2019年9月30日月曜日

【回転窓】瓦屋根の街並みを絶やさない

 台風15号は千葉県を中心に深い爪痕を残した。暮らしやなりわいの基盤に深刻な被害が生じ、今もブルーシートが掛けられた瓦屋根の住宅が目に付く▼屋根の修復作業にいち早く取り掛かりたいところだが、修理用の瓦の生産が追い付かず、日本瓦(和瓦)職人の手配も間に合わない状況だ。和瓦は地域性が強く、広域応援で駆け付けた職人が千葉の瓦屋根を修復するのはなかなか難しい▼和瓦の職人不足と、和瓦の出荷量減少は無縁ではない。瓦全体の出荷量はピーク時に年間約20億枚だったが、近年は4億枚程度にまで減少。和瓦が占める割合はピーク時の8~9割から3~4割まで低下し、担い手減につながった▼全日本瓦工事業連盟は19、20日に屋根被害の現地調査を実施。報告書の公表が待たれるが、過去の調査ではメンテナンスしていない瓦屋根で被害が多発した。建築研究所監修のガイドラインに基づき設計・施工された瓦屋根は被害がないとの報告もある▼瓦は日本の美しい風景をつくりだす重要な要素の一つ。「瓦屋根=災害に弱い」との風評で需要と職人を減らし、日本ならでは街並みを絶やしてはいけない。

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