2017年4月10日月曜日

【駆け出しのころ】みらい建設工業取締役常務執行役員施工本部長兼安全品質環境本部長・神原正明氏

 ◇しっかり熟慮し前へ◇

 入社するとすぐに千葉や若洲にある寮での合宿生活が始まり、1カ月ほど測量や安全・自己啓発などの研修を受けました。毎日いろいろと勉強することが多かったため、研修期間は相当に長く感じられたものです。

 最初の赴任地は大阪でした。圧気式セミシールド工法で掘進する現場で施工は終盤に近く、50メートルほどの掘進を残した時期でしたが、一つ年上の先輩に付いて仕事を教えてもらいました。この現場の思い出は、職人さんにスコップを持って追い掛けられたことです。今では何が原因かも思い出せないのですが、とにかく必死に逃げたことは鮮明に覚えています。

 私は186センチと目立つ上背のせいか、言葉が東京弁だったせいかは分かりませんが、普通に話しているつもりでも、職人さんから「何を粋がってんねん」と絡まれることも多く、不慣れな関西弁を使うなどコミュニケーションには気を使いました。

 3年目に都市河川の改修工事を担当していた時のことです。ちょっとした雨でもあふれる水路だったため、急な雨や夜間の雨の時には、私たち職員が胴長を履いて水路に入り、ポンプに詰まったごみなどを取り除きました。この作業がつらく、こんなことまでやらされるのかと情けない気持ちになったこともありました。

 しかしながら、この現場の所長には大変にかわいがっていただきました。人情味と思いやりのある方で発注者や下請さんなどみんなから信頼されており、私はよく「前へ」と教えられました。失敗を悔やんでも元に戻ることはない、目的に向かって進む方法をしっかりと熟慮し迅速に実行せよ。ただし、報連相は怠るな。一人では何もできないと教育され、「お前が考えてやらかした失敗なら責任は俺が取る」とも話してくれました。私を育ててくれた方であり本当に感謝しています。

 会社では、内容に支障のない限り、電話のやり取りや打ち合わせは周りにも聞こえるようにあえて大きな声で話します。周囲がその内容を聞いて、いろいろ考えを巡らせてくれることが狙いです。部下には良い意味で人の話を盗み聞きするようにと言っています。普段から周囲に気を配ることで、情報の共有化が図れますので、今でも実行しています。

 また、コミュニケーションはあいさつから始まります。あいさつがしっかりできるのが社会人、会社人の基本です。相手の立場に立って考えることと、「ありがとう」の気持ちも忘れないように心掛けています。

 さて、建設業界では担い手3法・働き方改革・生産性革命と急激な改革が求められています。建設業の地位と信頼性向上のためにみんなで「前へ」。

 (かんばら・まさあき)1981年日本大学理工学部卒、大都工業(現みらい建設工業)入社。西日本土木本店工事部長、建設本部工事部長、執行役員建設本部東京本店長、取締役常務執行役員施工本部長を経て、4月1日から安全品質環境本部長兼務。千葉県出身、60歳。

現場の仕事が忙しい中、子どもと一緒に初めて旅行した時の1枚

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