地震発生後の東北整備局災害対策室の様子 (写真提供・東北整備局) |
◇岩手県庁と花巻市にリエゾン緊急派遣◇
午前6時13分の地震発生直後、東北整備局は管内の各事務所が一斉に管轄区域の道路、河川、海岸、ダム、砂防施設の点検を開始。本局では東日本大震災の災害対策本部が警戒態勢を維持しており、指示連絡に入った。7時50分、仙台空港からヘリコプター・みちのく号が岩手県方面に監視出動、岩手河川国道事務所からは岩手県庁と花巻市に災害対策現地情報連絡員(リエゾン)を派遣した。
岩手県庁では県道、国道で2カ所の落石情報を受けたが、パトロールの結果落石は無く、安全が確認されている。県の場合、道路に関しては県庁直営班や管理委託業者、岩手県建設業協会と各支部の地域業者が受け持ち区域を点検する。
岩手県建設業協会の藤澤邦雄常務理事は「今回は花巻支部が現地でのパトロールや情報収集に当たった。仮に震度6の観測情報を受けたときには協会全体での対応を図る」と説明する。協会本部は午前6時30分には連絡体制を整えていた。
◇全現場異常なし、地震発生から約5時間で点検完了◇
岩手河川国道事務所によると、「県庁に設置された災害対策本部は11時過ぎに警戒本部へと移行したため、派遣したリエゾンもその時点で任務を完了した。花巻市ではエレベーター停止などの情報を得ており、午後に市が開く対策会議にもリエゾン要員が出席している」という。直轄工事の施工業者からは、午前7時時点で全ての現場で異常なしとの報告が寄せられた。
一方、宮城県では県北部の涌谷町や登米市、石巻市で震度5弱が観測された。仙台河川国道事務所と北上川下流河川事務所が警戒体制と注意体制を敷き、仙台河川国道管内の海岸エリアは9時30分に注意体制を解除、10時時点で道路の警戒体制も解かれた。北上川下流河川管内は北上川、旧北上川、鳴瀬川および栗駒砂防で巡視点検を展開。各地の直轄工事現場もこれに協力して安全点検を報告した。
◇各社が安全自主点検、日頃の連携が功を奏す◇
宮城県土木部は、北部土木事務所などで特別警戒配備を実施。正午時点で土木部関係施設で被害は確認されなかった。県全体としても、午前8時に特別警戒本部を設置し、対応に当たった。
宮城県建設業協会の伊藤博英専務理事は「6時30分から待機状態に入り、支部各社の自主点検連絡を受け、重大な被害のないことを確認した。今回、県側の災害対策本部立ち上げまでに至らなかったことは何よりだ。対応は無事に完了した」と語る。
宮城県の遠藤信哉土木部長は「災害協定に基づいて、建設業協会ら関係団体に点検をしてもらった。日ごろのパートナーシップにより、効率的かつ安定的に対応でき、安心感がある。東日本大震災を契機に良い仕組みが構築できたことは大きな成果」と、関係者の即応をねぎらった。
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