地震、噴火、豪雨…。ここ数年の間に国内で起きた災害が時系列で記された資料を見ただけでも、日本がいかに自然災害の多発国であるかが分かる▼熊本地震の発生から1年がたち、防災の必要性を改めて実感している人は多いだろう。だが発生が懸念される南海トラフ地震で津波被害の危険性が高い地域でも、東日本大震災で出された大津波警報を受けて避難した住民の割合は低かったとの調査報告もある。この地域に限らず、今後も住民の意識啓発は重要な課題だ▼防災学が専門の牧紀男京都大学防災研究所教授は、戸田建設発行の『TODA COMMUNICATION』(NO.109 2017)のインタビューで「まずは、災害を自分の問題として考え、想像をたくましくすることが重要です」と指摘している▼さらに牧教授は、防災意識の向上につながる一つの好例に、東京都が15年9月に都民全世帯に無料配布した防災ハンドブック『東京防災』を挙げている。デザインや編集方法が斬新で、「読みたくなる防災ブック」と評価する▼いたずらに危機意識をあおるつもりはないが、事前防災は「想像」から始まる。
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