現場に勤務する技術者の長時間労働は改善される気配がない |
日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、植村芳輝議長)が加盟組合員約1万人を対象に行った「2014時短アンケート」(詳細版)によると、1カ月の平均所定外労働時間は58・3時間(前年63・1時間)で、10年ぶりに60時間を下回った。ただ外勤建築系職員は82・3時間(87・3時間)、外勤土木系職員は79・7時間(82・5時間)と長時間労働が常態化。外勤者の3割は100時間以上に達し、休日の所定外労働時間が長かった。
調査は、14年11月に実施。加盟組合のうち1万1214人(平均年齢39・2歳)、外勤者6142人、内勤者5053人が回答した。日建協は調査結果を基に、労働時間短縮と同時に休日の増加を関係機関に働き掛ける。
◇月100時間以上の時間外労働、建築・土木とも3割超◇
調査結果を見ると、所定外労働時間は外勤建築、外勤土木、外勤事務(58・4時間)の順で長く、日建協が共通目標に設定している「平均月45時間以内」から大きくかい離。100時間以上の所定外労働を行っている人は外勤建築系の33・3%、外勤土木系の30・0%に達し、理由は「仕事量が多い」が最多だった。
14年11月の休日取得状況を見ると、日曜日は全職種ともほぼ休めていたものの、技術系の外勤者は5日あった土曜日のうち2日程度、祝日も2日のうち1日しか休めていなかった。技術系の外勤者のうち、建築系、土木系とも休日の所定外労働時間が30時間を超えていた。日建協は「休日の取得が所定外労働時間削減に向けた近道」として、年2回の統一土曜閉所運動に粘り強く取り組む方針だ。
工程上の休日を工事の発注機関ごとに調べたところ、国、自治体、独立行政法人、民間公益企業、マンションデベロッパー、その他民間企業のいずれも、休日が4週4休以下の割合が50%を超えた。デベロッパーと、その他民間企業は70%以上に達した。建築の作業所の70%以上は4週4休で工程が組まれていた。
◇潜在転職希望者がかなりの数に上る◇
4週8休の実現など休日の増加に向け、日建協は適正工期の発注を発注者に働き掛ける考え。建設産業の魅力について、「創造の喜び」などを挙げる職員が多い一方、魅力を感じない理由には労働時間の長さや賃金水準が挙がった。20代の4割、30代の3割が転職を意識し、所定外労働時間が100時間以上の人の4割は転職を考えていた。
「自分の子どもを建設産業に就職させたいか」という質問には、「就職させたい」との回答の割合が20年前と同じ約20%にとどまった。日建協は「建設産業の魅力の向上には長時間労働の解消が必要」として、労働時間の改善に一段と力を入れる考えだ。
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