2020年1月6日月曜日

【国際競争力向上に期待】東京都内、五輪後も開発事業めじろ押し

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催に照準を合わせ開発事業が相次いだ東京都。五輪閉幕後、勢いの鈍化を懸念する声もあったが、都心部は着工を控える大規模プロジェクトがめじろ押しだ。五輪後の東京の街づくりをリードする注目案件をまとめた。

 渋谷区は19年に「渋谷ソラスタ」「渋谷フクラス」「渋谷スクランブルスクエア第i期東棟」など複数の施設が竣工した。後に続くプロジェクトが複数あり、東急や東急不動産らによって積極的な開発が進められている。港区ではJR山手、京浜東北両線が停車する「高輪ゲートウェイ駅」、東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ駅」という二つの新駅が五輪開幕前に開業する。五輪開催で訪れる人々の利便性の向上が見込まれる。

 五輪閉幕後の動きでは、都市計画変更が19年10月に告示された首都高速道路日本橋区間(中央区、千代田区)の地下化プロジェクトで、着工に向けた検討がより深化する。約20年をかけて神田橋JCT~江戸橋JCT区間(約1・2キロ)の地下化工事などを行い、品格のある都市景観の形成を目指す。

 首都高地下化に連動した再開発事業も動きだす。計画地周辺では5カ所で再開発事業が進行する。先行する日本橋一丁目中地区(中央区日本橋1、区域面積約3ヘクタール)は、再開発組合が総延べ約37万平方メートル規模の複合施設群を建設する。4月にも都から権利変換計画認可を受け、21年度に着工する見通しだ。

 地下トンネルの直上に位置する八重洲一丁目北地区(中央区八重洲1、約1・6ヘクタール)と日本橋室町一丁目地区(同日本橋室町1、約1・1ヘクタール)の再開発事業は、昨年9月に国家戦略特別区域の認定を受けた。

 日本橋を本拠地に事業を推進する三井不動産は19年8月に「日本橋再生計画第3ステージ」を公表した。地下化事業に併せ日本橋川に親水空間を形成。商業施設の配置などによってにぎわいを生み出す構想だ。同社の菰田正信社長は「日本橋が本来の姿を取り戻す」と地下化事業に期待する。

 新宿、渋谷、港の3区にまたがる「神宮外苑地区」の開発事業も五輪閉幕後をめどに工事が始動する。関係権利者4者が連携し、明治神宮野球場や秩父宮ラグビー場などの施設を再編。総延べ約53万平方メートルの施設群を整備する。五輪のメインスタジアム・国立競技場に隣接する同地区で、五輪のレガシー(遺産)を象徴する街づくりが進みそうだ。

 JR東日本グループによる総延べ約85万平方メートル規模の「品川開発プロジェクト(第i期)」(港区)、野村不動産グループとJR東日本の総延べ約55万平方メートル規模の「(仮称)芝浦一丁目計画」(同)などもある。いずれも国家戦略特区の認定事業で、国際競争力を高める複合開発として大きな期待を背負う。

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