見直しを進める企業は増えている。
人材確保の取り組みを実施した企業を業種別で見ると、実施割合が7割を越えたのは運輸・倉庫業(81・0%)、建設業(79・8%)、農林水産業(77・6%)など6業界だった。
人材確保の具体的な取り組みは「賃金体系の見直し」、「就業制度の充実」に続いて「採用情報の発信」「福利厚生制度の充実」「採用ホームページの公開・リニューアル」の順。賃金体制の見直しを実施した企業を規模別で見ると、大企業は39・7%、中小企業は48・8%、小規模企業は54・2%となった。従業員数別では1000人超の28・6%に対して、51~100人は44・0%、21~50人は48・3%、6~20人は54・0%などとなり、企業規模が小さいほど人材確保に苦労している実態がうかがえる。
採用活動で企業が求める人材像は「意欲的である」の選択割合が49・0%と最も多く、続いて「コミュニケーション能力が高い」「素直である」「真面目あるいは誠実」の順だった。
求める人材像を能動型、協働型、変革型、地力型の4タイプに分類したところ、「能動型人材」よりも「協働型人材」を選択する企業が多かった。同社は「意欲の高さは重視するが、変革をもたらす個性よりも、素直でコミュニケーション能力が高い人材を欲しているという傾向が出ている」と分析している。
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