日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)は20日、時間外労働の状況などをまとめた「時短アンケート」の結果を明らかにした。
16年11月の状況を調査しており、全体の1カ月の所定外労働時間は52・3時間(前年58・8時間)に減少した。ただ外勤者は建築、土木とも70時間を超え、「月45時間以内の目標達成はほど遠い状況」と指摘。100時間以上の外勤者が2割存在し、所定外労働時間の是正を強く求めている。
調査は加盟35組合のうち32組合の1万2532人から回答を得た。全体の所定外労働時間は減少傾向にあり、国土交通省や建設会社、関係団体が休日取得に力を入れ、会社側の経営課題の中で「休日取得の優先順位が高まっている」(日建協)ことが背景にあると分析している。
ただ内勤者の所定外労働時間は建築が35・2時間(41・3時間)、土木が35・4時間(38・7時間)だったのに対し、外勤者は建築が71・9時間(79・9時間)、土木が72・3時間(79・5時間)でともに前年と同じ70時間台。所定外労働時間は、外勤者ほど依然長く、過労死のラインを超えるとされる月100時間以上が外勤者(事務職含む)の20・9%(29・1%)を占めた。所定外労働の時間が多い理由は▽発注者向け書類が多い▽仕事量が多い▽配置人員が少ない▽工程が厳しい-が多かった。
建設業に魅力を感じる組合員の割合は23年ぶりに6割台に回復した。魅力を感じない人の理由のトップは前年と同じ「労働時間が長い」で、外勤者はその割合が7割を超えた。ベースアップや一時金の割り増しなど処遇改善の動きが広がっていることもあって、2番目の理由には前年の「賃金水準が低い」が3番目となって「前近代的体質が残っている」が浮上した。
前近代的体質の一つと見られるのは、「有給休暇の取得」で、外勤者の7割は「平日に休むことに『ためらい感』」がある結果となった。日建協は労働環境は改善傾向にあると認識しており、調査結果を行政機関や発注者、加盟組合の企業に報告し、取り組みへの協力を求める。統一土曜閉所運動の実施にも力を入れる。
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