2019年9月30日月曜日

【回転窓】瓦屋根の街並みを絶やさない

 台風15号は千葉県を中心に深い爪痕を残した。暮らしやなりわいの基盤に深刻な被害が生じ、今もブルーシートが掛けられた瓦屋根の住宅が目に付く▼屋根の修復作業にいち早く取り掛かりたいところだが、修理用の瓦の生産が追い付かず、日本瓦(和瓦)職人の手配も間に合わない状況だ。和瓦は地域性が強く、広域応援で駆け付けた職人が千葉の瓦屋根を修復するのはなかなか難しい▼和瓦の職人不足と、和瓦の出荷量減少は無縁ではない。瓦全体の出荷量はピーク時に年間約20億枚だったが、近年は4億枚程度にまで減少。和瓦が占める割合はピーク時の8~9割から3~4割まで低下し、担い手減につながった▼全日本瓦工事業連盟は19、20日に屋根被害の現地調査を実施。報告書の公表が待たれるが、過去の調査ではメンテナンスしていない瓦屋根で被害が多発した。建築研究所監修のガイドラインに基づき設計・施工された瓦屋根は被害がないとの報告もある▼瓦は日本の美しい風景をつくりだす重要な要素の一つ。「瓦屋根=災害に弱い」との風評で需要と職人を減らし、日本ならでは街並みを絶やしてはいけない。

【米軍基地跡地に新都市整備】日本工営、比スマートシティ開発のインフラ設計受注

 日本工営はフィリピン・マニラ近郊で計画されている大規模都市開発事業「ニュークラークシティ(NCC)」のインフラ設計業務を受注した。

 フィリピン基地転換開発公社(BCDA)と日本の海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が連携し、マニラ首都圏の北西約120kmにある旧クラーク米軍基地跡地(敷地面積9450ha)に新都市(約3600ha)を開発する国家プロジェクト。政府施設の移転や高速鉄道の建設などにより、2065年までに120万人の居住人口と80万人の雇用を創出する。

 同業務は日本工営とグループ会社・Philkoei InternationalのJVで行う。業務概要は新都市でのスマートシティー開発に向けたインフラ設計(土地造成、道路、排水、電力、上下水、情報通信)のほか、マスタープランの見直しや実施中のプロジェクトとのコーディネーション、地形測量、地質調査、防災計画など。業務期間は16カ月。

 日本工営がグループとして大規模な海外スマートシティー開発プロジェクトの関連業務を受注するのはインドに続いて2件目。新都市開発により、マニラで深刻化する交通渋滞や人口密集などの課題解決を図る。

【迫力の写真で建機を紹介】芸文社が『建機グラフィックスREMIX』発売

雑誌や書籍の出版を手掛ける芸文社(東京都豊島区、宮崎有史代表取締役)は、働く建設機械をクローズアップしたムック『建機グラフィックスREMIX』を30日に発売する。橋梁の架設や地震の復興工事、ビルの解体工事などで奮闘する大型建機を迫力の写真とともに紹介している。

 現役の建機オペレーター、業界関係者、「働くクルマ」が好きな幼児など幅広い読者層をターゲットにしている。創刊号(2013年9月発売)と第2号(14年10月発売)をもう一度読みたいという読者からの要望が多かったことから、両号で紹介した9現場を別アングルから撮った写真などを使って再掲載した。

 宮城県の気仙沼湾横断橋の現場では、大矢運送(東京都江東区、大矢一彦社長)が持つ750トンつり大型クローラクレーンの組み立て作業などを追った。福島県南相馬市で活躍した青木あすなろ建設の水陸両用ブルドーザーも登場。海に豪快に突進する写真や、無線での操縦方法などを解説している。

 「建設機械パーフェクトファイル」と銘打ち、建機の歴史や世界中で稼働している建機を集めた特集ページも設けている。5月22~24日に千葉市美浜区で開かれた建設・測量生産性向上展の現場リポートも織り交ぜ、最新の業界動向を余すところなく伝えている。

 全114ページで、大きさは縦29・7センチ、横22・5センチのA4変型判。価格は2136円。全国の書店とインターネット通販で販売する。

【凛】ナブコシステム・谷尚子さん

◇憧れてもらえる存在に◇

 会社を知ったきっかけは大学の就職課にあった会社案内だった。本棚に並ぶパンフレットをいくつか手に取り、パラパラとめくるうち、見覚えのある青い矢印型の「自動ドア表示ステッカー」が目に留まった。ナブコシステムの会社案内だった。社名に「システム」と入っているがIT系ではなく、飛び込み営業もない。「自分にもできる仕事かも」。そう思い応募した。

 営業職として入社した後は、自動ドアを新たに設置した顧客のリストを基に保守契約などの営業に回った。「最初は拙い説明しかできず、あまり話も聞いてもらえなかった。本当に契約が取れるのか不安だった」。初めて契約が取れたのは秋近くになったころで、福祉施設の入り口に設置された自動ドアのメンテナンス契約。サポート体制を気に入ってくれた。それまでに50件以上回った。

 現在もメンテナンス営業を続ける。心掛けているのは押し売りにならないこと。自動ドアを全部替えれば、顧客によっては大きな負担になる。顧客の話をよく聞き、本当に必要な人に提案する。

 「周りの人のサポートがあるから頑張れる」。分からない時や悩んでいる時には営業部だけでなく、他部署の先輩から助言をもらった。今は後輩も増えたが営業職で入社する女性は少ない。「女性が営業職で入社してきたときに、憧れてもらえる存在になりたい」。まっすぐな瞳でそう語る。

 (東京第二メンテナンス支店営業1課主査、たに・なおこ)

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】矢作建設工業「チェックシャツでイメージ一新」

 一見すると建設会社の作業着には見えない青を基調としたチェックシャツが特徴で、2015年から着用している。35年ぶりだったリニューアルは「建設業の既成概念にとらわれない斬新さ」がコンセプト。アパレルメーカーとのコラボレーションで新しいユニホームを作り上げた。「おしゃれなデザインなので、ユニホーム姿で出歩いても平気」と社員からも好評だ。

 夏用シャツは繰り返し洗濯しても色あせしにくく、通気性や速乾性に優れた校倉造り織の素材。ノーネクタイでも襟元がスマートに見えるボタンダウンにした。夏用、冬用ともシャツはコーポレートカラーの青がベース。チェックのほかに水色無地も用意しており、場面に合わせて選べる。

 社員が「いかにも作業服という感じ」と話していた緑一色の作業着から大幅にイメージチェンジした。

 総務部の小塚恵美子課長は「何度も職員の意見を聞きながらリニューアルを進めた。1年間快適に過ごせる機能性に加え、誰もが抵抗なく着てもらえることを目指した」と、ユニホームに込めた思いを話す。

【駆け出しのころ】ダイダン執行役員・畑中勝美氏


 ◇失敗乗り越え達成感を◇

 1964年の東京五輪景気で首都圏の職人が足らなくなり、青森で大工をやっていた父親がコンクリート建築の型枠大工として東京に出てきました。学生時代には父親の仕事の関係で建築の現場でアルバイトをしたこともあります。

 大学でさまざまな研究に関するプレゼンテーションが行われ、そこでクリーンルームが紹介されました。小さな粉じんを除去し、宇宙や医療など多産業で大切なものだと知り、環境設備・空調設備に関心を抱きました。

 大阪電気暖房(現ダイダン)に入社後、研修を経て東京の庁舎建設の現場に勤務しました。準備期間が比較的あり、いきなり施工図の作成を任されました。手取り足取り教えるのではなく、やらせて覚えさせる当時の上司の教育・指導方針の下、1カ月ほどかけて書き上げました。

 いよいよ現場での作業が始まり、ダクトが工場から運ばれてきましたが、半分以上が廃棄処分となりました。他職との打ち合わせなどを通じて事前調整することを知らず、こちらのことだけを考えた計画だったので、うまくいかないのは当たり前です。その時は現場や会社に迷惑をかけ、ずいぶん悩みましたが、失敗から学ばさせてもらえたことは良かったと思います。

 どの現場も新しいことの連続で最初から完璧に行えたことはなかったですが、失敗の数だけ仕事を覚えてきました。上司は厳しかったですが、酒を飲みに誘われたのは楽しい思い出です。飲んでいる時の上司は説教や自慢話を一切せず、私も好き勝手に言わせてもらいました。

 チームワークが崩れた現場が一番最悪な状況に陥るため、特に大変だった現場ではスタッフとの打ち合わせを欠かさず、とにかくコミュニケーションをよく取りました。現場では先が見えない状況が続き、忙しさがピークを迎えた時に現場がふっと終わると、何とも言えない達成感と充実感が待っています。設備が稼働して空調がきちんと効いた時は今でも感動します。

 建設業界での建築設備の位置付けも、30年前に比べるとかなり重要視されるようになったと感じます。それでもいろんな立場の人たちが集まる現場では、辛く、きついことは当然あります。大変な場面はありますが、特に若い人たちには人との関わり合いを大切にし、苦労の先に報われることがあることを伝えたい。

 昔に比べて失敗に過剰反応する現在では、われわれの時代のような失敗を乗り越えて得た達成感を味わうことはできないかもしれません。個人的には若者にもある程度のことを任せ、許容できる範囲で失敗させてあげるべきだと思います。今後も明るく元気に働ける現場づくりに注力していきます。

入社3年目頃。社内のスキー旅行で同年代の仲間たちと(前列右端が本人)
(はたなか・かつみ)1985年日本大学理工学部建築学科卒、ダイダン入社。東京本社技術副統括兼技術第三部長や執行役員東京本社副代表兼技術統括などを経て、2019年4月から執行役員東日本事業部技術統括兼東京本社副代表兼技術統括。青森県出身、56歳。

2019年9月27日金曜日

【回転窓】職業教育の「○○往来」を考える

伝統技法などを紹介するテレビ番組で「今、この技法を扱えるのは、町で1人だけ」といった類いの表現を耳にすることがある。無形文化財的に残る技法ゆえ、技を身に付けた職人の手で作られたモノには希少価値がある▼かつて職人の技は、仕事の中で師匠から弟子へと伝えられてきた。門外不出、経験や勘に基づく暗黙知のイメージだが昔からそうだったのか▼江戸時代に〈読み書きそろばん〉を教えた全国の寺子屋は職業教育の場でもあったといわれる。地域の産業に合わせ特色ある教育が行われていたそうだ。寺子屋教育の中で使用されたのが職業名を冠した「○○往来」というテキスト。書簡形式の今でいうQ&A集だ。江戸の花形職業とされる大工や左官のような職人の教育でも往来物が存在する▼明治維新以降の近代化の中で、いわゆる教育と職業教育は分離した。職人の世界に共通テキストやマニュアルが不在とされるのは、近代化を目指した教育改革にあるとも考えられる▼職人の技を暗黙知から形式知へ。担い手不足で課題とされる技能伝承のために、往来物を見直し現代版へと作り替えてみるのはどうだろうか。

【10月1日から京成バスに】千葉建協、ラッピングバスで建設業の魅力アピール

 千葉県内の船橋駅や市川駅、稲毛駅などを中心としたバス路線に、建設業をイメージしたラッピングバスが運行する。千葉県建設業協会(畔蒜毅会長)が取り組む広報活動の一環。

 運行期間は10月1日~2020年9月30日。京成バスの長沼、市川営業所管内の路線を走る4台のバスにラッピングが施される。千葉建協はこれまで、鉄道駅での広告掲示やバス車内用のチラシ作成などを行ってきた。

 稲毛、海浜幕張、八千代方面を走る長沼営業所管内のルートは、「築き=気づき」がテーマのフルラッピングバスが1台運行する。市川、船橋、松戸方面を走る市川営業所管内のルートにはパートラッピングバス3台が運行。テーマは1台が「築き=気づき」、残る2台は鉄道広告で使ったフレーズ「ワカモノは建者になった」がベースになる。

 千葉建協は「建者プロジェクト」と題し、建設業界の魅力や役割を発信している。初弾の鉄道広告は18年度建設共済保険制度の広報活動表彰で最優秀賞を受賞。ラッピングバスは8弾目の活動となる。

【きょうから環境アセス書縦覧開始】成田空港、C滑走路新設・B滑走路延伸など機能強化事業実施へ

成田国際空港会社は26日、成田空港(千葉県成田市)の機能強化に関する環境影響評価(環境アセス)書の公告・縦覧を27日から開始すると発表した。C滑走路(3500メートル)の新設、B滑走路(2500メートル)の北側延伸(1000メートル)などを計画している。縦覧は10月28日まで。成田空港会社は評価書に盛り込んだ環境保全措置の具体化を検討。同社の事業展開を巡る基本計画を国が変更するのを待って、機能強化に向けた許可を国に申請する。

 環境アセス書は、2018年4月に公表した環境アセス準備書に対する住民、千葉、茨城両県知事、国土交通相などの意見を踏まえて取りまとめた。工事に伴う環境対策の定量評価結果や、ハビタット適正指数(HSI)を用いた解析結果を示した。航空機の騒音対策のロードマップも記載。飛行コースは、20年東京五輪に備えたコースに差し替え、変更後の航空機騒音の予測結果を修正した。縦覧は千葉県庁、成田市役所などで行う。

 機能強化では、空港区域を約1000ヘクタール拡張し、関連工事として高速道路を含む周辺道路の整備なども行われる。民有地が730ヘクタールあり、うち677ヘクタールは土地取得の同意を得た。社有地と公有地の約270ヘクタールを合わせると、24日時点で95%の同意を得たことになるという。26日に東京都内で会見した田村明比古社長は「機能強化に対する地域の関係者の期待、理解の表れ」と謝意を示した上で、「これまで以上に地権者から理解が得られるよう、さらに努力する」と述べた。

 環境アセス手続きを終え、B滑走路やC滑走路の建設工事に着手するには、同社が行う事業などを定めた成田国際空港株式会社法に基づく基本計画を国が変更する必要がある。変更後に成田空港会社は空港施設の整備に伴う航空法の変更許可手続きを申請することになる。田村社長は「時期は総合的に慎重に検討したい。めどは話せる状況にない」と述べるにとどめた。

2019年9月26日木曜日

【回転窓】危機意識と将来性

「参加企業さえ集まればリスクは無い」。とある経営者の言葉が引っ掛かった。PR関係の新事業に乗りだすようで、意気揚々の面持ちだった。ターゲットは現在勢いがある分野。対象企業の決算を見ると確かに収益は上々だ▼とはいえ、一寸先は闇というのが今の時代。激甚化する災害や米中貿易摩擦のような国際情勢の変化が、玉突きのように幅広い産業に悪影響を及ぼすこともある。リスクは大きく見積もり、二重三重の対策を講じておく方が賢明▼驚いたのは同席する幹部が先の発言に無反応だったこと。甘いリスク判断が常態化しているようでは将来性に疑問符がつく。トップの姿勢は部下に波及し、そうした意識はクライアントからも透けて見える。今後を占う重要な兆しとしてメモした▼現状維持だけでは成長できないため、もちろん新たな動きは必要。石橋をたたいて渡るような慎重さを持ちつつ果敢に攻める姿勢が求められる▼建設産業を担う中堅世代と話しをすると将来への危機意識が非常に強い。真剣さや本気度は取材時の大きな注目点。次代を切り開く気概を持った人を、しっかりと紙面に刻んでいきたい。

【若松港築港関連施設群など28件】土木学会、19年度選奨土木遺産を選定

 土木学会(林康雄会長)は25日、2019年度の「土木学会選奨土木遺産」として28件を選定したと発表した。日本の高さ(標高)の基準として、1891年に陸地測量部(国土地理院の前身)が創設した原点標と、それを保護するための石造施設「日本水準原点標庫」(東京都)などが選ばれた。

 2019年度「土木学会選奨土木遺産」は次の通り(▽件名=〈1〉所在地〈2〉完成年〈3〉選定理由)。

 ▽岩松ダム=〈1〉北海道新得町〈2〉1942年〈3〉十勝川本流の豊かな水量を生かし、電源開発として初めて建設された発電用ダム

 ▽旧運河橋=〈1〉北海道石狩市〈2〉1936年(81年移設)〈3〉道内で最古、国内でも最初期の全溶接単純鋼鈑桁橋

 ▽旧浦村鉄橋=〈1〉新潟県長岡市〈2〉1898年〈3〉3橋のうち2橋は120年以上現役で活躍

 ▽日本水準原点と日本水準原点標庫=〈1〉東京都千代田区〈2〉1891年〈3〉日本の標高の基準として1891年に陸地測量部(国土地理院の前身)により創設された原点標とそれを保護する建築史上貴重な石造施設

 ▽鹿島港整備関連施設群=〈1〉茨城県神栖市〈2〉1963年船溜南防波堤、68年居切島、69年鹿島港開港〈3〉世界有数の掘込型港湾整備に伴う厳しい自然との対峙(たいじ)や住民の思いを伝える施設

 ▽滝の鼻橋=〈1〉埼玉県ときがわ町〈2〉1925年〈3〉都幾川に架かる鋼製のワーレントラス橋梁で、山型鋼をリベットで結合したトラスを使用

 ▽土合砂防堰堤=〈1〉群馬県みなかみ町〈2〉1941年〈3〉湯桧曽川に建設された群馬県初のアーチ式堰堤で、砂防を目的として谷川岳と一体となって景観を形成

 ▽旧熱海線鉄道施設群=〈1〉神奈川県小田原市、静岡県熱海市・函南町〈2〉1934年〈3〉関東大震災など幾多の災害を克服し、世界に誇る土木技術の歴史を今に伝える

 ▽旧国鉄足利駅舎=〈1〉栃木県足利市〈2〉1933年〈3〉昭和初期建造の現役駅舎

 ▽上蔵砂防堰堤=〈1〉長野県大鹿村〈2〉1954年本堰堤、67年副ダム、71年第2副ダム〈3〉戦後、花こう岩切石の丁寧な練石積みにコンクリートを充てんしすべて人力で造られた大規模なアーチダム

 ▽忠節橋=〈1〉岐阜市〈2〉1948年〈3〉ブレーストリブバランストアーチ鋼橋

 ▽揖斐大橋=〈1〉岐阜県大垣市・安八町〈2〉1933年〈3〉6連曲弦ワーレントラス橋

 ▽賀茂川・鴨川河川構造物群=〈1〉京都市〈2〉1947年(左岸中流部は暫定整備状態)。当該範囲は99年に改修工事完了〈3〉わが国有数の河川景観と親水空間創出に貢献

 ▽嵯峨野観光鉄道の構造物群=〈1〉京都市~京都府亀岡市〈2〉1899年〈3〉格調高い意匠性とともに、観光資源としても活用

 ▽関西本線三郷~河内堅上間橋梁群=〈1〉奈良県三郷町~王寺町~大阪府柏原市〈2〉1932年〈3〉大規模な地すべり地を迂回(うかい)するために特異な架構形態を採用

 ▽戦前竣工の京都市児童公園群=〈1〉京都市〈2〉1935~42年〈3〉特徴的なラジオ塔や水飲み場などがヴィスタを形成し、地域市民に親しまれ続けてきた

 ▽平野橋=〈1〉大阪市〈2〉1935年〈3〉世界で初めて逆ランガー形式を採用

 ▽逆瀬川の砂防設備=〈1〉兵庫県宝塚市〈2〉1934年ごろ〈3〉赤木正雄によるわが国で最初の流路工の事例

 ▽七川ダム=〈1〉和歌山県東牟婁郡〈2〉1956年〈3〉常用洪水吐きに国内最古の高圧スルースゲートを設置した多目的重力式コンクリートダム

 ▽大砂川トンネル=〈1〉滋賀県湖南市〈2〉1889年〈3〉天井川である大砂川をくぐる石・れんが造りの鉄道トンネル

 ▽琵琶湖疏水鴨川運河施設群=〈1〉京都市〈2〉1894年ほか〈3〉橋梁などが群として存在する独特の景観を造り出している

 ▽上津屋橋=〈1〉京都府八幡市~城陽市〈2〉1953年〈3〉わが国屈指の大規模な木造流れ橋で、コスト縮減を図りつつ風情ある景観を保つ取り組みが続けられている

 ▽用郷林道七曲がり=〈1〉岡山県新見市〈2〉1912年〈3〉若き技術者と地元石工による建設のエピソードが語り継がれた石積のつづら折り林道

 ▽大原橋=〈1〉岡山市〈2〉1942年〈3〉1934年の室戸台風の災害復旧橋梁として架橋された戦前最長のRCローゼ桁橋

 ▽麻生堰=〈1〉高知県四万十市〈2〉江戸時代前期〈3〉野中兼山によってつくられた曲線斜め堰で、建設当時の姿のまま現役で活用されている

 ▽上椎葉ダム=〈1〉宮崎県椎葉村〈2〉1955年〈3〉大調整能力を持つ水力発電用ダムとしては日本初の大規模アーチ式ダム

 ▽川畑井堰=〈1〉鹿児島県南さつま市〈2〉宝暦年間(1751~63年)〈3〉幅18メートル、高さ3メートルを有する切り石による階段状の取水堰堤で、近世由来の取水堰堤としては全国で唯一

 ▽若松港築港関連施設群=〈1〉北九州市〈2〉1890~1935年頃〈3〉筑豊炭田からの石炭の積み出し基地として開発整備され、大正期には日本最大の石炭積み出し港として繁栄し、日本の近代化に大きく貢献した。

【小田急・京王・世田谷区が方針公表】下北沢駅周辺街づくり、店舗や学生寮整備

 小田急電鉄と京王電鉄、東京・世田谷区の3者は京王井の頭線と小田急小田原線が交差する下北沢駅周辺の街づくり方針を明らかにした。

 小田急は複々線化に伴う線路の地下化によって地上部に生まれた延べ約2万7500平方メートルの鉄道跡地に、商業施設や飲食店、学生寮などを整備する。京王は井の頭線の高架下に商業施設など、区は駅前広場などを整備していく。

 3者は24日に世田谷区の北沢タウンホールで記者会見し、コンセプトや整備する施設などを発表した。

 小田急線は2018年3月に複々線化事業が完了した。東北沢~世田谷代田駅の地上部を「下北線路街」として開発。住居併設の飲食店や物販店などを設ける商店街型商業施設「BONUSTRACK」(2階建て延べ約900平方メートル、20年4月開業予定)を整備する。

 インバウンド(訪日外国人旅行客)がターゲットの宿泊施設(延べ1700平方メートル、20年12月開業予定)などを開業する。

 会見で小田急電鉄の星野晃司社長は「にぎわいがあり、わくわくするような街をつくっていきたい。住民に愛着を持ってもらえる街を目指す」と話した。

 ほぼ全域に緑を配置し、街とのつながりを意識した回遊性の高い空間を整える。敷地面積約1400平方メートルのオープンスペース「下北線路街空き地」を設け、音楽イベントを開催するなど地域のにぎわい創出に貢献する。

 京王電鉄は井の頭線下北沢駅の高架下スペースに370台を収容する駐輪場を3月に開業した。同社の紅村康社長は「回遊性を重視した心地よい空間を整備する。街全体の魅力向上に貢献したい」と説明。区が整備する南北道路と面した商業施設を、2~3年をめどに整備する考えを明らかにした。区の図書館カウンターの設置を検討するという。

 世田谷区は下北沢駅前交通広場や駅周辺の通路の整備を急ぐ。鉄道事業者と公共機関が一体的に活用できるスペースでイベントなどを行い、街のにぎわい創出を促す。保坂展人区長は「活気や魅力あふれる街づくりを推進する。3者で協力し地域の特性を生かす取り組みをしていく」と語った。

【ポートタワーのリニューアル検討】神戸市、中突堤周辺地区再整備で対話型市場調査

神戸市はウオーターフロントエリア再開発の一環で、中突堤周辺地区(中央区波止場町4)の再整備に向けたサウンディング(対話)市場調査を実施する。民間ノウハウを活用し、同地区に位置する神戸ポートタワーと中突堤中央ビル南館のリニューアルを行う。

 対話に先立ち、港湾局計画部ウオーターフロント計画課で10月4日まで現地見学会の参加申し込みをメールで受け付け、同16日に見学会を開く。同24日まで対話参加申し込みを受け付け、11月20~22日に順次対話を実施する。参加対象は事業遂行能力を有する民間事業者の単体またはグループ。

 対象用地の概要は準工業地域で建ぺい率60%、容積率200%。対象施設のうち神戸ポートタワー(地上108メートル、1963年建設)が展望室5階と下層部4階から成り、国登録有形文化財に登録されている。中突堤中央ビル南館(62年建設)はRC・S造4階建てで同北館と連棟式の区分所有建物(旧耐震基準)。

 事業の基本条件として、既存デッキの機能の維持(経路変更は可能)や神戸ポートタワーの外観を大きく変更しない範囲でのリニューアルが求められる。同タワーは定期借家(10年間を想定)、中突堤中央ビル南館は事業用定期借地とする。同館は▽建て替え新設▽既存建物の利活用▽解体後の土地のみ利活用-のいずれも可能とする。

 対話では▽中突堤中央ビル南館への導入施設▽同館の施設規模▽神戸ポートタワー下層階・展望階屋上が利用できる場合の活用方策▽同タワーの運営手法▽両施設をつなぐ導線▽事業手法・スキーム▽事業参画にかかる課題・条件-などで提案を求める。

【事業スキームや経済波及効果を検討】Jリーグ規格スタジアム民活導入可能性調査業務(那覇市)、野村総研JVに

沖縄県は、サッカースタジアムの整備・運営についてPFIやDBO(設計・建設・運営)方式などの可能性を検討する「Jリーグ規格スタジアム民間活力導入可能性等調査業務」の公募型プロポーザルで受託事業者に野村総合研究所・国建JVを選定した。近く随意契約を結び業務委託する。

 業務内容は▽官民連携導入効果の検討▽スタジアムへの参入可能性・複合機能を含めた公募条件、事業方式などの検討▽事業手法検討委員会の開催。

 このうち官民連携導入効果はVFM(バリュー・フォー・マネー)などの定量的効果と定性的な効果の算定、官民双方の財政負担計画の検討、公募条件などは投資意向や公募条件を把握するためのサウンディング(対話)調査、事業方式や詳細な事業スキームなどの比較検討、複合機能を含めた経済波及効果の試算などを行う。履行期限は2020年1月31日。

 スタジアムはサッカーJリーグ1部(J1)の基準を満たす競技場で整備基本計画によると那覇市の奥武山公園内の陸上競技場とその周辺に配置し、収容人数2万人、建物規模はRC一部S造6階建て延べ約4万7500平方メートル。スタンドは全体を屋根で覆い、ラグビーやコンサートなどにも利用できる施設とする。概算整備費は約178億円。財政負担を抑えるため、集客につながるような複合機能の一体的な整備を検討している。

2019年9月25日水曜日

【回転窓】いわし雲を眺める

彼岸の中日を過ぎ日差しも少し和らいできた。昨朝、東京の空にはきれいないわし雲が広がり、秋の気配が感じられた▼台風15号で自宅の屋根を吹き飛ばされた被災者の方々は、このいわし雲をどう見られたのか。屋根を覆うブルーシートの隙間から眺められたのか。そう思うと胸が痛む。自然災害はいつ誰を襲うか分からない。被災者の方々のご苦労は人ごととは思えない▼政府は千葉県内などの住宅被害に対し、現行制度では支援が認められていなかった住宅の一部損壊も特例的に救済対象にするという。住宅の支援対象は全壊あるいは半壊までとなっていたが、今回の被害では屋根の破壊が多いことから屋根の修理費の一部を助成する▼ただ、自治体の負担を減らすもので、個人の8割負担は変わらない。半壊の認定基準も緩和するというが支援金の支給を手厚くし、寒い季節が訪れる前に日常生活が取り戻せるようきめ細かな支援をお願いしたい▼「鰯(いわし)雲/涙あふれて/また乾く」(長谷川櫂)。ここ数年毎年のように自然災害が発生し多くの方が被災されている。減災対策をもっと強力に進められないのか。

【ジャカルタ中心に受注活動加速】清水建設、インドネシアで超高層複合開発に着工

 清水建設は24日、インドネシアのジャカルタで総延べ床面積約12万平方メートルの超高層複合開発「メガクニンガンプロジェクト」に着工したと発表した。

 44階建ての分譲住宅棟と32階建ての賃貸住宅棟の2棟で構成する。2022年下期の完成を目指す。同社によるジャカルタ市内での超高層プロジェクトの受注は、17年からの累計で4件目となる。

 事業主体は東急不動産のインドネシア現地法人と海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)のインドネシア現地法人。設計は清水建設が担当した。清水建設と現地ゼネコン・バングンチプタのJVが施工する。

 清水建設は、不動産開発が活発化するジャカルタを中心にインドネシアで受注活動を拡大している。17年以降に超高層プロジェクトで▽ジャカルタオフィスタワー▽ダスウイン▽(仮称)ダルマワンサ-の3件を受注。メガクニンガンプロジェクトを含めた4件の総延べ床面積は約50万平方メートルに達する。

 同時期に受注した大規模土木工事は「パティンバン新港アクセス道路」と「アサハンIII水力発電所Lot-1土木工事」の2件。大型建築工事4件と合わせた共同企業体としての請負金総額は約1000億円に達する。

 同社は30年度までの長期ビジョンで、31年3月期に連結ベースの粗利益に占める海外比率を、19年3月期の5%から25%に引き上げる目標を設定。海外での建設事業や不動産開発投資を加速している。

【首都高大規模更新、大井JCT通行止め解除へ】首都高1号羽田線更新、工事が順調に進捗

 ◇大井JCTの通行止め、9月29日解除予定◇

 首都高速道路会社は24日、東京都品川区内で進めている「高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋め立て部)更新工事」の現場を報道陣に公開した。

 開通から半世紀以上が経過し老朽化や損傷が目立つ道路構造物(1・9キロ)を、「首都高リニューアルプロジェクト」と銘打って造り替えている。実施設計と施工を一括発注しており、受注者の大林組JVからの技術提案を生かし、作業は順調に進行中。29日には工事に伴う大井JCTの長期通行止めを解除する予定だ。

 東品川桟橋・鮫洲埋め立て部は、前回の東京五輪前の1963年に開通した。1日7万台が走行する東京の大動脈路線で、大型車が多い。点検・補修に力を入れてきたものの、海水面に近く、東京モノレールに近接するため、コンクリートの剥離や鉄筋の腐食が進みやすい環境ながら、点検・補修が1日に2~3時間に限られたり、作業に制約が多かったりした。そこで安全性と耐久性を高め、維持管理を効率的に行えるよう大規模な更新事業に着手することにした。

 東品川桟橋部(約1・3キロ)は平行する東京モノレールと海水面から離す高架構造に更新し、点検用の常設足場を設け、橋脚には防食対策を講じる。鮫洲埋め立て部は既存の地盤を改良し強度を高めた上で、人が立ち入れるよう中空構造のコンクリートボックスが路面を支える構造にする。

 完成すると海水面から5メートルまでに位置した路面が5~20メートルの高さになる。実施設計・施工は大林組・清水建設・三井住友建設・東亜建設工業・青木あすなろ建設・川田工業・東京鉄骨橋梁・エム・エムブリッジ・宮地エンジニアリングJVが担当。完成は2026年度を予定している。

 「設計を100%終えてから発注するのが難しく、走りながら設計、施工を調整する必要があった。迂回(うかい)路の構造の変更などで作業がしやすくなった」。現場を管理する首都高速会社の加藤豊章東京西局プロジェクト本部品川工事事務所長は、実施設計・施工を一括発注した背景とメリットをそう語る。上り線の迂回路は当初桟橋構造だったが、道路直下の空間を資材搬送などに利用できるよう技術提案を踏まえ、橋梁形式に改めた。

 東品川桟橋部に構築する基礎・橋脚は、金属溶射やステンレス被覆といった重防食対策を実施。鋼製構造とすることで耐久性を引き上げ工程を短縮した。1月に行った大井JCTのブロック一括桁架設では、受発注者が工程を綿密に調整。落下防止用のフェンスなどを装着させた状態で桁を架設し、東京モノレール直上で行う必要のあった作業を減らした。

 高橋三雅東京西局プロジェクト本部長は「羽田線の更新はリニューアルプロジェクトの先陣を切って進めてきた。順調に進捗(しんちょく)し、大井JCTの通行止め解除という節目を迎える」と手応えを示す。

 1号羽田線の下り線は、上り線の迂回路と東京モノレールの間に建設している高架構造の暫定下り線に来夏の東京五輪までに切り替える計画。23年冬ころには上り線、下り線とも高架構造部を走行し、上り線用の迂回路の撤去が行われていくようになる。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/タワークレーン耐久年限決定

国土交通部の「建設機械管理法施行令」改正案が閣僚会議を通過し、タワークレーンの耐久年限が製造年度から20年と確定した。耐久年限以降も継続使用するには、3年ごとに精密診断が義務付けられる。

 現場で稼働中のタワークレーンの耐久年限については、工事への影響と事業者負担を考慮し、現場でクレーンが解体される時まで年限が自動的に延びる。

 改正案ではタワークレーンの耐久年限起算日も規定。製作年度に登録された場合、最初の新規登録日を起算日とする。製作年度に未登録の場合は、登録年度の末日を基準に耐久年限を算定する。使用期間延長のための精密診断業務委託規定も設定した。

 国土部長官が指定告示したタワークレーン製作者と検査代行者も精密診断業務を受託可能とした。

CNEWS、9月13日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/NUCE、日大と橋デザインコンテスト開く

 国立土木工学大学(NUCE)は9日、ハノイ市内の同大学で、日本大学との共同デザインワークショップを開いた。

 「ダ・ヴィンチの橋コンテスト」と題し、両大学の学生が四つのグループに分かれ、橋梁モデルのデザインと製作を競い合った。

 ダ・ヴィンチ橋は、考案者のレオナルド・ダ・ヴィンチの名前を取り、ひもやくぎを使わず木材を組んで造る。短時間で高強度の橋を組み立てることができる。コンテストでは、独創性やデザイン性を競い合い、両国の学生の交流の機会ともなった。

セイ・ズン、9月11日)

2019年9月24日火曜日

【回転窓】菜の花のころには日常を

秋分を迎え、菜の花の種がまかれる時期になった。千葉県市原市は毎年9月の第3土曜日に「花プロジェクト」と銘打った菜の花の種まきイベントを行っている▼参加者は市を縦断する小湊鉄道に乗車し、沿線で地域の団体や住民と一緒に種をまく。ひと仕事を終えると、近くの畑で採れたばかりの野菜がたくさん入った「里山カレー」がふるまわれる。人気が高まり、市外から訪れる人も増えたという▼今年は18日まで開催するかが決まらなかった。台風15号の被害が大きく、復旧作業が続いているためだ。参加者を運ぶ小湊鉄道は、倒木などが相次いだ影響で、通常運行を再開したのが17日の午後7時台の列車から。それまでは手信号を駆使して運行させた区間もあったと聞いた▼「台風でみんなが大変な思いをしているの。線路の周りが菜の花の黄色でいっぱいになる来年の春は楽しく過ごせるといいね」。種まきの開催告知を見た母親が幼児にそう話している場面に遭遇した▼台風15号の襲来から2週間。この連休は台風17号で大荒れだった地域もある。各地の復旧・復興が進み、早く日常が戻るのを願わずにいられない。

【大正末期の港湾遺産】横浜港外防波堤の北・南灯台、歴史的建造物に

 横浜市は「旧横浜外防波堤北灯台及び南灯台」を歴史的建造物に認定した。横浜港の外防波堤と灯台は大正末期に行われた第3期拡張工事で整備された。赤色の北灯台は大黒ふ頭、白色の南灯台は本牧ふ頭の突端にある。

 建造は1935年。2019年3月まで使用されていた。建設当初の姿を残しており、横浜港整備の歴史を伝える貴重な遺産として、歴史的建造物に認定した。

 両灯台はRC造2階建てで、外径3・6メートル、高さ24メートル。当時の逓信省灯台局が設計し、内務省横浜土木出張所が施工した。市は1988年から歴史的景観保全の観点から、近代建築、古民家、土木産業遺産などを認定歴史的建造物に認定。エリスマン邸や打越橋など96件を認定している。

【どぼく【土木】人間生活の基盤造る】三省堂の大辞林、「土木」の解説に「人間生活の基盤造る」追加

 三省堂の国語辞典「大辞林」が13年ぶりに全面改訂され、「土木」という言葉の解説が変わった。

 従来は土木について、「道路などを造る事業」という断片的な定義だったが、5日発売の第四版では土木が担う役割に目的を追加。2番目の解説に、「道路・橋梁・鉄道・港湾・堤防・河川・上下水道など、あらゆる産業・経済・社会等人間生活の基盤となるインフラを造り、維持・整備してゆく活動」と記した。

 第四版は、新語・新語義などへの対応で約1万3000語増やし、総収録項目数は約25万1000に上る。土木の1番目の解説には、「土と木。また、飾り気のないことのたとえ」とある。用例には「土木工学」「土木工事」「土木施工管理技士」が並ぶ。

 土木学会の塚田幸広専務理事は「ただ造るだけでなく、産業や経済、生活などを支えているのが土木だと的確に表してくれた」と評価。引き続き、一般市民向けのイベントなどを通じ、土木の役割や魅力の発信に力を入れていく。

2019年9月20日金曜日

【「ドボクサイズ」で土木の魅力発信】川邊組(大分県豊後大野市)がPR・求人動画を公開

 土木工事を手掛ける川邊組(大分県豊後大野市、阿部清治社長)が、土木工事の魅力をPRしながら人材を募る動画「レッツ!ドボクサイズ!」を動画投稿サイト・ユーチューブで公開している。

 土木工事と筋肉エクササイズを掛け合わせた「ドボクサイズ」で土木工事のさまざまな動きを表現。ユニークなダンスやオリジナルソングで若い世代への訴求力を高める狙いだ。

 コンセプトは「肉体労働最高」。仕事終わりにジムへ行くホワイトカラーのサラリーマンへの呼び掛けから始まるオリジナルソングでは、ジムに行かなくても建設業は仕事で筋肉を鍛えられると強調。道路工事は「物流をつなげるイメージで!」、トンネル工事は「みんなの心をつなぐイメージで!」など、歌詞に建設業の社会的役割や仕事のやりがいを込めた。背景の道路、橋、トンネルは川邊組が手掛けた。撮影は実際の施工現場で行われた。

 川邊組は110年以上の歴史を誇る地域密着型の土木工事会社。創業以来大分県内で道路やトンネルなどさまざまな構造物を手掛けてきた。だがここ数年は少子高齢化などを背景に入職者の減少が課題。若い世代へのPRを目的に求人動画を制作した。動画の公開に当たり、阿部社長は「川邊組のハツラツとした社風と、未来に向けてのチャレンジ精神を感じてもらえるとうれしい」と期待を込めている。

 18日からは社員が鍛え抜かれた筋肉と体幹を駆使して手押し相撲で対決する「相撲編」も公開している。

【高輪ゲートウェイ駅の工事着々】JR東、11月16日に品川駅線路切り替え工事

JR東日本は、品川駅(東京都港区)の線路切り替え工事を11月15日の終電後から17日の始発まで行う。

 山手線の新駅となる高輪ゲートウェイ駅の整備に関連する工事で、11月16日には山手線の一部区間を運休する。山手線の運転を見合わせた上で行う工事はJR東日本の発足以降で初めて。

 品川駅は1・2番線のホームを使用している山手線(内・外回り)と、3番線を使用している京浜東北線・大宮方面の線路を切り替える。4番線を京浜東北線・大宮方面のホームとし、3番線は使用を停止する。山手線は内回り、外回りとも高輪ゲートウェイ駅に至る新線に接続させる。使用しない線路の撤去など17日以降に行う工事がある。

高輪ゲートウェイ駅の開業は2020年春ころの予定。品川駅は22年ころに3、4番線のホームを拡幅し、山手線・外回りと京浜東北線・大宮方面が同じホームで乗り換えられるようにする。1番線は山手線・内回りの専用ホームにする計画となっている。

 品川駅の線路切り替え工事では、11月16日の始発から午後4時まで山手線の大崎~東京~上野間、京浜東北線の品川~田町間が運休となり、一部区間が折り返し運転となる。上野東京ラインの増発、他社線への振り替え輸送なども実施する。

【どうなる五輪後の施設利用】建築学会全国大会で隈研吾氏らが講演

木材を多用した新国立競技場の完成予想
(大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV作成/JSC提供)
 開催まで残り1年を切った2020年東京五輪・パラリンピック。新国立競技場(東京都新宿区)を含む主要施設の工事が追い込みに入っている。日本の文化や魅力を海外にも伝えようと、さまざまな工夫が施されている。大会後に施設をどう運営していくかも大きな関心事。日本建築学会(竹脇出会長)は今月3~6日に石川県内で開いた19年度全国大会で、各施設の設計を担当した建築家による講演会を開き、設計のコンセプトや大規模施設の活用などを議論した。

□長く使われ続ける建築を具現化□


 「大規模イベント後の大空間施設の活用」をテーマとする講演会は、金沢工業大学(石川県野々市市)で3日に行われた。恒久利用する「新国立競技場」と「有明アリーナ」(東京都江東区)、仮設となる「有明体操競技場」(同)の3施設を対象に、設計者がプロジェクト内容を解説。設計を担った河合正理(久米設計)、江坂佳賢(日建設計)、隈研吾(隈研吾建築都市設計事務所主宰、東京大学教授)の3氏が登壇した。

 設計案の見直しなどを乗り越え、16年12月に着工した新国立競技場。設計は大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが担当した。11月末の完成を前に工事は総仕上げに入っている。講演会で設計のポイントを解説した隈氏は「2020年という新しい時代にふさわしい施設づくりを目指した」と明かした。

 前回の東京五輪(1964年)では、取り壊された国立競技場や建築家・丹下健三(1913~2005年)が設計した国立代々木競技場(東京都渋谷区)などが建設された。新国立競技場の建設地は以前の国立競技場とほぼ同じ位置。来夏の五輪でも使用される大規模なスポーツ施設やアリーナが集積する明治神宮外苑エリアについて、隈氏は「東京の将来にとって、重要な役割を果たす」と持論を述べた。

 設計コンペの当初から「木のぬくもりを表現したかった」と振り返った隈氏。国産のスギ材を積極的に利用するだけでなく、部材となる木材の寸法を小さくし「軽やかな印象を与える」ことに心を砕いた。世界最古の木造建築とされる法隆寺(奈良県斑鳩町)の五重塔をモチーフに、大屋根は複数の庇(ひさし)が重なるようデザインした。

 庇の軒下に位置するルーバーは105ミリ角のスギ材を使用した上で、ルーバーの角度を微妙に変化させた。これにより、「日本特有の木の伝統美を現代によみがえらせた」と意図を語った。建物の長寿命化を目指し、主要な構造体は大規模修繕も不要。仕上げ材も耐久性の高い材料を組み合わせ、維持管理のしやすさを追求するなど「長く使われ続ける施設を具現化できた」と手応えを語った。

五輪後にコンサートなど多目的な利用を想定する有明アリーナ
 続いて河合氏は、有明アリーナのデザインコンセプトを語った。有明アリーナは東京都がプロポーザルで発注した基本設計を久米設計が受託。実施設計と施工を竹中工務店・東光電気工事・朝日工業社・高砂熱学工業JVが担っている。実施設計に入ったのは16年4月。建設工事は終盤を迎えており、12月に完成する予定だ。五輪でバレーボール、パラリンピックではバスケットボールの競技会場になる。

 大会終了後はコンセッション(公共施設等運営権)方式で運営を民間に任せる。国内外のスポーツイベントや音楽コンサートなどに利用する計画だ。基本設計に当たっては地域に開かれた空間を目指した。高さ約37メートルの施設は横から見ると「凹レンズ」に似た特徴ある形状を持つ。周辺環境への圧迫感の軽減を狙った。

 天井材はアリーナ施設などに使う金属屋根ではなく、ALC(軽量気泡コンクリート)を採用。後に音楽イベントとして利用されることを考慮し、遮音性能を高めた。上部となる屋根架構と下部のスタンド架構を同時進行で施工。延べ4万平方メートルを超える大規模施設を33カ月という短工期で完成にこぎ着けるため、腐心したとも語った。

□維持管理、機能転換しやすく□


アスリートファーストとサステナビリティを追求した有明体操競技場
 「アスリートファーストとサステナビリティ(持続可能性)をキーワードに設計した」と語るのは江坂氏。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が発注した有明体操競技場は、基本設計と実施設計監修、設計監理を日建設計が担った。実施設計と施工は清水建設が手掛けている。施設は3階建て延べ3万9300平方メートルの規模。座席数は約1万2000席で、期間中は体操競技場、大会後は展示場に転用されるという。

 屋根は世界最大クラスとなる長さ約88メートル。主要な構造部材に木材を利用したのは「貯木場があった有明地区の特性を生かしたかった」からだ。利用者にとって親しみを感じるポイントと胸を張った。

 仮設という点を踏まえ、観客席や競技エリア周辺の施設は改修が容易に行えるようにした。メインアプローチである「エントランススロープ」などに使う支持部材の鉄骨をリースで対応し「速やかに機能転換できるように心掛けた」と話した。

 設計作業を振り返った江坂氏は「環境負荷の少ない木材利用の促進、サステナブルな建築を両立することが試された」と強調。五輪を契機に「さまざまな技術が次世代に引き継がれれば」と期待を寄せた。

2019年9月19日木曜日

【回転窓】「無知の知」からの一歩

 自分が知らないことを知っている-。古代ギリシャの哲学者ソクラテスが示した「無知の知」は、己の無知を自覚することが真の認識に至るとする、真理探究の基本的な考え方として知られる▼知の巨人は「知らないこと」よりも「知らないことを自覚しないこと」の方が罪深いと説く。無知の知は人が物事を考える上での第一歩となることを指し示す▼進化を続ける情報化社会。現代は知らないことへの不寛容さが増しているように感じる。ちょっとした疑問や知りたいことはネットサーフィンで手軽に検索できる。頭を使わず、労力もかけず、知の欲求をITが満たしてくれる。知らないことは何もない、と錯覚してしまう▼先週の台風15号による被害。復旧が長期化している原因の一つに、自ら考える力の衰えがあるように思えてならない。考えなしに情報が入ってくるという認識が、被害状況の確認の遅さや被害想定の甘さにつながったのではなかろうか▼己の知を過信し、すべてを知っていると考えるのはおこがましい。無知を自覚し、自ら考える行為の大切さを胸に刻み、激甚化する災害への対応力を高める一歩にしたい。

【プロジェクト・アイ】川俣ダム補強工事(栃木県日光市)/施工は大林組、ダイナミックな足場も話題に

 ◇大口径・長尺アンカーで機能維持◇

 栃木県日光市にある川俣ダムで、岩盤をアンカーで補強するダイナミックな工事が行われている。国内で他に類を見ない大口径で長尺なアンカーを岩盤に打ち込むプロジェクトは、試験施工を経て工事が本格化している。

 過去に整備したインフラ構造物の老朽化対策は、多くの公共発注機関が直面する課題。川俣ダムでの工事は、同様の対応が必要になるケースでの技術的な試金石といえる。険しい岩盤に張り付くように設置した足場は、写真映えするとSNS(インターネット交流サイト)などで話題になっている。

 実施されているのは、国土交通省関東地方整備局による「H28川俣ダム周辺部補強工事」。川俣ダムえん堤改良の一環として計画され、設計はダム技術センター・日本工営JVが担当。施工を大林組が手掛けている。

 鬼怒川の最上流に位置する同ダム。洪水調節や農業用水の供給、発電を目的に建設された。1966年に完成し、アーチ式コンクリートダムの先駆けといわれる。堤高117メートル、堤長131メートルで、堤体積は16万7500立方メートル、総貯水容量は8760万立方メートル。アーチ式ダムでは、ダム湖の水圧を受ける岩盤をアンカーで補強して安全性を確保している。完成から半世紀以上が経過したため、予防保全の観点から既存アンカーの間に更新アンカーを打ち込み、岩盤を補強する。

 急傾斜の岩盤に張り付くように足場を設置してからアンカーを打設する。大林組の北村広志所長は「急勾配な場所に足場をどう設置するかが非常に難しかった」と説明する。右岸側の足場は高さ約100メートル。左岸側は洪水水位よりも上の部分に足場を設ける必要があるため、ブラケットの構台を取り付けてから足場を立ち上げていった。

 大規模なアンカー工事も特徴的だ。実施している「岩盤PS工法」では、岩盤内にPC鋼より線のアンカーを挿入して、アンカーと緊張することで岩盤と一体化させて地盤の安定性を高めている。アンカーは、直径15・2ミリのPC鋼線を14本束ねており、削孔直径は216ミリになる。

 両岸が切り立つ峡谷の特徴を反映して、上部になるにつれ支持層までの距離が伸びていくため、アンカー長は右岸では最長約50メートル、左岸では最長70メートルを超えるという。1次下請としてアンカー施工を手掛ける日特建設の関真一職長は「この太さや長さのアンカーは今まで経験したことがない」と話す。

 施工はまず岩盤を削孔して、孔内カメラで亀裂の有無を調べる。亀裂などがある場合は、セメントミルクの充てんなど必要な対策を講じた上で再削孔することで、品質を確保している。

 アンカーは現場で加工して作業箇所に運搬している。部材は長尺で、そのまま運ぼうとすると地面に引きずり、傷つけてしまう恐れがある。つり上げ時に折れ曲がっても悪影響を与えるため、運搬にも細心の注意を払っている。

 大林組はW形状の治具を用いてケーブルクレーンでつり上げて、施工箇所に運搬している。「アンカー体がよれないように運搬方法や挿入方法を現場で検討してやってきた」と北村所長は話す。

 アンカー挿入後は、まず先端部を固定する。定着層端部にあるエアパッカーをふくらませて、定着層側だけにセメントミルクを注入。定着層が固まった後に、2400キロニュートン(N)で緊張し、アンカーが戻ろうとする力により岩盤と結合させる。それから、残りの部分にセメントミルクを注入する流れだ。現場では昼夜の2交代で施工を進めているが、削孔から定着まで1本当たり半月程度かかるという。1台の削孔機で施工してきたが、ピーク時には3台体制になる予定だ。

 8月2日には、日本アンカー協会関東支部(支部長・上直人日特建設常務執行役員東京支店長)が現場見学会を行った。上支部長はダム老朽化が課題となっている中で、こうした対応が増えてくる可能性があると見ており、「しっかりとノウハウを蓄積していく必要がある」と指摘する。

 「技術提案もしていたが、実際にやってみるといろいろ改善する点があり、悩みながらここまで進めてきた」と北村所長。現時点の工期は2020年9月30日で、これから最盛期に入る。無事故・無災害で工事は進展しており、安全に細心の注意を払いながら、早期完成を目指す。

【収容1.5万人以上、10月にも公募手続き開始】万博記念公園駅前(吹田市)に大規模アリーナ誘致

 大阪府が吹田市の大阪モノレール万博記念公園駅南側に、民設民営方式で大規模アリーナを誘致する。大阪府の吉村洋文知事が17日の記者会見で明らかにした。

 約16・9ヘクタールの府有地(吹田市千里万博公園23の17)を民間企業に貸す。横浜アリーナ(横浜市、固定観客席1万5000席)以上の規模を見込む。

 大規模アリーナを中核とした大阪・関西を代表する新たなスポーツ・文化の拠点をつくる。10月にも事業者の公募手続きを始め、来春までに選ぶ。2025年までにアリーナなどの主要施設の開業を目指す。

 スポーツやコンサートの市場が拡大する中で、府は国内外の多くの人たちにスポーツや文化のコンテンツが大阪で楽しめる大規模アリーナ整備が必要と判断し、事業化を決めた。新設するアリーナはバスケットボールやバレーボールなどの国際試合や音楽ライブ・コンサートなどが開催でき、世界最先端の機能を備えた施設にする。周辺にはホテルなども配置する計画だ。

 万博記念公園駅南側の府有地には、万博記念公園中央駐車場(千里万博公園1)やホテル阪急エキスポパーク(同1の5)、ABCハウジング千里住宅公園(同1の7)などがある。アリーナ新設などに使用する敷地の面積や施設規模などは民間企業が提案する。

 現在、首都圏には国際的なスポーツ大会などを開催できる大規模アリーナとして、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市、固定観客席2万7000席)と横浜アリーナがあるが、関西には固定観客席数1万席超の大規模アリーナがなく、最大規模の大阪城ホールでも8928席にとどまる。コンサート会場も1万人を収容できるアリーナが関西にはない。

【五輪・パラリンピックに向け改良急ピッチ】JR千駄ケ谷新駅舎、10月27日から供用開始

 JR東日本は改良工事を行ってきた千駄ケ谷駅(東京都渋谷区)の新駅舎を10月27日から、新しいホームを2020年3月22日から供用する。

 2020年東京五輪・パラリンピックで競技会場の最寄り駅になるため、改札口の移設やコンコースの拡張、バリアフリー設備の整備などを進めていた。臨時ホームの整備、ホームドアの設置工事を引き続き進める。

 千駄ケ谷駅は3月までにトイレの拡張と、御茶ノ水、新宿両方面のホームにあるエレベーターの大型化工事を完了している。混雑緩和と旅客の移動しやすさを目的に、改札口とコンコースの移設・拡張工事を続けていた。仮設設備の撤去は12月20日ころになるという。

 使用してない臨時ホームを新宿方面の専用ホームにする工事も実施中。エレベーターとエスカレーターを設置し、階段も増設する。20年3月22日の供用開始を目指している。同2月には駅前広場の整備が完了する見通し。同社は東京五輪の旅客鉄道輸送のオフィシャルパートナーを務めている。

【ラグビーW杯日本大会、あす開幕】三菱地所が丸の内などで応援イベント

 三菱地所はオフィシャルスポンサーを務め、20日に開幕する「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の期間中、東京・丸の内エリアを中心にイベントを展開する。

 赤と白の2色を使った丸ビルの装飾など、ラグビーのユニホームに多く採用されるボーダー柄を取り入れたイベントで、ラグビーW杯を盛り上げる。

 丸ビル(千代田区丸の内2の4の1)の装飾期間は大会期間と同じ20日~11月2日。丸ビルでは全48試合のパブリックビューイングも実施。20日に輪投げなどが楽しめる「ラグビー縁日」、20日と21日には出場国のワインなどを提供する「ノーサイド酒場」も開催する。

 丸の内、大手町、有楽町エリアにある計44の飲食店では、大会期間中にボーダー柄をイメージした料理「ボーダーグルメ」をメニューに加える。イベントはラグビーの魅力を発信する三菱地所の取り組み「丸の内15丁目PROJECT.」の一環となる。

2019年9月18日水曜日

【ボールパーク建設へ準備進む】日本ハム、新球場保有・運営会社を10月1日設立

2018年6月に公表した新球場の完成イメージ
(新球場概要資料より)
 日本ハムは、北海道北広島市に建設中の新球場・ボールパーク(BP)を保有・運営する新会社「ファイターズスポーツ&エンターテイメント」を設立すると13日に発表した。10月1日付で札幌市豊平区の北海道日本ハムファイターズ事務所内に設立する。

 資本金は100億5000万円で、ファイターズが40・8%、日ハムが39・3%、電通が19・9%を出資する予定。社長はファイターズの川村浩二社長が兼任する。

 新会社はこれまでファイターズが手掛けて来たプロ野球関連興行業務のほか、2023年開業後の新球場の運営業務やBP全体のマネジメント業務を担う。

【回転窓】内部留保と消費増税

「企業が事業活動を通じて社会に貢献するという使命と、適正な利益を確保することは決して相反するものではない」▼著書『実践経営哲学』(PHP文庫刊)で松下幸之助は、企業が利益を得ることは社会貢献を果たす上での報酬と考えるべきだと説いている。利益を確保し、社員や株主に還元する。新たな設備投資を行う。税金を納め、そのお金は国民の安全・安心を確保するために使われる。企業の利益は社会全体のレベルを押し上げる▼財務省がまとめた法人企業統計によると、2018年度末時点の利益余剰金(内部留保)が463兆円を超えた。7年連続で過去最高を更新。特に資本金10億円以上の大企業で増加が目立つ▼企業がもうけ、納税額も増え、設備投資などによって市場にお金が流れることは景気回復やデフレ解消にもつながる。ただ、恒常的な負担となる従業員の賃上げが伸び悩んでいるのは気になる▼賃上げしても老後の不安から貯蓄に回り、景気は良くならないという指摘もある。確かにそうかもしれない。ただ、10月の消費増税で個人の税負担は増す。やっぱり賃上げが必要だろうと、言いたくなる。

【現場で働く女性技術者「かっこいい!!」】けんせつ小町活躍現場見学会、18カ所で374人参加

 日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は、女子小中学生と保護者を対象に今夏行った「けんせつ小町活躍現場見学会2019」の実施報告をまとめた。

 会員企業18社の18現場で実施し、小中学生209人、保護者165人の計374人が参加した。アンケートでは、現場で活躍する女性を見た感想として、「かっこいい」という声が多く寄せられた。

 見学会は5年連続5回目。けんせつ小町の愛称で呼んでいる女性も活躍できる建設業への理解を深めてもらうために企画している。今回は初参加を含む19社の19現場で参加者を募集した。荒天の影響で1現場が中止。香川と三重の2県で初めて開催した。

 日建連によると、参加したのは女子172人、男子37人。学年別では、47人の小学4年生が最も多く、次いで小学3年生(40人)、小学5年生(27人)となった。保護者は女性120人、男性45人だった。

 今回は、前半と後半に分けて参加申し込みを受け付けた。前半は6月19日に、後半は7月5日に募集を開始。募集直後、満員に達した現場もあった。例年、申し込み多数で参加できない場合があるため、キャンセル待ちができるようにした。

 各社の現場では、施工管理に携わる女性職員などが進行役や案内役を担った。現場を見学するだけでなく、ドローンを操作したり、測量機器を使ったりなど、建設の仕事を体験してもらうプログラムが多かった。地下20メートルのトンネル内をトロッコで移動し冒険気分を味わった現場やしっくいを使った写真立てを製作した現場など、夏休みの思い出づくりにも貢献した。

 見学会では質疑応答の時間を設けた。ある現場の女性職員は、建設業の仕事を選んだ理由を聞かれた際に、「父親がものづくりにかかわる仕事をしていた。ものづくりを間近で見たいからこの道を選んだ」と回答。「職人さんと一丸となって一つのものを作り上げ、完成した時は涙が出るほど感動する」とやりがいを語った職員もいた。

 各会場で見学会後にアンケートを実施した。複数回答可の質問では、現場で活躍する女性に対し、保護者の82%、子どもの64%が「かっこいい」と回答。「大変そうだ」との回答は子どもが30%、保護者は16%だった。

 「将来建設業で働いてみたいと思うか」との質問に対し、子どもの43%が「思う」、13%は「思わない」、44%は「分からない」と回答した。「子どもに建設業で働いてほしいと思うか」との親に向けた質問には、53%が「思う」と答えた。

 5年間の開催実績は79現場、参加者1947人(子供1103人、保護者844人)となった。

【コンプリートで「見守りコンクリート」ゲット!!】中部整備局新丸山ダム工事事務所、9月20日からスタンプラリー実施

 中部地方整備局新丸山ダム工事事務所は、20日から10月18日まで新丸山ダムスタンプラリーを開催する。

 岐阜県八百津町と御嵩町の協力店で500円以上の買い物をすればスタンプ1個(1店舗1個限り)がもらえ、スタンプを三つ集めたら同事務所で「見守りコンクリート」と交換できる。

 見守りコンクリートは、丸山ダムとともに60年以上、地域の安全・安心を見守ってきた丸山ダム左岸のコンクリート擁壁のかけら。転流工の建設に伴い撤去された。小瓶に詰めたものを200個用意した。先着順。また、その場でくじ引きを行い、1等は丸山発電所の水圧鉄管のかけら、2等は丸山ダムのレトロカード(5枚1セット)、3等は好きなレトロカード1枚をプレゼントする。

 スタンプラリーは八百津町内の41店、御嵩町内の17店と前田建設、西田鉄工が協力。スタンプ用紙は各店舗や各町役場などで配布する。