国内の小売店で販売方法にセルフサービス方式を初めて導入したのは、東京・青山で主に青果を扱っていた「紀ノ国屋」と言われる▼店員に欲しいものを伝えて買う仕組みから、陳列棚の商品をお客が自由に取ってレジで精算する方法に変えた。この方式は米国で誕生し戦後、世界各地に拡大。紀ノ国屋も1953年に導入したが、総合食料品を低価格で提供する形態ではなかったため、今のスーパーとは少し違っていたようだ▼米国レジ会社の日本法人「日本ナショナル金銭登録機(現日本NCR)」が、連合国軍総司令部(GHQ)の関係者がよく利用する紀ノ国屋に導入を働き掛け、同方式が採用されたそうだ。その後、同社はレジの営業を全国で展開。日本の小売業の販売形態を側面から形作っていった▼10月1日の消費増税を前にレジの切り替えが進んでいないという。軽減税率の適用によって10%、8%の2種類の税率に対応しなければいけなくなる▼軽減税率は消費者にとってありがたいことだが、販売現場の混乱は景気をさらに冷やす材料にもなりかねない。増税によるマイナス効果をこれ以上増やしてはならない。
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