船外実験プラットフォームのイメージ |
ISSは、地上から約400キロ上空に建設された有人実験施設。今回の実験は、CNTの建設材料としての可能性を探る各種実験の一環で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の簡易曝露(ばくろ)実験装置の利用テーマとして採択された。
実験で使用するCNTは、高品質で長尺の撚糸(ねんし)形状。直径約20ナノ(ナノ=10億分の1)メートルの多層繊維をより合わせた複数の試験体を用意し、1年または2年間にわたり曝露実験を行う予定だ。
1回目の試験体は、4月に米国のケープカナベラル空軍基地から米国の民間ロケットで打ち上げられた。今後、実験装置に試験体を取り付けた後、船外実験プラットフォームに据え付ける。
CNTの複合材は電池材料などの用途で使われ始めている。橋梁のケーブルや構造体の耐震補強など建設分野のほか、航空機や宇宙機の機体、電磁シールド、輸送機器のケーブル材など幅広い利用が期待されている。ただ、使用環境が及ぼす影響は大部分が解明されていないという。
大林組は、2050年の実現を目指す「宇宙エレベーター建設構想」を12年に発表した。月までの距離の約10分の1に当たる上空3・6万キロに「静止軌道ステーション」、地球の海洋上に基地となる「アース・ポート」を設置し、総延長9・6万キロのケーブルでつないでエレベーターを運行させる構想で、ケーブルの素材にCNTを使うことを提案している。
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