2020年1月6日月曜日

【新たな生産体制構築できるか】ゼネコン各社、施工力維持へ本腰

 技能労働者の高齢化などを背景に担い手不足への危機感が高まる中、ゼネコン各社が協力会社も含めた施工体制改革に乗りだそうとしている。週休2日制の実現に向けた残業実施や月給制への誘導など、模索する方向はさまざま。施工力の維持へ本腰を入れていく。

 国土交通省のまとめでは、技能労働者のうち65歳以上が約51万人と最も多く、建設業の高齢化は顕著だ。鹿島の押味至一社長は「今は団塊の世代が支えているが、5年後には大変なことになる」と危惧。2021年度に新たな試みを始めようと調整している。

 柱の一つが残業導入だ。報奨金を出して、午前8時~午後5時としている作業時間を午前7時半~午後6時に伸ばすイメージ。下請次数を2次までに抑えることや外国人技能労働者への職業訓練なども見据える。協力会組織と1年程度かけて議論し方針を固める。人材不足が顕著な職種を直用化し、多能工化やロボット活用を推進して、次世代型の協力会社の見本とする取り組みにも力を入れる。

 処遇改善の面では清水建設が4週7~8閉所の現場を対象とし、稼働日減少に伴う技能労働者の収入減を補う措置を実施中。五洋建設も休日取得目標達成時の労務費割り増しを19年7月に始めた。フジタは、4週8休を順守する技能労働者への奨励金給付を視野に入れる。奥村洋治社長は「他社の状況を見ながらやっていく」と話す。

 清水建設の井上和幸社長は「協力会社の専属率を高めなくてはいけない」との認識で、協力会会員企業への優先発注の重要性を指摘する。月給制への移行も必要と見る。安藤ハザマの福富正人社長は、協力会会員の5~6割を月給制にするような対応が必要と見ており、「構想として提案していきたい」と話す。

 大林組の蓮輪賢治社長は「協力会社と知恵をしぼりながら利益・コスト構造を変えていく」との姿勢を示す。竹中工務店はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用して施工部材の工場製作を増やし省人化につなげる方針で、佐々木正人社長は「(協力会組織の)竹和会と連動しながら進めたい」と意気込む。大成建設の村田誉之社長は協力会社の管理能力を高めて、元請社員が現場に張り付かずに済むような体制への転換が必要と見る。先を見据え「新しい生産体制に早く手が届いた会社が勝つ」とも指摘する。

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