2020年1月23日木曜日

【回転窓】迷走する大学入試

1990年に始まった大学入試センター試験が終わった。国公立大を対象とした5教科5科目の共通1次試験に代わり、大学が受験に使う科目を選べる「アラカルト方式」を採用。私立大の利用が進み、受験校の選択肢も広がった▼すべてマークシート式で回答するセンター試験。学力を一律的に判断するには適していると思われる。一方で思考力や判断力、表現力を十分に評価できないと、批判的な意見も少なくなかった▼来年から始まる大学入学共通テストでは、そうした課題を改善しようと議論が進展。英語に会話力などを測る民間試験を導入し、国語と数学にも記述式問題を取り入れる方向が示された。だが受験生間で格差が生じ、不公平感を抱かせるやり方に反対する世論の高まりから、新たな取り組みは見送られた▼先週、文部科学省の有識者会議で入試制度の議論が再び始まった。年内に2024年度以降の新しい仕組みを決めるという。その間、これまで同様にマーク式の共通テストが続けられる▼大学受験は多くの若者の将来を左右する大きな節目。同じ過ちを繰り返さないよう、議論の行く末を見守りたい。

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