2019年9月25日水曜日

【首都高大規模更新、大井JCT通行止め解除へ】首都高1号羽田線更新、工事が順調に進捗

 ◇大井JCTの通行止め、9月29日解除予定◇

 首都高速道路会社は24日、東京都品川区内で進めている「高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋め立て部)更新工事」の現場を報道陣に公開した。

 開通から半世紀以上が経過し老朽化や損傷が目立つ道路構造物(1・9キロ)を、「首都高リニューアルプロジェクト」と銘打って造り替えている。実施設計と施工を一括発注しており、受注者の大林組JVからの技術提案を生かし、作業は順調に進行中。29日には工事に伴う大井JCTの長期通行止めを解除する予定だ。

 東品川桟橋・鮫洲埋め立て部は、前回の東京五輪前の1963年に開通した。1日7万台が走行する東京の大動脈路線で、大型車が多い。点検・補修に力を入れてきたものの、海水面に近く、東京モノレールに近接するため、コンクリートの剥離や鉄筋の腐食が進みやすい環境ながら、点検・補修が1日に2~3時間に限られたり、作業に制約が多かったりした。そこで安全性と耐久性を高め、維持管理を効率的に行えるよう大規模な更新事業に着手することにした。

 東品川桟橋部(約1・3キロ)は平行する東京モノレールと海水面から離す高架構造に更新し、点検用の常設足場を設け、橋脚には防食対策を講じる。鮫洲埋め立て部は既存の地盤を改良し強度を高めた上で、人が立ち入れるよう中空構造のコンクリートボックスが路面を支える構造にする。

 完成すると海水面から5メートルまでに位置した路面が5~20メートルの高さになる。実施設計・施工は大林組・清水建設・三井住友建設・東亜建設工業・青木あすなろ建設・川田工業・東京鉄骨橋梁・エム・エムブリッジ・宮地エンジニアリングJVが担当。完成は2026年度を予定している。

 「設計を100%終えてから発注するのが難しく、走りながら設計、施工を調整する必要があった。迂回(うかい)路の構造の変更などで作業がしやすくなった」。現場を管理する首都高速会社の加藤豊章東京西局プロジェクト本部品川工事事務所長は、実施設計・施工を一括発注した背景とメリットをそう語る。上り線の迂回路は当初桟橋構造だったが、道路直下の空間を資材搬送などに利用できるよう技術提案を踏まえ、橋梁形式に改めた。

 東品川桟橋部に構築する基礎・橋脚は、金属溶射やステンレス被覆といった重防食対策を実施。鋼製構造とすることで耐久性を引き上げ工程を短縮した。1月に行った大井JCTのブロック一括桁架設では、受発注者が工程を綿密に調整。落下防止用のフェンスなどを装着させた状態で桁を架設し、東京モノレール直上で行う必要のあった作業を減らした。

 高橋三雅東京西局プロジェクト本部長は「羽田線の更新はリニューアルプロジェクトの先陣を切って進めてきた。順調に進捗(しんちょく)し、大井JCTの通行止め解除という節目を迎える」と手応えを示す。

 1号羽田線の下り線は、上り線の迂回路と東京モノレールの間に建設している高架構造の暫定下り線に来夏の東京五輪までに切り替える計画。23年冬ころには上り線、下り線とも高架構造部を走行し、上り線用の迂回路の撤去が行われていくようになる。

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