北海道胆振東部地震の発生から6日で1年になるのを前に、 北海道開発局が2日に厚真ダムなど北海道厚真町内で進む復旧工事現場を報道陣に公開した。
周辺の山林斜面が崩壊し土砂が洪水吐きなどに流入し堆積した厚真ダムは、堤体下流の土砂や倒木撤去など応急復旧を終えた。放流機能確保に向けた放流トンネル閉塞(へいそく)部の開口など本年度から本復旧工事に着手し、2023年度の供用開始を目指す。
公開したのは、厚真ダムと日高幌内川、厚幌導水路。厚真ダムは堤体下流で斜面が崩壊して洪水吐きや貯水池内に約9万5000立方メートルの土砂や倒木が流入し、取水放流施設の操作室が損壊するなどの被害が出た。最低水位まで放流した後、洪水吐きや堤体下流の土砂・倒木除去やダム管理計器の応急復旧を完了し、本年度から復旧工事に着手。現在は放流機能の確保を目的に、建設時に閉塞した放流トンネルを再び開口するため工事用道路を建設している。
洪水吐きの改修や堤体周辺ののり面復旧など22年度までに復旧工事を終え、23年度の試験湛水・供用開始を目指す。応急復旧と復旧工事を合わせた事業費に約88億円を見込む。
日高幌内川は、幅約400メートル、長さ約800メートルの尾根が約350メートル崩落し、約500万立方メートルの土砂で河道が閉塞。閉塞部上流では約1300トンの水がたまり、越流による洪水被害を防ぐため、昨年11月から対策工に着手した。倒木処理や堆積土砂の掘削後、砂防堰堤2基と約850メートルの水路を整備。今後はブロック積みの堰堤をコンクリートに換えるなど恒久整備を進める。事業費は約110億円、23年度の完成を予定。
導水路の管体の離脱や漏水などが発生した厚幌導水路は、延長約27キロのうち被災した約10キロで離脱防止機能が付いた管への敷設替えなどを行っている。19年度は2・7キロを実施し、厚真ダムが供用開始する23年度までにすべての敷設を完了する予定。事業費には約200億円を見込む。
室蘭開発建設部の山本清二次長は「これから恒久対策の工事が本格化し、復旧から復興に移行する。地域の皆さんが一日も早く安心して生活できるよう地域に寄り添って災害に強い地域づくりに取り組んでいきたい」と述べた。
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